仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

続々・死後の人文学者の蔵書問題~頂いたコメントへの返信+補足+「桑原武夫氏蔵書 無断廃棄って何? 」まとめ~

1.はじめに

Twitterはてなブックマークコメント等で、今回の「死後の人文学者の蔵書問題」の各記事にご意見・ご感想、新たな情報をお寄せ頂き、ありがとうございました↓

 

naka3-3dsuki.hatenablog.com 

 

naka3-3dsuki.hatenablog.com

 

特に、頂いたコメントに対して、2つ目の「続・死後の人文学者の蔵書問題」の反響が大きく、なかでも、はてなブックマークコメントには、たくさんのご意見・ご感想等を頂きました。

 

4月29日の午前12時台までのはてなブックマークコメントについて、全体的に同じようなコメントがあり、Twitterで少しお返事と補足をいたしました。せっかくですので、本記事を「続々・死後の人文学者の蔵書問題」と題し、一連のツイートに新たに得た情報を加えて、まとめたいと思います。

(一連のツイートは、誤字・脱字を修正した上で、読みやすくするために少し加筆・修正しました)

 

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2.はてなブックマークへのお返事+補足

仲見満月 👻経歴「真っ白」博士‏ @naka3_3dsuki


こちらの記事に頂いたはてなブックマークコメントについて、俯瞰したら、幾つか同じようなご意見・ご感想を頂きました。少し、お返事させて下さい。

naka3-3dsuki.hatenablog.com

 

 その1.スキャンして、電子化していくという案

仲見満月 👻経歴「真っ白」博士‏ @naka3_3dsuki

 

個人では大変困難なことは次の記事で書きました:学術図書の「自炊」で苦労した話 

naka3-3dsuki.hatenablog.com

日本の図書館は、一般書は電子書籍を出版元から提供されるが、貴重書でないと電子化はされないことが多いです。業者に頼むにも図書館の職員が作業するにしても、電子化にはお金と時間がたくさん、かかるんです。なので、これからは学術書も紙書籍と電子書籍の両方を同時に出せば、蔵書管理や寄贈の色んな面で便利になるとは思います。

 

 その2.蔵書は弟子や関係者で分けるという案 

 仲見満月 👻経歴「真っ白」博士‏ @naka3_3dsuki

現在のところ、この案が適解かな?と私は個人的に考えています。具体的な方法は、今回の該当記事で書いていますので、そちらをご覧下さい。

 

なお、故人の学問体系を知るためなら、蔵書目録で足りるのでは?というご意見を頂きましたが、私は大まかに同意。どんな本を持っていて、どのように並べていたかまで、蔵書目録に詳細なデータを作成。頂いたコメントを参考にした考えをもとにすると、読者メーター、あとブクログのような目録を作成し、それを持ち主のオリジナルの並べ方にすれば、電子空間に本棚は再現できます。紙の目録は、その電子目録を印刷すればよいと思います。

 

細かな本文の線の引き方や、書き込みは再現できません。版本のバージョンの近いや、版本ごとの文字の移動について、文献を使って研究している分野の人には、向かないやり方かもしれません。桑原武夫の蔵書にあった、和漢籍については、後学にとって、目録ただけでは研究が難しいでしょう。蔵書を引き取ることと読書メーター式の目録をセットにすることで、後学の研究はある程度、利便性を維持しつつ、引き取った本のスペースも最小限にできるのではないかと考えました。

 

ただ、電子空間に目録を作らない主義の人たちもおりまして、その方々いわく、ネット上に自分の思考や好みなど、情報をさらけ出すのがよろしくない、という主義だそうです。あらぬ疑いをかけられ、警察や公安に捕まる可能性もゼロではないでしょう。この場合、ネットに同期しない記憶媒体に目録をワードやエクセルのデータとして、保存して頂き、その存在と保存場所を継承者にお伝え頂けると、いろいろと助かります。

 

<参考>

bookmeter.com

booklog.jp

 

