【2017.7.14_1505_冒頭追記】院生の頃に目にした「ハラスメント」を当時の周りの大学教員に尋ねるという「愚行」を阻止された話
*本記事では、登場する方々について、個人の特定を防止する観点から、非常にぼかした表現をしたり、事実と一部異なる表現をしたりしているところがあります。どうか、ご理解ください。
先週くらいに博論の副査になって頂いた染田先生(仮名)とお茶をしてきました。ボス先生と同い年の方で、既に大学を退職されています。
染田先生は、私がいた研究室、社会人博士院生MさんのいたV研究室ほか、いくつかの研究室の集まった組織「講座」に属し、自分の研究室を持っていた先生です。今も論文発表をコンスタントにされておられるようで、学会出席の折、私の住んでいる地方にいらっしゃるということで、お会いすることになったのです。
社会人博士院生のMさんが、指導教員であるV先生から、他の院生から見ると「アカハラ」を受けていたことは、以前に次の記事で書きました:
V先生がMさんに対して、当たりが強いことは染田研究室の同期も気がついていたようで、V研究室のゼミに出席していた人には、V先生の言動に戸惑っていた人もいたようです。
そんなV先生のMさんに対する言動。私にはハラスメントのように映っていたのですが、当時、同僚だった染田先生はどのように捉えていらっしゃったのでしょうか?と私は愚かなことを思いついてしまったのです。そして、私お会いした時に「アカデミック・ハラスメントが報告されたら、先生方はどうされているんですか?」と遠回しに言葉を出しつつ、尋ねようとしました。
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【ニュース】「文科省、若手の研究室立ち上げを支援 一部費用を助成」(日本経済新聞)
本日、キャッチした気になるニュースはこちら:
このニュースと同じテーマで、昨日の日経新聞朝刊に記事が出ていましたので、そちらを参照しつつ、若手の研究室立ち上げの文科省支援について、見ていきましょう。
文科省、若手の研究室設立を支援、一部費用を助成。
2017/06/18
文部科学省は2017年度から、独り立ちして間もない若手の教授や准教授を支援する。実験装置の購入など 研究室の立ち上げ時にかかる費用の一部を補助し、速やかに研究成果を出せるようにする。3億円弱の予算を 投じ、130件程度の助成を目指す。
助成対象は、准教授や教授になって2年未満で、研究室の運営責任者を担う若手研究者。研究者数の多い東 京大学など主要大学に偏らないように、大学の規模に応じて応募できる件数に上限を設ける。主要大学は5件以 内にする方針だ。
研究者の自由な発想を支援する科学研究費補助金(科研費)の仕組みを使う。研究計画が科研費に選ばれた 上で、所属する大学が研究室の立ち上げにかかる費用として300万円以上を負担した場合、国から150万円を 上限に科研費を追加で交付する。10月上旬にも交付先を決める予定だ。
若手の登用は大学の研究現場を刺激する。一方で、研究室の立ち上げには多額の研究費が必要。研究費の 獲得が遅れると研究期間に空白が生じてしまう問題がある。
(文科省、若手の研究室立ち上げを支援 一部費用を助成 :日本経済新聞、無料会員登録で閲覧可能)
このニュース記事によると、文部科学省が「実験装置の購入など 研究室の立ち上げ時にかかる費用の一部を補助し、速やかに研究成果を出せるようにする」形で、支援を目指している対象者は、 「独り立ちして間もない若手の教授や准教授」とのこと。より擬態的には、「助成対象は、准教授や教授になって2年未満で、研究室の運営責任者を担う若手研究者」。
大学が偏らないようにということで、大学の規模に応じて制限を設けるとすると、東大や京大の意欲のある若手研究者は厳しそう…。しかも、資金源が科研費の仕組みということで、いくらネ申エクセル問題が解決したからといって、また申請書と格闘した上、審査に通って晴れてプロジェクトができるようになって、「所属する大学が研究室の立ち上げにかかる費用として300万円以上を負担した場合、国から150万円を 上限に科研費を追加で交付」。
目的は、ズバリ「若手の登用は大学の研究現場を刺激する」ということです。
今回の支援策は、【ニュース】「日本の科学研究—地盤沈下は止められるのか」(nippon.com)~解決策は限りのある研究資金をバランスよく配分・投入する決定ができる人の存在~ - 仲見満月の研究室で取り上げた以下のPIのなり手を増やそうとしたものではないでしょうか。
