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仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

永田礼路「「論文ハウマッチ」+論文とお金の少し真面目な話」+『螺旋じかけの海』の紹介~理系学術ジャーナル論文掲載の裏事情~

<本記事の目次>

1.はじめに

日課でTwitterのタイムラインを眺めていた昨日、ネイチャーとかセルとか、含む理系の学術ジャーナルの論文掲載の裏事情がよく分かる漫画が、ツイートでありました↓

 

主に文系の学術ジャーナルを中心として、論文投稿者は掲載が決まると論文の掲載料をジャーナル発行元に支払わなければならないため、博士院生はいろいろ、経済的に大変なんですよ、というお話は次の記事でしました。

naka3-3dsuki.hatenablog.com

 

上のツイートの「「論文ハウマッチ」+論文とお金の少し真面目な話」を拝読し、「ぜひ、拙ブログで紹介したいのですが、よろしいでしょうか?」と著者で「医師兼漫画家」の永田礼路(@nagatarj)さんに、上記の「ジャーナルと院生をめぐるお金の話」の記事リンクをお送りしました。すると、出典元のURL明記により、「論文ハウマッチ」+論文とお金の少し真面目な話」の転載(ということになりますよね?)のご許可を頂きましたので、本記事でご紹介させて頂きます。

 

「論文ハウマッチ」+論文とお金の少し真面目な話」の後、少し、図書館学かじっていた立場として、また論文投稿者として、少しコメントさせて頂きたいと思います。その次に、永田礼路(@nagatarj)さんの漫画『螺旋じかけの海』のご著書のレビューをさせて、「論文ハウマッチ」+論文とお金の少し真面目な話」転載のお礼とさせてください。

 

注意:本記事では著者に直接、転載のご許可をいただいた上で、本記事で紹介させて頂いています。本記事から「論文ハウマッチ」+論文とお金の少し真面目な話」を更に転載することは、禁止を致します。絶対にしないでください

(この「論文ハウマッチ」他を紹介したい方は、ご著者の永田礼路(@nagatarj)さんに直接、ご連絡を入れられてください。)

 

2.永田礼路「論文ハウマッチ」+論文とお金の少し真面目な話」

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(以上の画像4枚の出典元:https://twitter.com/nagatarj/status/822773815016968192

by 永田礼路@螺旋じかけの海①②発売中@nagatarj)

 

 

う~ん、これを読んでいると、漫画家さんと同じように、物書きの文筆家や小説家、エッセイスト、評論家といった方々も、書いた文章が作品として何らかの媒体に載ると、原稿料がもらえる(ただ働きの場合もあるらしいですが)お仕事ですよね。それに比較して、研究を仕事にすると、その成果を学術ジャーナル等の媒体に発表するだけで、己が身か、所属先かの銭を切って世間に差し出し、業績にしているわけです。

 

何だか、我々研究者って、新たな知見やブツを生み出しているのに、

損してませんか?

という気持ちが沸いてくるのは、私だけでしょうか。

 

それとも、こんなこと気にしている暇があったら、先行研究の1つでも読んで、新しい投稿論文でも生産したほうが建設的だと思い込んで、前へ進む方が精神衛生上、よいんでしょうか。

 

さて、出典元のツイートの会話を少し、覗いてみたところ、学術機関の書誌を扱う専門的なお仕事をされていたらしき方が、世界的な科学ジャーナルは某E社が出版を独占しているんですよ、というようなことを指摘されていました。これね、私が院生時代に受けていた図書館学コースの授業でも指摘されていて、上記の漫画だと、2ページ目の中段左のコマで、国旗(欧州の国で、女王が最近まで在位していた某キングダム)が立っているビルの会社が某E社だと思われます。

欧米のジャーナルって、めっさ高いと言われています。あれね、オンラインジャーナルも紙媒体のジャーナルと同じ購読料なんです。両方購読しようとすると、講読コースには紙媒体+オンライン版のコースで年間40万円とか、取られる雑誌、取ってくる会社もあるんですね。

 

