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仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

1993、中国は華南を行く~星野博美『謝謝!チャイニーズ』~

 「あなたたちの考えること、教えてくれませんか?」

 

  私が「中国」に魅せられ、「中国」に関わってしまった理由は、

この一言に尽きます。

 

 同じように思い、「中国」を定期的に訪れるようになった写真家。

今回はそんな人のノンフィクション↓

 

 星野博美『謝謝!チャイニーズ』(文春文庫)文藝春秋社.2007

 

  トカゲと鴉の私書箱777-『謝謝!チャイニーズ』

 

 

naka3-3dsuki.hatenablog.com

ここで紹介した星野博美の処女作。

 

 1993年の中国南部、ベトナム国境から上海まで華南地方を長距離

バスで走る。福建省から台湾国境の島々へ船で向かう。改革開放の波に

翻弄されながらも力強く生きる人々との一瞬を書き綴っています。

 

 世界のあちこちに出稼ぎへ行く人でごった返す。そんな福建省長楽で

出会った林宝珍との縁は「終章 東京」、そして『転がる香港に苔は

生えない』と繋がっている。「新華僑」の動きも見られるので、

「文学に見る在外チャイニーズと中国語圏の現代史」で紹介した作品と

読み合わせると、中国語圏の情勢が分かるかもしれません。

 

 星野博美が中国と関わるようになった切っ掛けは「はじめに」参照。

大学在学中、留学先の香港を拠点に中国へ足をのばすようになった筆者。

「深入りすると面倒なことになりそう」な中国をこのように言う。

 

   自分にとって中国は、ふたことめには「俺に惚れるんじゃないぜ」

  とおどけてみせる、下手に首をつっこんで人生を滅茶苦茶にされたく

  ないような、本当は好きなのに惚れるのが怖い不良男のようだった。

   ところが世界じゅうどこへ行っても、「中国人」は執拗に私を

  追いかけた。

   

 どこへ行ってもいた中国人の包容力を気に入った写真家は、謎を解く

べく、旅に出たという。

 

 ほか、改革開放が始まって以来、中国全土に広がったであろう闇と光、

当時の中国の抱えていた情勢、失われてゆくものとの結びつき…。

などなど、1993年は2010年の中国の前進であることが分かります。

 

 書ききれないことがあるくらいの440ページ!

一読して、筆者の得た答えに唸ってみてください。

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