仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

【ニュース】レゴブロックで京大院生が「核融合実験炉の精密な模型」の「建設に成功」(京都大学Newsより)

<レゴブロックの研究メディア化とSPECの仕組み>

1.最近、周りがレゴブロックの話題だらけ~はしがき~

私が引きこもってブログを書いている最近、世の中ではお花見シーズンが終わり、早くもゴールデンウィーク(ついでに言うと中国語では”黄金周”)の連休に何をするか、という話題で持ちきりとなり始めました。

 

テレビをつければ、「おじゃMAP!!」なる番組で”黄金周”には、4月1日にオープンした名古屋のLEGOLAND® Japanが、19日の放送で紹介されました個人的には、レゴの生まれたデンマークは文化的には非常に気になりますが、もう一つの特集でやっていた長崎ハウステンボスに行ってみたいです。エッシャーのグッズとか、木靴文化に触れたりとか、したいです。

 

一方、友人やフォロワーさんの間では、名古屋のレゴランドオープンと同日に公開された、『レゴ®バットマン ザ・ムービー』を見に行った人が、内容を報告してくれたり、コンビニで売っていたレゴのアメコミキャラクターのDVDを買っていたり、私の周りでも話題になってました。

 

どこを向いても、レゴ!レゴ!な、ここ数週間。この調子だと、合計一ヶ月はレゴブロックに関する話題で持ち切りだと覚悟していたら、はてなブックマークにも、レゴブロックを使って研究に関する成果を出した院生の話題が出ていました↓

本学の大学院生が、核融合実験炉の精密な模型(レゴブロック製)の建設に成功しました。(2017年3月3日) — 京都大学

 

タイミングとして、誰かが「仲見満月よ、レゴブロックのことをブログに書きなさい」と告げているのかもしれません。と勝手に解釈して、今回は、レゴブロックで京大院生が「核融合実験炉の精密な模型」の「建設に成功」(以下、京大News記事)をテーマに選びました。

 

なお、アイキャッチ画像は、桜色を背景に、ヨモギ餅カラーの式典スタイルのレゴ人形の画像にしました。京大News記事の公開シーズンと本記事の執筆時期を意識しつつ、お読み頂けたらと思いまます

f:id:nakami_midsuki:20170423134341j:plain

(イメージ画像:無償のイラストレーション: レゴ, 女の子, 卒業, 緑, 大学院, 祝賀, キャップ, 卒業帽 - Pixabayの無料画像 - 1177256利用規約内で執筆者が加工)

 

 

2.「本学の大学院生が、核融合実験炉の精密な模型(レゴブロック製)の建設に成功しました。(2017年3月3日)」の内容

 2-1.今回の京大News記事の概要と疑問

今回の京大News記事の概要は、次のようなものです。

 エネルギー科学研究科修士課程2回生の杉山大志さん、坂根海志さんらのグループ(通称京大レゴ部)は、フランスで建設中の国際熱核融合炉(ITER)の精密な模型をレゴブロックによって実現しました。模型の建設は、ITER機構本部(フランスのサン・ポール・レ・デュランス)において、2017年2月28日から3月3日という短い期間で行われました。核融合炉工学を専門とする研究グループとして、工学的な正しさを志向して設計した結果、ビゴ ITER機構長からも称賛される出来栄えとなりました。

(本学の大学院生が、核融合実験炉の精密な模型(レゴブロック製)の建設に成功しました。(2017年3月3日) — 京都大学)

 

読むうちに、エネルギー科学のことがサッパリな私は、

  • 疑問①:レゴブロックと言えば、やらずにはおれない趣味だったり、それから仲間同士の意思疎通のため、遊ぶものじゃないのか?
  • 疑問②:フランスのサン・ポール・レ・デュランスにあるITER機構本部でブロック模型を組んだ
  •  ➡諸々の渡航費用や滞在費は、どうしたのか?
  • 疑問③:修士課程の2回生=2年生ということで、修論や修了式はどうしたのか?(あと修了後の進路は?)