日本の某工学系ジャーナルだと、掲載料が最大10ページで15~20万円(カラーページを含むか、含まないかなどで変動がある)です。ここに投稿したことがあるんですが、ページ数を抑え、モノクロにして半額に押えても、院生時代にバイト代用の通帳から数万単位でお金が引き落とされたのに、心がげんなり、した覚えがありました。

補足として、この工学系ジャーナルは、投稿論文を審査する人に査読料が数千円ですが、出るらしいです。

 

そういうわけで、昨今、世界的な動き(だと思う)として、研究機関では所属者の研究成果の論考記事を蓄積し、自サイト内等で無料で公開するという「学術リポジトリ」の動きが進んでいます。詳細は、下の拙記事参照↓

naka3-3dsuki.hatenablog.com

 

こういうところは投稿者が研究機関発行のジャーナル(紀要とか)の場合、そこに載せた論考をデジタル化しているので、掲載料は上記の理系の学術ジャーナルよりは安いんじゃないかと思います。

 

最近では、国立大学の予算が減ってきているので、そういったところの学術リポジトリの基盤整備やメンテナンスがガタガタになってきそうで、心配ではあります。せめて、景気が上向きになってくれれば、よいのですけどね。

 

 

3.永田礼路『螺旋じかけの海』1巻のレビュー

 このたび、「「論文ハウマッチ」+論文とお金の少し真面目な話」を描かれた永田礼路さんは、現役の漫画家でもあり、ここではご著書の作品1巻をレビューさせて頂きたいと思います↓

 永田礼路『螺旋じかけの海(1)』 (アフタヌーンKC)講談社、2015年 

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実は、元月刊アフタヌーン読者だったのに、ご著書を存じ上げないまま、ツイートでご許可を頂いてしまったということで、慌てて1巻を拝読しました。

 

この作品の舞台は、遺伝子操作が産業として発達した世界。遺伝子操作を仕事とする生体操作師・音喜多(おときた、表紙画像中央の金髪男性)を中心に、「異種キャリア」と呼ばれる人間以外の生物の遺伝子を持つ人物たちが様々な事情を抱え、音喜多と相棒のハル(雪晴(ゆきはる)、表志画像の左の黒髪男性)と関わっていく、基本一話完結のSFです。

 

タイトルの「螺旋」は、DNAの立体構造を暗示であり、この世界では、分離不能な異種体組織が15%を超えると「人間」として扱われず、それ以外の生物として商取引や処分等のことをしてもよいという「ヒト種優生保護法」が存在します。それ故、異種体組織を発現させてしまった人物たちには、闇の企業や組織で実験動物扱いされていて、音喜多と出会ったことで遺伝上「ヒト」になれるような処置をしてもらったり、生物として生きるために異種組織体の広がりを促進してもらう処置でヒト以外の生物にしてもらったり、その背景とその後はさまざま。人間とそれ以外の生物の「境界」とは何か、というのを読んでいて、非常に意識させられました。

 

著者の永田礼路さんが兼業されているからか、不定期連載なようで、現在2巻まで刊行されています。人間とそれ以外の生物との関わり方というSF的なストーリーとして、以前、この漫画が連載されている月刊アフタヌーンで連載されていた、漆原友紀蟲師』が不思議と思い浮かべられました。『蟲師』のほうは、幕末と明治の間くらいの時代を、ぼんやりと作者が想定して描いていたようでしたが、それに対し、『螺旋じかけの海』は、スマートフォンのようなモバイル通信機器は目立たないものの、現在よりも未来の世界が想定されているようです。

 

こちらで第1話を丸ごと、公開しているようですので、ぜひ読んでみてください。

afternoon.moae.jp

 

試し読みで、先が気になる方はこちらから購入できます↓

 

 

最後に、ここまでお読みくださいまして、ありがとうございました。

また、「「論文ハウマッチ」+論文とお金の少し真面目な話」の紹介をご許可下さった永田礼路さんにも、改めてお礼申し上げます、ありがとうございました。

 

 

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