 その3.寄贈書をめぐる図書館側と寄贈側の双方について

今回の問題で、これが最大のポイントではないかと思いました。

仲見満月 👻経歴「真っ白」博士‏ @naka3_3dsuki

 

その3.図書館に様々なキャパシティがないのに、寄贈を引き受けてはいけないのでは?寄贈側は、場所に困って自分達で蔵書を保管できない事情で、図書館に寄贈した以上、寄贈書のことは図書館に任せるべきでは?ということに関する皆さまのコメントについて。

 

どちらの意見にも、ほぼ同意で、実際に寄贈書の受け入れ時の規則について、このように明文化している図書館もあるようです。図書館は、住民の「無料書庫」ではありません。

もし、寄贈本を一般公開で貸出利用できるようにするなら、拙記事に書きましたが、クラウドファンディング等の手段で管理や維持にかかる費用を集めて、図書館に出資できるシステムを作ればいいかと。法律面で気になるところがあれば、自治体の議員に相談して、議会で条例案を審議させて、特別条例を施行するのが、ひとつの手でしょう。

 

あとは、一族に蔵書の管理を引き受ける人を育て、その引き受け手を一族でサポートするとか、ですかね。ただ、単なる押し付けにならないよう、こちらも引き受け手と支援する親族との間で、取り決めを行い、契約書を作っておいたほうが賢明だと思います。遺産相続に絡む問題の対策も考えましょう。

 

下線部の寄贈書の受け入れの規則については、桑原武夫の蔵書廃棄問題が起こった京都市の近隣府県の政令都市、大阪市と神戸市の各市立図書館について、調べてみたところ、寄贈の案内をするページに、関連する文言がありました↓

大阪市立図書館から図書寄贈のお願い - 大阪市立図書館

図書の寄贈について-神戸市

 

いずれも、寄贈された図書については、

  • 図書館の蔵書として利用させてもらうほか、
  • 既に所蔵している(=重複する資料がある)等の事情によって、図書館では受け入れないと判断したものに関して、市民や他の公的団体に無償で譲渡する場合などがある
  • 寄贈された図書についての取り扱いは図書館に一任してほしい
  • 寄贈図書の返却・問い合わせに応じられないこと、了承してほしい

という文章が書かれていました。どちらの市立図書館でも、寄贈されると助かる本は、ベストセラーや予約件数の多い、人気の図書だと書かれていました。また、郷土資料についても、収集を呼びかけています。

 

ネットで調べていたところ、寄贈本を受ける側の図書館の事情について取材され、現場の声を詳しく伝えるオンラインニュースの記事を見つけました。 受け入れた寄贈本い冊につき、「登録番号やバーコードのラベルを貼る」作業に1冊あたり何円かかるのか、活用できなかった寄贈本はどこに行くのか、等の具体的な話が出ています↓

www.sankei.com

(*以下、本ブログへの記録目的で全文転載させて頂きました。ごめん下さい)

 

善意の寄贈本に苦慮する図書館 何が本当に必要か考えて

2014.10.29 09:30 産経オンラインニュース

 

 各地の図書館が、市民から善意で寄せられる「寄贈本」の対応に苦慮している。すでに所蔵しているものと重なったり、古い学術書などは研究が進んで内容が大きく変化したりと、図書館にとって活用しにくいものが多く、実際に棚に並べられるのは1、2割程度。専門家は「寄贈前に図書館にとって必要か考えてほしい」と訴えている。(横山由紀子)

 

◆蔵書活用2割以下

 人口16万人の千葉県浦安市。市立図書館は、中央図書館と分館の計8館あり、年間貸し出し数は約200万冊にのぼる。これは人口1人当たりにすれば約13冊。同規模の自治体の平均の2倍以上で、利用率が高い図書館だ。

 

