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仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

大航海時代と搾取される南イタリアと~池上俊一『パスタでたどるイタリア史』~

季節に関係なく、なぜか私は週一回以上、麺類を食べたくなります。ラーメン類とパスタ類は特に群を抜き、一週間のうち、両方を一回以上食べたこともあったと思います。そんな食べ物について、今回はパスタを通じて見たとある国の歴史をまとめた本を1つ、紹介いたします。
 

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パスタという国民食を中心に据え、イタリアの歴史をたどってみようという本。

岩波ジュニア新書は中高生向けの新書レーベルですが、著者の中には研究の第一線で書いている方もおられ、本書も読みごたえのある一冊でした。


〈目次〉

 はじめに―日本のパスタ事情
 第1章 麺が水と出会うまで
 第2章 文明交流とパスタのソース
 第3章 貧者の夢とエリートの洗練
 第4章 地方の名物パスタと国家形成
 第5章 母と子の思い
 第6章 パスタの敵対者たち
 おわりに 歴史の中のパスタ

 

 

興味を引かれたのは第1~3章、世界史の中における前近代イタリアの歴史とパスタをめぐる動き。内容は、高校世界史Bのヨーロッパ編で古代から中世くらいにあたり、本書で復習をしつつ、イタリア史を駆け足で学びました。

第2章では、中世までのアーモンドミルクなどの中で茹でた味付きパスタに、大航海時代にもたらされた食材が出会うことで、新たな味が誕生する過程が書かれています。アメリカ大陸からもたらされた食材にはトマト、トウモロコシ、ジャガイモなどがあり、時間をかけて徐々にパスタのレシピに組み入れられていきました。背後にあった宗教的な考え方や見た目から来るイメージから、これらの新食材は人々が食べるようになるまで紆余曲折を経ていたのです。

新しい食材の登場には、当時、イタリア南部を支配していた国々との関係がありました。「スペイン支配下のナポリ」、「収奪される南イタリア」を読むと、半島南部とシチリアがスペインなどの他国に支配され、外国人領主に搾取されていた状況がパスタを通して見えてきます。
現在まで続く「イタリアの南北問題」の原因となる「構造」がすでに大航海時代、出来上がっていたのです。

また、第4章「地方名物のパスタと国家形成」にある北からのイタリア統一という近代史の部分と合わせると、この南北問題は500年以上の歴史になり、根深いものだと分かります。

なお、巻頭ページの口絵には、現在、イタリアで作られている様々なパスタが登場しています。緑色のホウレンソウ入りラヴィオリ、茶色のカカオを練りこんだオリジナルのパスタ、真っ赤なトマトソースなど、カラフルな写真が読者の目を楽しませます。本書に食欲をそそられたら、ぜひ、パスタを作って召しあがってください。


(読了:2013年3月中旬)
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