仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

【2017.4.7_1941更新】「Ciniiがなくなる?!」という噂の真相~「「CiNiiで論文が見られない」電子図書館終了に困惑の声」(ITmediaビジネスより)~

<今回は「噂の真相」バージョン>

1.「Ciniiがなくなる!」という噂について

日本の国立情報学研究所(NII)が運営している文献や記事の学術情報検索サービス「Cinii」は、私も学部時代から現在まで、大変、お世話になっておりました。卒論から博士論文ほか、次の2件の記事を書くのにも、使いました。

学術機関リポジトリと論考PDF管理の話 - 仲見満月の研究室

冬と花火と中国の呪術的なこと~夏花火の日本で異文化を叫ぶ~ - 仲見満月の研究室

 

そのCiniiが便利だったのは、検索した記事の情報ページに飛ぶと、論文誌によってはPDFファイルの直リンクがあり、そのアイコンを押すと、別タブでPDFファイルの中身が表示されるという機能がありました。詳細は、学術機関リポジトリと論考PDF管理の話をお読みいただくとして、実は、私が大学院在学中、「近い将来、Ciniiが無くなるかも?!」という噂が流れていました。博士課程中盤で聞いた話でして、博論を書くまでにCiniiが消えたら、どうやって先行研究を検索しようか、不安で不安で仕方なかったのを覚えています。しかし、私が博論を書いて、大学院を出てもこの学術情報検索サービスは、消えませんでした。

 

そういう話を思い出したのは、本日、Twitter経由で、次のニュースをキャッチしたからです。

www.itmedia.co.jp

 

Ciniiに関する話は、分野関係なく、職業研究者か在野研究者か、関係なく、日本の研究者には一大事だと思われます。ということで、緊急的に本記事のタイトルに付けた噂の真相に迫ります。

 

f:id:nakami_midsuki:20170405205403j:plain

 

 

2.「「CiNiiで論文が見られない」電子図書館終了に困惑の声」の内容

キャッチしたニュース記事を読んだところ、Ciniiは私が院生時代に危惧したように、この検索サービス自体が無くなるのではなく、

論文などの学術情報検索サービス「CiNii(サイニィ)」から、電子化(PDF化)された論文や書籍などの一部の情報が閲覧できない状態に。研究機関や学生などから困惑の声が上がり、Twitterのトレンドにも入った。(中略)

 論文などの学術情報検索サービス「CiNii(サイニィ)」から4月5日現在、電子化(PDF化)された論文や書籍などの一部の情報が閲覧できない状態になっている。国立情報学研究所(NII)の電子図書館事業(NII-ELS)終了に伴うものだが、研究機関や学生などから困惑する声も上がっている。

(「CiNiiで論文が見られない」電子図書館終了に困惑の声 - ITmedia ビジネスオンライン)

ということが正しいそうです。簡単に言うと、Ciniiで検索した論文情報のページから直接、PDFファイルが開けるサービスが先月31日に終わっちゃってたよ、というお話。ニュース記事の続きを読むと、次のような経緯だったようです。

  CiNiiを運用するNIIは、電子図書館事業として428学会1400種類の雑誌、論文数で計362万件を電子化し、CiNiiの検索機能を通じて公開していた。

 

 ただ、国は学会誌の電子化支援について、科学技術振興機構JST)が運用する電子ジャーナル出版プラットフォーム「J-STAGE」に一本化することを決めた。このため、NIIは電子図書館事業を17年3月に終了すると発表していた。

 

 終了したのは電子図書館であるNII-ELSであり、論文検索サービスとしてのCiNiiは存続している。だがCiNiiから検索した論文が閲覧できないため、「CiNiiが廃止?」などとTwitterに投稿する人が相次ぎ、トレンドにも入った。

(「CiNiiで論文が見られない」電子図書館終了に困惑の声 - ITmedia ビジネスオンライン)

試しに、私がCiniiで査読論文を検索し、論文情報のページに行くと、論文タイトルと著者の下に、「この論文にアクセスする J-STAGE」の項目があり、J-STAGE」のボタンを押すと、PDFファイルの直リンクボタンのあるJ-STAGEの論文情報に到達しました。

 

実は、大学院で図書館司書課程を履修していた時、情報サービス関係の諸々の授業で、「国立情報学研究所のCinii管理しているところは、PDF化の予算を削減する予定なので、CiniiでPDFを表示してほしいなら、論文のPDFファイルを自分で送れば、PDFファイルへのリンクボタンを設けてもらえる」という話を聞いたことがありました。ということと、J-STAGEへの一本化の話を本日、ツイートしました。 

 

