仲見満月の研究室

元人文系のなかみ博士が研究業界の問題を考えたり、本や映画のレビューをしたりするブログ

【「反アカハラ運動」の紹介+α】「文部科学省と各大学にアカデミックハラスメント対策を徹底し,被害者の保護とケアを最優先するよう求めます」(Change.orgより)

<本記事の内容>

1.今回のアカハラ対策を求めるキャンペーンの紹介

日課のTwitterでの徘徊をしていたところ、何と「反アカハラ運動」(私が勝手に命名)ともいうべき、キャンペーンがインターネットを中心に始まっていたことが分かりました↓

アカハラ対策を徹底し、被害を受けた人の保護とケアについて、文科省と各大学に求めていこう、というのが、この運動の主旨。発起人は、上記のツイートのとおり、元えふわら先生と山本裕子さんのお二人です。お二方とも、健全な研究活動を妨げるアカデミック・ハラスメントンに対して、動かれていた方々です*1

 

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今回のキャンペーンでは、「Change.org · 「変えたい」気持ちを形に」でコミュニティを作り、大勢の賛同を得ることによって、このサイトを通じて、政府から企業まで、様々な「デシジョンメーカー」と意見を交換することできます。そして、その働きかけによって、変革を促すことを目指すというのが、Change.org の存在する意義のようです。

 

元えふわら先生と山本裕子さんを中心に、Change.org に次のコミュニティサイトが立ち上げられました。この記事を執筆中に、既に93人の方の賛同をいただいております。私もその中の一人で、賛同して頂いた方々には、お礼を申し上げたいです。

たくさんの方の賛同を頂けたら、文科省と、研究者の諸問題に取り組んでいる河野衆議院議員との交渉が現実的になります。ご賛同いただける方、よろしくお願い致します。

www.change.org

 

 

2.今回のキャンペーンのページにおける「アカハラ

そもそも、アカハラことアカデミック・ハラスメントとは何か?このハラスメントの起こる環境を変えていくことを目的として、大学だけでなく社会全体で情報を共有したいと思います。そのため、ここでは、まず「キャンペーン · 文部科学省と各大学にアカデミックハラスメント対策を徹底し,被害者の保護とケアを最優先するよう求めます」の説明をもとに、改めてアカデミック・ハラスメントの定義から考えてみたいと思います。 

 

 2-1.アカハラ(アカデミック・ハラスメント)の定義

今回の運動のページにある説明から、アカハラとはどのようなものを指すのか、引用させて頂きます。

アカデミックハラスメントとは,大学や研究機関におけるいじめや嫌がらせ,セクハラ全般を指しますが,特に教育,研究の場における権力を利用した嫌がらせのことをいいます.具体的には,教授などが下位の教員や学生に対し,侮辱的な言動以外にも,研究テーマを押しつける,妨害をする,成果を奪ったり公表を妨害する,研究費の管理を認めない,教育・研究に無関係の雑務を強要する,卒業させないと脅す,指導を放棄する,などがあります.場合によっては,ものを投げつけたり,実験装置を壊されるなど,暴行や器物破損に該当する行為さえあります.(キャンペーン · 文部科学省と各大学にアカデミックハラスメント対策を徹底し,被害者の保護とケアを最優先するよう求めますより引用)

はい、私が何度も本ブログのアカハラに関する記事で書いてきたことと共通しています。端的に言うと、「大学や研究機関におけるいじめや嫌がらせのうち、特に教育、研究の場においての上の立場の者から下位の者への侮辱的な言動、研究活動等への妨害行為」です。具体的なハラスメント行為については、引用箇所に詳しく挙がっています。

 

 2-2.アカハラの起きる背景

こうしたアカハラが起こってくる背景については、教授を頂点とする研究室がピラミッドのような構造を持つ組織であることが先のコミュニティページで指摘されています。特に権限が教授に集中すること、そして研究室では密室となりがちなこと、この2点を主な背景として、アカデミック・ハラスメントが起こると説明されています。

 

なお、こうしたアカハラの起きる背景分析については、以下の記事で私が実際に起きた「事件」を入口に、解説をいたしました。ご参照頂けたら、幸いです。

menhera.jp

 