それから、「ネイチャー誌の記事ではもう一点、日本の若手研究者は研究室主催者(PI: principal investigator)になる意欲が低いことが問題点として指摘されている」という問題は、後述されているように、研究者として独立するには、資金不足の懸念があるのは否めません。「死活問題は研究費である。欧米では通常、独立時にかなりのスタートアップ資金が用意される。残念ながら今の国立大学法人の体力では、一部を除いて十分なスタートアップ資金を準備することができない」わけです。国のほうは、「資金を渋る国は、「内閣は大学に外部から何らかの方法で、研究費を持ってこないといけない方向にしようとしている模様」」ですが、産学連携にも限界はあるわけで…。
(【ニュース】「日本の科学研究—地盤沈下は止められるのか」(nippon.com)~解決策は限りのある研究資金をバランスよく配分・投入する決定ができる人の存在~ - 仲見満月の研究室)
そもそも、日本の国には研究に回すお金がないらしく、科学研究では既に地盤沈下が起きて久しいです。ただでさえ少ない研究予算が、上記の拙記事の引用部分の直前にあるように、「資金投入の場所に偏りがある」せいで、他の関連分野の研究停滞の問題が発生することも私は懸念しております。
今回の若手による研究室の立ち上げの資金援助は、科研費によるものということで、既存のシステムを使うなら、やっぱりその助成金は一部の分野に偏ってしまうのではないかと思われます。また、立ち上げによって資金が得られたとしても、研究室のプロジェクトを維持できるほどのランニングコストを解消することを次には考えていかなければなりません。
そういうわけで、文科省の今回の支援策は、どこか空回っている気がしてなりません。それよりも、先の【ニュース】「日本の科学研究—地盤沈下は止められるのか」(nippon.com)~解決策は限りのある研究資金をバランスよく配分・投入する決定ができる人の存在~ - 仲見満月の研究室で挙げたように、まずは、「日本の科学研究において、資金をどの分野にもバランスよく配分・投入する決定ができる人を、国の政治家のトップに据えること」が、一時的ではありますが特効薬ではないでしょうか。
現在、いろいろと文科省は揺れており、トップの動向とともに、今回の若手の研究室立ち上げの支援策もどうなるのか。見守りたいところです。
【'18.9.17_1520:リンク切れ確認】大学教員の職階と「名誉教授」や「栄誉教授」~「(今さら聞けない+)名誉教授 形式的な称号、給料はなし」(朝日新聞デジタル)~
<本記事の内容>
1.はじめに
助教、准教授、教授、名誉教授…。大学の先生には職によって、いくつか呼び名があります。大学院生、それから大学の教職員の方には馴染みのある職名かもしれません。しかし、一般の方は大学の先生と関わりが少なく、職ごとの人数や仕事内容、年収といった細かな違いについては、ピンとこないのではないでしょうか。
Twitterを見ていたところ、本ブログにマッチする面白いニュースが流れてきました:
「(今さら聞けない+)名誉教授 形式的な称号、給料はなし」
(2017年6月17日03時30分付、朝日新聞デジタル、リンク切れ確認済み)
朝日新聞デジタルでは、2017年6月17日03時30分付け、紙媒体では、6月17日朝刊の土曜特別版に載っていた記事のようでした。
今回は、この朝日新聞の記事を読みながら、大学の先生を知る上での基本となる職名や職階について、具体的に見ていきたいと思います。。
2.大学教員の職名と職階~新聞記事と仲見の周辺の話~
非常に分かりやすい内容ですので、記事の冒頭から見ていきましょう。
(今さら聞けない+)名誉教授 形式的な称号、給料はなし
2017年6月17日03時30分
大学の「名誉教授」という言葉をよく目にします。「名誉」というからには、権威ある大学の先生のなかでもとくにエライ人……と思っている方、いませんか? 実は、ちょっと違います。
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大学の教員は、助教→講師→准教授→教授、という順番で昇進していきます。ちなみに「立場が上の人ほど数が少ない」とログイン前の続きいうピラミッド構造にはなっていません。たとえば2015年度の東京大学では、教授の人数が准教授や助教より4~7割多い1187人で、講師が最も少ない230人でした。文部科学省が国立大学など90法人をまとめた統計でも教授が最多、講師が最少です。
((今さら聞けない+)名誉教授 形式的な称号、給料はなし:朝日新聞デジタル、リンク切れ確認済み)
名誉教授のことは横に置いておいて、*マークの次、第2段落の大学教員の職階を確認しましょう。
*この続きは、pixiv-BOOTHで取り扱っております、次の冊子
に収録した本記事を、ご覧ください。