J-STAGEについては、司書課程の情報サービスの授業で、学術情報検索を使う時、習いました。私のうろ覚えの学習内容では、Ciniiが学術的な記事一本を検索するのに特化しているとすれば、J-STAGEのほうは学術ジャーナルの情報を検索できる等、 「電子ジャーナル出版プラットフォーム」と呼ばれるだけあって、Ciniiより広範囲の学術情報を調べられるサイトと言えそうです。

 

ちなみに、J-STAGEの管理をしている国立研究開発法人 科学技術振興機構JST)は、文科省の関係のある機関で、国の研究者のデータベース&SNS的なコミュニティ機能を持つresearchmapの管理・運営をしている法人でもあります。

 

 

3.現時点でのCiniiの学術情報検索特化への移行途中の問題(2017.4.7_1941追記)

このニュース記事を読んでいた私の感想としては、これからはJ-STAGEのほうで論文を検索すれば、Ciniiの論文情報のページにあるJ-STAGEボタンを押す二度手間がなくなるかもしれない、ということが挙げられます。ただし、情報サービス学の授業では、J-STAGEとCiniiとで、同じキーワードで検索をしても、結果に違いが出るということがあったと思い、そこは注意が必要だと思いました。

 

他にも、現時点で検索サービスに特化しようとしているCiniiには、PDFデータが表示できるシステムを含め、今までCiniiにあった機能を他機関へ移行する途上にあり、例えば、次のような問題があるようです。

 NIIは14年8月から他プラットフォームへの移行受付をスタートしていたが、まだ移行が完了していない論文や書籍などが数多いとみられる。

 このため、結果的にCiiNiiから論文を見ることができず、教育・研究機関から困惑する声も上がっている。九州大学附属図書館は「多くの学協会誌は移行が完了しておらず、現在、論文本文を利用できないケースが生じている。この影響により、九大コレクションやきゅうとLinQによる学協会誌へのナビゲーションにも一部不具合が生じている」と公表した。

(「CiNiiで論文が見られない」電子図書館終了に困惑の声 - ITmedia ビジネスオンライン)

ああ、これは大変です。特に、時間との戦いで一刻も早く成果を出さないといけないような実験系とか、最新の研究成果を論文検索で見つけられないと、研究の進行にも影響が出そうです。

 

今後の以降スケジュールについて、国立情報学研究所は、ITmediaビジネスオンラインの取材に応じ、

NIIの所管部署担当者は「移行作業が終了していない学会の論文については、移行元ならびに移行先のどちらにおいても論文が入手できない状況が生じています」と答えた。

(「CiNiiで論文が見られない」電子図書館終了に困惑の声 - ITmedia ビジネスオンライン)

と回答。具体的な移行過程での状態、今後のCiniiの目指すところ等については、ニュース記事の続きをお読みいただくと、書いてあります。また、国立情報学研究所はCiniiのTwitterアカウントでも随時、状況を伝えていくそうですので、次のアカウントも合わせてご参照ください。

twitter.com

 

(2017.4.7_1941追記)Ciniiより新たなお知らせがありました。

www.nii.ac.jp

 

 

4.まとめ(2017.4.6_0056追記)

そういうわけで、Twitterで心配されていた噂の「Ciniiがなくなる?!」ことは、今のところ、デマのようです。ただし、今までCiniiが持っていた論文のPDFファイルを直リンクで開く・見る・ダウンロードするといった便利な機能は、今後、他の学術情報機関へと移行します。つまり、今まで便利だったという意味でのCiniiはなくなる、という意味では、「Ciniiがなくなる?!」という噂は、あながち、嘘ではなかったと言えないでしょうか。

 

Ciniiユーザーの私としては、日本の学術情報検索サービスを握っているのが、国の関係機関や法人であることには変わりはありません。加えて、現在の我が国の財政的な状態、それから学術に向けられている社会の意識を思うと、果たして、どこまでCiniiやJ-STAGEのような、サービスを維持できるのか、少々、心配に感じております。

(2017.4.6.0056追記)

Ciniiの補助金が打ち切られたから、今回のよう状態となったという、情報がTwitterに流れてきました。

 

学術機関リポジトリと論考PDF管理の話 でしたように、これからは、大学や研究所等のリポジトリのように、職業研究者のいる学術機関、それから民間企業、自治体でも学術情報の検索サービスを、特定分野だけでいいですから、作っていった方がいいのでは?と考えました。論文に関するお金の面においても、細々とでもいいから、私たちでやっておいて損はないんではないでしょうか↓

naka3-3dsuki.hatenablog.com

 

 

5.続編を書きました(2017.4.6_2035更新)

http://naka3-3dsuki.hatenablog.com

 

 

<関連記事>

naka3-3dsuki.hatenablog.com

↓いいね!だったら、ポチッとお願いします。

にほんブログ村 大学生日記ブログ 博士課程大学院生へ
にほんブログ村