 それだけに、市民からの本の寄贈も多い。昨年度の寄贈本は1万2760冊。同市立中央図書館の森田正己館長は「せっかく持ってきていただくのだから、どんな内容の本でも受け取っている」と話すが、職員は1冊ずつ、蔵書にふさわしい本かどうかをチェックする作業に追われる。百科事典や文学全集など図書館が既に所蔵する本だったり、法律書や医学書など学術関係の本は、内容が変化し数年たつと活用できないことも多い。中には茶色く変色して傷んだ本もある。昨年度、実際に蔵書として活用できたのは、2230冊で2割にも満たない。

 

 森田館長は「寄贈本からは、思い入れのある本を捨てるのは忍びない、という本を愛する人たちの思いを感じます。ただこれほど量が多くては」と困惑している。

 

◆手間もコストも

 立命館大学文学部の常世田(とこよだ)良教授(図書館情報学)によると、同様の悩みを抱える図書館は少なくないという。「図書館で実際に活用できるのは1~2割程度しかない。職員はほかにやるべき仕事も多く、その労力も大変」

 

 コストもかかる。図書館の蔵書にする場合、本の表面にフィルムコーティングを施し、登録番号やバーコードのラベルを貼るなどの作業が必要だ。またタイトルや出版社、ページ数、分類などを記した目録データを合わせて購入することもあり、蔵書にするには、1冊あたり150~200円かかるという。常世田教授は、「新刊はそうした“装備”が施された上で専門業者から購入している。それに比べて寄贈本は図書館の負担が大きい」と指摘する。

 

◆無料で提供

活用できない寄贈本をめぐっては、図書館ごとに対策をとっている。

 

 大阪市立中央図書館(同市西区)。窓口で寄贈本を受けとる際、すでに所蔵する文学全集や辞典など、活用が見込めない本の受け取りは断るようにしている。

 

 その上で活用できなかった寄贈本などは、館内に「リサイクル本コーナー」を設けて無料で提供。市民には好評で、毎朝約50冊並べると、夕方にはほとんど無くなる。今年度は約2万冊のリサイクルが見込めるという。

 

 兵庫県宝塚市の市立中央図書館では、ホームページで、「寄贈はベストセラーや新刊図書、郷土資料などに限る」と告知している。さらに、寄贈してほしい本として利用者からの予約の多い本のランキング表を掲載。同館司書の藤野高司さんは「ベストセラー本はありがたい」と話す。それでも寄贈本はあふれる一方で同館も、リサイクルコーナーを設けて対応している。

 常世田教授は、「寄贈本は本人の手元になくてもいい本であり、図書館が求める方向性と合わないのも当然といえる。寄贈前に、図書館が本当に必要とする本なのか考えてみてほしい」と話している。

善意の寄贈本に苦慮する図書館 何が本当に必要か考えて(1/3ページ) (2/3ページ) (3/3ページ) - 産経ニュース

 

仲見満月 👻経歴「真っ白」博士‏ @naka3_3dsuki
以上、はてなブックマークのコメントへに対する、お返事でした。今回の「続・死後の人文学者の蔵書問題」の拙記事の補足として、ツイート致しました。

 

3.最後に(付記:「桑原武夫氏蔵書 無断廃棄って何? 」まとめ)

以上、はてなブックマークで頂いたコメントを中心に、ツイートした一連のお返事を再構成し、補足として新たに調べたことを書きました。

 

それから、今回の蔵書の無断廃棄の件について、はてなブックマークで時系列順に、オンラインの新聞記事やwebページ(拙記事含む)の並んだページを見つけました。改めて、共有いたします(元のタイトル:「桑原武夫氏蔵書 無断廃棄って何? 」)。

b.hatena.ne.jp

 

これらの情報について、【2017.4.29_1330追記】続・死後の人文学者の蔵書問題~「「先生の学問体系失った」 桑原武夫氏蔵書、無断廃棄」(京都新聞)を中心に~ と一緒にご覧いただいて、「死後の人文学者の蔵書問題」を考えて頂けたらと思います。

 

 

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