仲見満月の研究室

元人文系のなかみ博士が研究業界の問題を考えたり、本や映画のレビューをしたりするブログ

「書籍『ハラスメントの事件対応の手引き』の読書メモ」と関連情報まとめ

<本記事のコンテンツ>

  • 1.はじめに
  • 2.「書籍『ハラスメントの事件対応の手引き』の読書メモ」の内容
    •   2-1.『ハラスメントの事件対応の手引き』の概要
    •  2-2.「教員→他の教員」のアカハラ+秘書職員等へのセクハラ
      •   その1.「東大駒場騒動」
      •  その2.秘書職員等へのセクハラ事例:「矢野事件」
    •  2-3.「教員→学生」のアカハラ
  • 3.最後に

1.はじめに

アカハラの諸問題に取り組まれているフォロワーの水無月さんが、ハラスメントの事例について法的な視点から扱った本の読書メモをツイートされていました。今回、ご許可を頂き、さっそく、togetterにまとめさせて頂きました↓

togetter.com

(以下、「読書メモまとめ」)

 

今回の「読書メモまとめ」では、水無月さんがお読みになった次の書籍について、メモ的にツイートされたことをまとめ、加えて今までの水無月さんのツイートのtogetterまとめを繋げた形となっております。 

「読書メモまとめ」について、水無月さんも、私も法律に関してはほぼ素人であり、法律の専門家の方に可能ならご教示頂きたく思い、まとめを公開させて頂きました。まとめる途中で、ネット検索したり、Twitterで拾ったりしたアカハラ案件や訴訟に関する問題を本記事では、「読書メモまとめ」を補足する形で、一緒に整理してお伝えしようと思います。少々、長くなりますがお付き合い頂けると、有り難いです。

 

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【2017.4.29_0033追記:ニュース】「鉄腕アトム」の開発が早まる?~「博士、AI担う人材に 文科省、産学連携」(日本経済新聞より)~

<本記事の内容>

1.アニメ「アトム ザ・ビギニング」と現在の人工知能の使い方

最先端で流行しているのでしょうか?文科省の関連機関では、先日、お伝えしたように、研究者データベースにAIでresearchmapに研究者の業績を拾ってくる改修案が出ました。この4月より、NHKで「アトム ザ・ビギニング」の放送も始まりました↓

atom-tb.com

天馬午太郎は、ネタバレすると「鉄腕アトム」本編でアトムを造った研究者ですが、本作でときどき傲慢なところは、若さならではなんでしょうか。やはり、イケメンとして描かれています。一方、お茶の水博志は、本編でアトムを温かく見守り、サポートするイメージそのままに若くした感じで、大きな鼻と天然パーマは相変わらず。二人とも、練馬大学の第7研究室でロボット研究を行う大学院生という設定です。第1話を見た限り、こういうロボットを開発したい!と言って研究費を取ろうと燃えていましたが、「君たちは学振のDCなのか?それと、科研費の書類の書き方、わかってるのかい?」とツッコミを入れたくなりました。本ブログのテーマとして、興味のあるアニメ作品で、また追いかける予定です。

 

現実世界の人工知能というと、様々な用途や目的に向け、各方面で研究・開発が進んでいるようです。researchmapのように、人工知能に設定して特定の研究登録者の業績情報を集めさせたり、アトムのようなロボットだと、ペッパーに搭載して人との意思疎通や接客をさせたり。一般の人たちのより身近なところでは、将棋の訓練や遊びのゲームソフトウェア「AI将棋」の対戦や、自動車に搭載して自動運転に使われているようです。

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こうした人工知能の各分野での開発に対し、文科省が今年の秋より、「博士人材の育成事業を産学連携で始める」という新聞記事を見つけました↓

www.nikkei.com

博士、AI担う人材に 文科省、産学連携で育成 :日本経済新聞

 

前置きが長くなりましたが、今回、取り上げてコメント致します。

 

 