などなど、細かなところが気になって仕方ありませんでした。

  

 2-2.疑問①:レゴブロックは研究の成果を示す道具になるのか?

まず、疑問①の件は、レゴブロックは研究の成果を示す道具ではないというイメージがあるということです(個人的な偏見ともいう)。

 

私の周りの理系さんには、例えば病院の待ち合い室等でにパズルや知恵の輪があると、それを手にとり、解き始めてしまう人がいまして、レゴブロックもその延長線上にある個人的なイメージがありました。
後者の意思疎通、コミュニケーションツールとしてのレゴブロック。これは、ヤマザキマリ氏が、結婚前、後のイタリア人夫で比較文学研究者のベッピーノ、その父親で元自動車メーカーの技術者・アントニオ、そしてヤマザキ氏の息子で工学技術者志望のデルス、この3人が集まって「レゴフレンド」になっていた場面がありました。文学研究者と工学技術者を繋ぐ媒介になっていたので、そのイメージが強かったのです。

 

後者のイメージでは、レゴブロックは国境を超越したツールということは分かりました。ただ、研究成果を伝える媒体にはならないのでは?と。

 

京大News記事の続きの「大学院生からのコメント」およひ「指導教員からのコメント」を読むと、レゴブロックを使う手法は、エネルギー科学研究科の「教員の科学アウトリーチの一環として開始された」京大レゴ部が、

エネルギー理工学研究所原子エネルギー研究分野に所属する大学院生が主体となって「LEGOによる最先端エネルギー工学モデルの社会との共有」を目指し、幅広い世代に親しまれているLEGOで製作した最先端装置を使い、核融合とエネルギーに関する教育・アウトリーチとして、

(本学の大学院生が、核融合実験炉の精密な模型(レゴブロック製)の建設に成功しました。(2017年3月3日) — 京都大学)

行っていたそうです。今回のアウトリーチ活動は、「京都大学学生チャレンジコンテスト(SPEC)」の支援を受け、京大レゴ部のグループは「修士論文提出後直ちに渡仏し、ITER機構本部のロビーにて集中的に」、「未来のエネルギー源と期待される核融合炉の実験炉であるITER(イーター)」の模型をレゴブロックで建設しました。

 

そのレゴ部の模型精度は、「指導教員からのコメント」を再び読むと、「現在では優れた感性と実行力のある大学院生が活動をリードし」ており、「修士課程における研究で培った高度な専門性を有していること、これまでの約4年間にわたる京大レゴ部活動が蓄積した設計の基盤を有し」ていた専門性と表現力の高さをうかがわせるものだったようです。

 

また、今回は、4日間という短期間の滞在中に、「ITER機構の科学コミュニケーション部門の方々と」調整をしつつ、「約4万個にもなるレゴブロックを現地調達し」、複雑なITERの模型を組むだけでく、建設したということです。そこに、京大レゴ部の高い計画性と協働性をも感じました。

 

レゴブロックは、確かにおもちゃです。しかし、コミュニケーションツールとしては、組み立て者の専門的な知識と表現スキルによって、高度な内容を伝える媒体となり得ることが、京大レゴ部のITER模型の建設で、私は理解しました。しかも、私がイメージしたように、国境を超越したメディアとしての役割を果たしています。

 

よって、レゴブロックは組み立て者次第では、研究成果を伝える媒体足り得るか、それ以上のツールになることが分かりました。

 

 2-3.疑問②:諸々の渡航費用や滞在費は、どうしたのか?