 

3.アカハラに対する河野議員や文科省の動き(2017.2.6時点)

このキャンペーンサイトを読んでいた今日、Twitter上で河野議員のブログにおいて、研究者の問題あれこれに関する動きが報告されました↓

www.taro.org

 

本記事のここでは、↑の河野議員のリンク記事をもとに、アカハラ対策に関する新たな動きのみを整理して、お伝え致します。

 

 <アカハラ対策に関する河野議員や文科省の新たな動き

  ・アカハラに関して、現在、文科省では旧帝大を中心に実態調査を進めている。

   そして、今週末には調査が一段落するとの報告をもらっている

   (*河野議員のところに「個別事案」が「数多く」寄せられている。

    しかし、河野議員は「調査権限もなく、個別事案に対応することは困難」)

  ・今週末の文科省の調査結果を見たうえで、独立した対応機関の設置等を検討予定

  ・河野議員はこの問題に対し「想定以上に大きな問題であるという認識」を持つ

(以上、天下りな研究者の皆様へ | 衆議院議員 河野太郎公式サイトをもとに仲見が情報を整理)

 

下線部の「独立した対応機関の設置等」は、今回のキャンペーンのページにおいても、「アカデミックハラスメント対応の徹底化」の策として、「学内ではなく外部に,専門のカウンセラーや人権問題を専門とする法曹関係者らからなる中立的な機関を新たに設けるべきである」ことが訴えられています。その理由は今回のキャンペーンのページに詳細に説明がされていますが、私の説明も加えると、次のようなことが言えるでしょう。

大学内部に相談窓口や対策委員会を置いたとしても、その訴えが調査される前に握潰されたり、ハラスメントをしたとされる側の上の立場の人にも訴えがあったことが通告され、訴えた人の立場が危うくなって、訴えた人が心身に不調をきたしたり、退学や休学によって、やむなく研究活動の停止せざるをえなくなったりと、訴えた側が研究活動、さらに日常生活すら危機的な状況に置かれることが、日本の大学の現状としてあるのです。

 

このような現状が、残念ではありますが日本の大学には、あるのです。以上の理由により、大学内部ではなく、中立的な独立した外部機関を設置する必要があります。

 

なお、これまでのアカハラに対する河野議員と文科省の動きについては、次の拙記事をご参照ください。

naka3-3dsuki.hatenablog.com

 

4.これから私たちにできること~まとめに替えて~

キャンペーンの紹介を目指していましたが、気がついたら、アカハラの定義確認と対策の動きや現状のまとめになってきました。元えふわら先生、山本裕子さん、何だか、申し訳ありません…。

 

最後として、これまでアカハラ対策を考えてきたものの、足りなかったところを冷静に振り返り、自分にできることを改めて探してみました。とりあえずではありますが、それは、実際にアカデミック・ハラスメントに対して、そういう対処ができるのかという法律的な知識、そしてアカハラの起こる背景などを含めて分析・考察したものだと気がつきました。要は、法律に関する本と学術的にアカハラを捉えた本を読んでみようか、ということです。

 

本屋や図書館で色々物色し、買ったり、借りたりして、私が現時点で読もうとしている2冊を挙げておきます。

 

上記2冊のほか、アカハラに関する知識を深めるのに、よい本がありましたら、教えて頂けると有り難いです。

 

長くなりましたが、アカデミック・ハラスメントことアカハラは、被害者の命を奪うこともある、犯罪的で絶対に許してはならない社会問題です。今回のキャンペーンの紹介を通じて、大勢の方にアカハラを社会問題として認識して頂けたら、アカハラ対策を求める側として、大きな力となります。まずは認知して頂きたく思い、本記事の拡散にご協力よろしくお願い申し上げます。

 

 

<その他の関連記事>

naka3-3dsuki.hatenablog.com

 

 

*1:個人的には、昨年晩秋ごろより、メンヘラ.jpに掲載された「「アカハラ」からどう身を守る?学生・院生のためのメンタルヘルス対策 」の私の記事をアカハラ事例集に吸い上げて頂いたり、この記事のツイートをRTして頂いたりして、Twitterを中心にお世話になっておりました。有り難や!

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