仲見満月の研究室

元人文系のなかみ博士が研究業界の問題を考えたり、本や映画のレビューをしたりするブログ

Japones, Japonesas y futbol~川内イオ『サッカー馬鹿 海を渡る』~

最初は後輩が部室に置いていて、そっから借りた後、とうとう、自分で買ってしまったサッカー仕事人たちのインタビュー&エッセイ集を紹介です。

 
サッカー馬鹿 海を渡るーリーガエスパニョーラで働く日本人 


サッカーが好きすぎて、スペインに渡ってしまった日本人たち。そして、サッカーに縁あって、携わるようになったスペインの人々。そんな、リーガ・エスパニョーラに関わる「サッカー馬鹿」な仕事人たちの熱気が伝わってくる一冊。

日本ではあまり知られていないセビージャ、エスパニョール(中村俊輔の元所属先)、4部リーグのエウロパ。日本人トレーナーや記者たち、カメラマンたちは、大らかな現地の人々に受け入れられ、夢に向かって仕事に取り組んでいる。選手たちを支える裏方が丁寧にインタビューにを答えていて、サポーターやファンには見えにくい現場を少しだけ覗けます。

 

巻末には、スペインの各クラブチームのホームを示した地図、用語解説やリーガ・エスパニョーラのシステム図解あり。サッカーを全く知らない人も安心です。 

私個人としては、wowowのサッカー中継を支える会社ノバジカ勤務のトメウのインタビュー、笑えました…。

トメウはバルセロナ出身なんですが、仕事でレアル・マドリッドの選手パネルの横でガッツポーズをとり、写真に撮られることが。仕事内容を知った弟が怒り狂ったようで、トメウはその後、これ以上キツイ仕事はなかったと言っていました。

なぜ、弟さんが怒り狂ったのか?知りたい方は一読あれ!

(読了:2010年のクリスマス) 

 
(以下、2016年7月17日の追記)
この本を借りた当時、私は研究テーマを大きく変えないといけない状況でして、なんか、少しでも気持ちが明るくなりそうな本を求めていたことを覚えています。
 
それで、サークルの部室に遊びに行ったところ、サッカーの熱狂的な観戦者である後輩の一人が書棚に置いていたのが本書でした。装丁は明るいし、スペインには何となく興味を抱いていたので、「ちょっと貸してもらっても、ええかねぇ」というノリで貸出簿に名前と年月日を書き、読み始めました。
読了後の感想は、上に書いたとおりです。それに加えて、多少、おぼろげな記憶を頼りに本の内容を書きたいと思います。
 
改めて本書の印象をまとめると、リーガ・エスパニョーラに属するセビージャやエスパノールといったチームの奥にいて、選手や監督といった表舞台の人々を支える広報、引退後に次の道を示すサポーター的存在の職業がたくさん出て来るのが魅力の一つでしょう。
引退後の選手はサッカー選手以外の職業に就きたくても、能力の伸ばし方がわからないケース、既婚者だと無収入となって配偶者との関係が悪化して離婚するケース等、第2の人生を歩み始める時に様々な壁にぶつかるそうです。その壁を取り払い、または飛び越えるため、監督や審判の資格を取るべく専門学校、大学で学び直す機会を示したり、別の業界へ元選手が進出するマネージメントを助けたり、そういった面でのサポーターの存在がサッカー先進国のスペインには職業としてあるそうです。
 
こういった情報は、商業スポーツとしてのサッカーが盛んとなり、プレーヤーのすそ野が広がりを見せる日本の業界にとっても、貴重なものとなるでしょう。
 
書き忘れるところでしたが、タイトルの”Japones, Japonesas y futbol”とは、日本語にすると「日本の男性、女性とサッカー」という意味です。院生時代にかじったスペイン語で、書いてみました。
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