疑問②の渡航費用については、

現地への派遣費用は、京都大学学生チャレンジコンテスト(SPEC)2016からの支援を受けました。SPECは、京大生らしい自由かつユニークな発想、創造力を競い、選ばれたプロジェクトに対して、寄附を募って助成金として支給する、学生支援の取り組みです。

(本学の大学院生が、核融合実験炉の精密な模型(レゴブロック製)の建設に成功しました。(2017年3月3日) — 京都大学)

とのことです。なるほど、助成金つきのコンテストに挑戦して、そこから支援されてお金が出たんですね。このSPECは、寄附金を募っているとのことで、「大学院生からのコメント」では、「寄附していただいた方々、ご支援いただいた方々に感謝申し上げます」とあり、結構な額が助成金として出ていたのではないか、と思われます。一体、京大レゴ部のフランス行きは、全部でいくら助成金が出たのか?その財源となる寄附金はどうやって集めたのか?

 

ちょっと、ネット検索で調べてみました。その結果、次のwebぺージを発見↓

www.kikin.kyoto-u.ac.jp

このページによると、京大レゴ部のフランス行きのプロジェクトに、46万円が助成金として書かれています。(第一印象は、大学を通じて実施されたクラウドファンディング)


このプロジェクトの詳細ページに飛ぶと、右下に「寄付する」というボタンがあり、押すと寄付を受け付ける「京都大学基金」のページに進むようでした。現在、SPECの寄付金は受け付けていませんが、京大では他の事業にも寄付金を呼びかけているようです。お問い合わせ先として、「総務部渉外課基金掛」の連絡先があり、そこを通じて寄付ができるようでした。

 

また、京大の学生チャレンジコンテストの「SPEC特別応援企画」のところでは、回収した古本やCD等の売り上げを学外に還元する「本de募金」や、学内の自動販売機の売り上げの一部が、チャレンジコンテストの寄付金となることが書いてありました。

 

SPECの寄付金募集や使用目的のwebサイトは、おそらく、京大の構成員の方々の多くには知られていないでしょう。しかし、チャレンジコンテストの応募者、「本de募金」や自販機の利用による募金者には、きちんと伝わっているでしょう。それから、私のような学外の人間が、寄付金の仕方、その利用目的を知らせらことは、現在、「自分達でお金を集めなさい!稼ぎなさい!」と文科省から言われている日本の各大学には、寄付金の募集方法や使い方として、重要な実例になるのではないでしょうか。
(こうして、私が京大の寄付金のことをブログに書けば、他の大学で学生の研究活動に助成金を出そうと企画していたところに、ひょっとしたら、情報を届けられるかもしれないです)

 

よって、諸々の渡航費用や滞在費は、京大の寄付金、「本de募金」や自販機の売り上げの一部によって、集められたチャレンジコンテストの助成金として提供された46万円でした。

 

 2-4.疑問③:修論や修了式、その後の進路は?

名前が出ている京大レゴ部の杉山大志さん、坂根海志さんは、修士2回生ということで、修論や修了式、そしてその後の進路はどうしたんでしょうか?

 

京大News記事の「大学院生からのコメント」によれば、「修士論文提出後直ちに渡仏し」たと記述がありました。つまり、きちんと出すべき修論は出してから、フランスに行き、レゴブロックITERの模型を建設しました。

 

修論提出➡フランスでレゴ模型建設までは追えましたが、そこから先の動向は京大News記事では不明。お二人のお名前をネット検索したところ、「指導教員からのコメント」にある小西哲之教授の研究室のサイトにたどり着きました↓

www.atomic-energy.iae.kyoto-u.ac.jp

トップページの左サイドメニューの右のメインのところを下へスクロールして、「追いコン」の部分を見つけました。そこのリンクを押した先の記事には、「坂根くん、杉山くん卒業おめでとうございます!」(サイト内の記録日付は2017.3.24)の言葉が出ていることから、修士2回生のお二人は、修士課程を修了されたことが判明しました。この一日前に京大の平成28(2016)年度の大学院学位授与式があり、、学位授与式=修了式と追いコンの日付関係より、お二人は修士課程を修了された可能性が高いです。ただし、学位授与式自体に出席されたかは、わかりません。

 

