仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

「その、すこやかならざるときも」~『あの街で二人は ‐seven love stories‐ 』~

夏休みに突入して、約1週間。花火大会に行ったり、旅行に出かけたり、帰省したり…。今回は、ちょうど2年ほど前の7月、夏休みに行ってみたいと私が読んでいて、考えた本をレビュー致します。

 

村山由佳, 加藤千恵『あの街で二人は-seven love stories-』(新潮文庫)、2014年

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新潮文庫の恋愛アンソロジーの一冊。マキヒロチの漫画寄稿がシリーズ中では珍しい。

「恋人の聖地 」とは、「恋人の聖地プロジェクト」が選定した、日本全国のロマンチックな名所。本書はそこで起きるかもしれない恋愛を紡いだ作品集。

 


私が選ぶのは、角田光代「その、すこやかならざるときも」。物語は、夫との別居を機に帰郷した主人公が、死去した祖母に代わり手紙を受け取ったのを契機に、鹿児島に行くところから始まる。

現地で迎えに来ていた西岡整と共に、西岡のおばの隠された恋を明かしてゆく方向へ、ストーリーは展開してゆく。実は西岡のおばは特攻隊員たちが出発前に世話をする役目を担っており、その途中、隊員で人公祖母の弟の遺品を預かっていたのだ。事実の氷解してゆくにつれ、主人公が夫婦生活への気持ちに終止符を打つのが晴れやかでした。


私は戦争の記憶を祖母、その上の世代から聞いて知っていました。だからか、割と身近なこととして幼少期は捉えていたと思います。主人公の女性は、そのあたり、読者の私とは戦争への距離感は全くちがうと思います。が、彼女は彼女で夫に離婚を迫られ、別居の形をとり、恋愛や結婚問題に精神的な余裕のない実家に帰っていたところに手紙を受け取ったところだったので、複雑な心を抱えてはいたものの、ラストにはちゃんと自分で答えを出しています。


角田光代の作品を取り上げて感想を述べましたが、作品集には様々な恋愛のかたちが描かれています。いろんな年代の人たちに読んでほしい本です。
 

(読了日:2014年7月中旬)
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