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仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

【2017.4.29_0033追記:ニュース】「鉄腕アトム」の開発が早まる?~「博士、AI担う人材に 文科省、産学連携」(日本経済新聞より)~

<本記事の内容>

1.アニメ「アトム ザ・ビギニング」と現在の人工知能の使い方

最先端で流行しているのでしょうか?文科省の関連機関では、先日、お伝えしたように、研究者データベースにAIでresearchmapに研究者の業績を拾ってくる改修案が出ました。この4月より、NHKで「アトム ザ・ビギニング」の放送も始まりました↓

atom-tb.com

天馬午太郎は、ネタバレすると「鉄腕アトム」本編でアトムを造った研究者ですが、本作でときどき傲慢なところは、若さならではなんでしょうか。やはり、イケメンとして描かれています。一方、お茶の水博志は、本編でアトムを温かく見守り、サポートするイメージそのままに若くした感じで、大きな鼻と天然パーマは相変わらず。二人とも、練馬大学の第7研究室でロボット研究を行う大学院生という設定です。第1話を見た限り、こういうロボットを開発したい!と言って研究費を取ろうと燃えていましたが、「君たちは学振のDCなのか?それと、科研費の書類の書き方、わかってるのかい?」とツッコミを入れたくなりました。本ブログのテーマとして、興味のあるアニメ作品で、また追いかける予定です。

 

現実世界の人工知能というと、様々な用途や目的に向け、各方面で研究・開発が進んでいるようです。researchmapのように、人工知能に設定して特定の研究登録者の業績情報を集めさせたり、アトムのようなロボットだと、ペッパーに搭載して人との意思疎通や接客をさせたり。一般の人たちのより身近なところでは、将棋の訓練や遊びのゲームソフトウェア「AI将棋」の対戦や、自動車に搭載して自動運転に使われているようです。

f:id:nakami_midsuki:20170425155308j:plain

 

こうした人工知能の各分野での開発に対し、文科省が今年の秋より、「博士人材の育成事業を産学連携で始める」という新聞記事を見つけました↓

www.nikkei.com

 

前置きが長くなりましたが、今回、取り上げてコメント致します。

 

 

2.「博士、AI担う人材に 文科省、産学連携で育成」(日本経済新聞)の概要

この新聞記事は、日経新聞のオンライン会員登録しないと読めないとうです。短いこと、記録するという観点から、ここに転載させて頂きます。

 

博士、AI担う人材に 文科省、産学連携で育成
2017/4/24 0:09

 文部科学省は2017年秋、人工知能(AI)の研究開発を担う博士人材の育成事業を産学連携で始める。数学や物理などの博士号を目指す学生たちを大学で教育したうえで、企業でのインターンシップや実務を通じて実社会に役立つ研究を身につけてもらう。大学や企業に人材を供給し、AIの研究開発を活発にしてイノベーション創出につなげる狙いだ。

 

 AIは自動運転や画像診断に応用が期待されるほか、工場での製造工程や在庫管理など業務の効率化にも役立つ。ただ、日本では専門的な教育プログラムを持つ大学は少なく、就職後の企業内研修などで知識や技術を身につけている。

 

 新事業では、複数の大学やAI関連企業が参加するグループを3つほど設置する。物理や数学分野の博士課程の学生や博士研究者などが対象で、グループごとに70人ほど受け入れ、約3カ月かけて大学で実践的な講義や実習を実施する。AIは統計学や数学が基本になっており、こうした素養を身につけた博士研究者や学生なら、短期の講習でも中堅層の研究者に育てられ、企業にとって即戦力になるとみている。

 

 文科省は1グループについて、7000万円を上限に、かかる費用の半分を助成する。6月末まで参加を募る。

 

 研修プログラムに参加した企業は、インターンを通じて即戦力となる学生の採用につなげる。大学や公的研究機関はポスト不足が続いており、博士研究者にとっても民間企業に就職しやすくなる利点もある。

(博士、AI担う人材に 文科省、産学連携で育成 :日本経済新聞)

 

私は一読して、この事業は二度手間なことをしようとしているな、と思いました。「博士院生や博士研究者に対して、「大学で教育したうえで、企業でのインターンシップや実務を通じて実社会に役立つ研究を身につけてもらう」という、面倒くさいことをするんだよ!」ということです。

 

学部卒や修士卒で就職した私の周りの人たちの話では、民間企業によっては、4月から1~2ヶ月の間、研修期間ということで特定の部署に配属はせず、社内の業務をこなせるよう、社員教育の期間に充てているそうですね。電話の取り方、名刺交換等の社会人としての仕事マナー、最近だとスマホ世代の新人向けにPC研修も含まれていると、聞いたことがあります。博士課程まで行ったあと、教育関係のフリーターをしていた私としては、博士院生や博士研究者は、途中に就活でビジネスマナー講座を受けたり、就業時に社員教育で身につけたりしない限り、民間企業で最低限必要なビジネスマナーのスキルを得られないまま、社会に出てしまうことが人によっては少なくありません。

(ちなみに、私は研究室の雑務で出版社や学内の別部署とやり取りする必要があったため、自分で実用書を買って来て、勉強しました。もう、忘れましたけど:

ビジネスマナーと大学院の仕事 - 仲見満月の研究室

 

ただ、現場の即戦力として、企業が開発者を求めるなら、修士卒で物理や数学分野出身の中堅社員を教育して、博士号持ちの研究・開発のエンジニアと広報や営業等の担当部門との間に置き、折衝やマネージメントさせるほうがいいかもしれません。ビジネスマナーを身につける時間を人工知能研究・開発に必要なスキルの研修に充て、博士院生や博士研究者を、研究・開発に専念させるエンジニアにしたほうが効率はいい気がします。 

 (例えば、修士卒で日亜化学工業に1979年に入社し、後に青色LEDの実用化でノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏。中村氏は、会社で開発していた物を営業担当者が取引先にきちんと説明できず、結局、開発者の中村氏自身が取引先に説明する等、営業活動で顧客の意見に耳を傾け、クレーム処理まで対応した期間が10年あったそうです。

 

そういうわけで、大学院では大学院で研究をしっかり博士院生や博士研究者に行わせ、その人材を現場に欲しい企業が採用して、3ヶ月ほど研究・開発の現場向けに新人研究を行う。その後、各部門に配属された博士社員は研究・開発に専念し、彼らと広報や営業等の担当部門の間を、教育した広報や営業等の担当部門が繋ぐようにしたらいいのではないでしょうか。そのために、まずは、きちんと博士人材を民間企業が雇えるよう、文科省だけでなく、経済産業省とも組んで国がサポートしていったらいいと思います。

 

 

3.最後に(2017.4.29_0033追記)

今回の日経新聞の記事について、Twitter上で大学院の現場におられるらしき大学教員の方がツイートをされていましたので、紹介して閉めさせていただきます。それは、中央大学理工学部物理学科教授田口善弘氏の次のツイートで、

そんなに機械学習とか統計学習がわかるDが欲しいんなら「その分野でDとったら即年収1000万円で正社員雇用」みたいな職をいっぱい用意すればいいんでは。数学とか物理とか情報の修士の学生は大挙して機械学習/統計学習のD進におしよせて3年後にはたくさん技術者が確保できると思いますが。  

という内容でした。 

 

(2017.4.29_0033追記)

人工知能を開発する企業に、webライターのヨッピー氏が突撃したレポートがありました。業界で必要とされる人材に関して、情報が出ています。ご参考まで。

codeiq.jp

 

 

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