2.「博士、AI担う人材に 文科省、産学連携で育成」(日本経済新聞)の概要

私はこの記事を一読して、この事業は二度手間なことをしようとしているな、と思いました。「博士院生や博士研究者に対して、「大学で教育したうえで、企業でのインターンシップや実務を通じて実社会に役立つ研究を身につけてもらう」という、面倒くさいことをするんだよ!」ということです。

 

学部卒や修士卒で就職した私の周りの人たちの話では、民間企業によっては、4月から1~2ヶ月の間、研修期間ということで特定の部署に配属はせず、社内の業務をこなせるよう、社員教育の期間に充てているそうですね。電話の取り方、名刺交換等の社会人としての仕事マナー、最近だとスマホ世代の新人向けにPC研修も含まれていると、聞いたことがあります。博士課程まで行ったあと、教育関係のフリーターをしていた私としては、博士院生や博士研究者は、途中に就活でビジネスマナー講座を受けたり、就業時に社員教育で身につけたりしない限り、民間企業で最低限必要なビジネスマナーのスキルを得られないまま、社会に出てしまうことが人によっては少なくありません。

(ちなみに、私は研究室の雑務で出版社や学内の別部署とやり取りする必要があったため、自分で実用書を買って来て、勉強しました。もう、忘れましたけど:

ビジネスマナーと大学院の仕事 - 仲見満月の研究室

 

ただ、現場の即戦力として、企業が開発者を求めるなら、修士卒で物理や数学分野出身の中堅社員を教育して、博士号持ちの研究・開発のエンジニアと広報や営業等の担当部門との間に置き、折衝やマネージメントさせるほうがいいかもしれません。ビジネスマナーを身につける時間を人工知能研究・開発に必要なスキルの研修に充て、博士院生や博士研究者を、研究・開発に専念させるエンジニアにしたほうが効率はいい気がします。 

 (例えば、修士卒で日亜化学工業に1979年に入社し、後に青色LEDの実用化でノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏。中村氏は、会社で開発していた物を営業担当者が取引先にきちんと説明できず、結局、開発者の中村氏自身が取引先に説明する等、営業活動で顧客の意見に耳を傾け、クレーム処理まで対応した期間が10年あったそうです。

 

そういうわけで、大学院では大学院で研究をしっかり博士院生や博士研究者に行わせ、その人材を現場に欲しい企業が採用して、3ヶ月ほど研究・開発の現場向けに新人研究を行う。その後、各部門に配属された博士社員は研究・開発に専念し、彼らと広報や営業等の担当部門の間を、教育した広報や営業等の担当部門が繋ぐようにしたらいいのではないでしょうか。そのために、まずは、きちんと博士人材を民間企業が雇えるよう、文科省だけでなく、経済産業省とも組んで国がサポートしていったらいいと思います。

 

 

3.最後に(2017.4.29_0033追記)

今回の日経新聞の記事について、Twitter上で大学院の現場におられるらしき大学教員の方がツイートをされていましたので、紹介して閉めさせていただきます。それは、中央大学理工学部物理学科教授田口善弘氏の次のツイートで、

そんなに機械学習とか統計学習がわかるDが欲しいんなら「その分野でDとったら即年収1000万円で正社員雇用」みたいな職をいっぱい用意すればいいんでは。数学とか物理とか情報の修士の学生は大挙して機械学習/統計学習のD進におしよせて3年後にはたくさん技術者が確保できると思いますが。  

という内容でした。 

 

(2017.4.29_0033追記)

人工知能を開発する企業に、webライターのヨッピー氏が突撃したレポートがありました。業界で必要とされる人材に関して、情報が出ています。ご参考まで。

codeiq.jp

 

 

<関連記事>

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【ニュース】レゴブロックで京大院生が「核融合実験炉の精密な模型」の「建設に成功」(京都大学Newsより)

<レゴブロックの研究メディア化とSPECの仕組み>

  • 1.最近、周りがレゴブロックの話題だらけ~はしがき~
  • 2.「本学の大学院生が、核融合実験炉の精密な模型(レゴブロック製)の建設に成功しました。(2017年3月3日)」の内容
    •  2-1.今回の京大News記事の概要と疑問
    •  2-2.疑問①:レゴブロックは研究の成果を示す道具になるのか?
    •  2-3.疑問②:諸々の渡航費用や滞在費は、どうしたのか?
    •  2-4.疑問③:修論や修了式、その後の進路は?
  • 3.まとめ 