また、小西研究室のサイトのメンバーをクリックしてお二人の名前を探しましたが、見つかりませんでした。就職されたのか、他大学や京大内の別の部局の大学院博士課程へ進学されたのか、はたまた留学されたのか、お二人の進路はうかがえませんでした。

 

現時点での情報をまとめると、疑問③の答えは、修士2回生だった杉山さん、坂根さんは、修論はフランス行きかの前に提出し、帰国後に修士課程を修了された可能性が高いものの、修了式は出席されたかわかりませんでした。修了後の進路は追えませんが、小西研究室で博士課程に進学はしていないことは判明しました。

 

 

3.まとめ 

以上、京大News記事を読み、私がネット検索で調べたことを中心に、疑問①~③に答えを書くと、

  • 答え①:レゴブロックは組み立て者次第では、研究成果を伝える媒体足り得るか、それ以上のツールになることが分かった
  • 答え②:諸々の渡航費用や滞在費は、京大の寄付金、「本de募金」や自販機の売り上げの一部によって、集められたチャレンジコンテストの助成金として提供された46万円でだった
  • 答え③:修士2回生だった杉山さん、坂根さんは、修論はフランス行きかの前に提出し、帰国後に修士課程を修了された可能性が高いものの、修了式は出席されたかは不明。修了後の進路は追えず、小西研究室で博士課程に進学はしていないことは判明した

 となります。

 

私が注目したのは、①と②に関することです。

 

①については、レゴブロックは組み立てる者によっては、しっかり研究の成果を表現し、伝達するものになるということは、他分野にも使えるということです。京大News記事で指摘されているように、「幅広い世代に親しまれているLEGOで」、例えば私の研究対象である中国の時代ごとの住宅をレゴブロックで組み立て、(レゴ)人形を配置することで、当時の生活を再現することができるでしょう。中国文学や東アジア史学の分野では、各自が論文を書いた文学作品内の一場面や、歴史的な合戦の様子をジオラマとレゴブロックで組み立て、表現して展示する、あるいは人形を動かして動画を撮って授業で使ったり、Youtubeニコニコ動画にアップしたりして、映像作品を作ることができると思いました

(…レゴブロックの動画作品が好きな友人たちが貸してくれた作品は、前編CGアニメーションですが、動画共有サイトにアップするレベルであれば、作品の一場面や戦陣を組むくらいで、いけるかと思いました)

 

②については、京都大学基金、「本de募金」や自販機の売り上げの一部を寄付金にして、「京都大学学生チャレンジコンテスト(SPEC)2016」の助成金に充てることが、学生の研究活動を支えるモデルとして、参考になるのではないかと考えました。大学によっては、寄付金を集めるための基盤を整理することに時間とお金がかかりそうです。雑務に追われる大学では面倒かもしれません。ですが、多少、余裕のある大学では、「塵も積もれば山となる」タイプの金策として、またクラウドファンディング形式をとって、お祭りイベント的なコンテストとして盛り上げてもよいかと思います。

 

ところで、修士論文を書きつつ、京大レゴブの活動をしていると、なかなか、レゴ部の方々は忙しい毎日を送っておいでだったと想像できます。プラス就職活動、もしくは進学に関する準備や研究室の雑務、学会関係の発表準備や出席をされていたと思えば、本当に学部時代から修士課程2年次までの活動計画を組むか、あるいはメリハリのついた日々を送るかしないと、キツかったでしょう。

 

京大レゴ部の杉山大志さん、坂根海志さんは、この春からどこか新しい場所で人生の新たな道を歩み始めていらっしゃるかと思います。これからも、京大レゴ部の活動でフランスに行かれるまでの大変な日々を糧として、この先を生きていってほしいというエールを結びの言葉に替えて、本記事を閉めさせていただきます。

時に「死ぬくらいなら会社辞めよう」のレベルの場所に配属されたら何とか振りって、離れてほしいです

 

 

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