1.最近、周りがレゴブロックの話題だらけ~はしがき~

私が引きこもってブログを書いている最近、世の中ではお花見シーズンが終わり、早くもゴールデンウィーク(ついでに言うと中国語では”黄金周”)の連休に何をするか、という話題で持ちきりとなり始めました。

 

テレビをつければ、「おじゃMAP!!」なる番組で”黄金周”には、4月1日にオープンした名古屋のLEGOLAND® Japanが、19日の放送で紹介されました個人的には、レゴの生まれたデンマークは文化的には非常に気になりますが、もう一つの特集でやっていた長崎ハウステンボスに行ってみたいです。エッシャーのグッズとか、木靴文化に触れたりとか、したいです。

 

一方、友人やフォロワーさんの間では、名古屋のレゴランドオープンと同日に公開された、『レゴ®バットマン ザ・ムービー』を見に行った人が、内容を報告してくれたり、コンビニで売っていたレゴのアメコミキャラクターのDVDを買っていたり、私の周りでも話題になってました。

 

どこを向いても、レゴ!レゴ!な、ここ数週間。この調子だと、合計一ヶ月はレゴブロックに関する話題で持ち切りだと覚悟していたら、はてなブックマークにも、レゴブロックを使って研究に関する成果を出した院生の話題が出ていました↓

本学の大学院生が、核融合実験炉の精密な模型(レゴブロック製)の建設に成功しました。(2017年3月3日) — 京都大学

 

タイミングとして、誰かが「仲見満月よ、レゴブロックのことをブログに書きなさい」と告げているのかもしれません。と勝手に解釈して、今回は、レゴブロックで京大院生が「核融合実験炉の精密な模型」の「建設に成功」(以下、京大News記事)をテーマに選びました。

 

なお、アイキャッチ画像は、桜色を背景に、ヨモギ餅カラーの式典スタイルのレゴ人形の画像にしました。京大News記事の公開シーズンと本記事の執筆時期を意識しつつ、お読み頂けたらと思いまます

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(イメージ画像:無償のイラストレーション: レゴ, 女の子, 卒業, 緑, 大学院, 祝賀, キャップ, 卒業帽 - Pixabayの無料画像 - 1177256利用規約内で執筆者が加工)

 

 

2.「本学の大学院生が、核融合実験炉の精密な模型(レゴブロック製)の建設に成功しました。(2017年3月3日)」の内容

 2-1.今回の京大News記事の概要と疑問

今回の京大News記事の概要は、次のようなものです。

 エネルギー科学研究科修士課程2回生の杉山大志さん、坂根海志さんらのグループ(通称京大レゴ部)は、フランスで建設中の国際熱核融合炉(ITER)の精密な模型をレゴブロックによって実現しました。模型の建設は、ITER機構本部(フランスのサン・ポール・レ・デュランス)において、2017年2月28日から3月3日という短い期間で行われました。核融合炉工学を専門とする研究グループとして、工学的な正しさを志向して設計した結果、ビゴ ITER機構長からも称賛される出来栄えとなりました。

(本学の大学院生が、核融合実験炉の精密な模型(レゴブロック製)の建設に成功しました。(2017年3月3日) — 京都大学)

 

読むうちに、エネルギー科学のことがサッパリな私は、

  • 疑問①:レゴブロックと言えば、やらずにはおれない趣味だったり、それから仲間同士の意思疎通のため、遊ぶものじゃないのか?
  • 疑問②:フランスのサン・ポール・レ・デュランスにあるITER機構本部でブロック模型を組んだ
  •  ➡諸々の渡航費用や滞在費は、どうしたのか?
  • 疑問③:修士課程の2回生=2年生ということで、修論や修了式はどうしたのか?(あと修了後の進路は?)

などなど、細かなところが気になって仕方ありませんでした。

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