仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

2000年代後半以降の二度の中国訪問時の体験談と職業研究者を目指す人に向けた留学・就労メモ+補足で本紹介

<今回の目次>

1.5月の祝日と東アジアの国々

ゴールデンウィーク、皆さま、いかがお過ごしでしょうか?同じ時期、5月の頭は中国ではもメーデーから一週間ほどの間、連休になるそうです。 "黄金周"と呼ばれます。

 

ついでに言うと、大陸中国では端午の節句は旧暦で祝いますから、昨年、上海を訪れた時、街中のカレンダーでは、6月の頭のあたりが端午の節句らしき祝日になっていました。今月のTop記事の画像は、上海のデパートで、ウルトラマンシリーズ50周年を記念した展示であり、端午の節句まで展示されるようです。

 

一方、韓国は新暦の5月頭にこどもの日があるらしく、中国や日本ほどの連休はないようです。それでも、院生時代、5月の頭に韓国に調査で行ったときは、 こどもの日は祝日だったように記憶しております。詳細は、次の拙記事をお読みください:

naka3-3dsuki.hatenablog.com 

こうした居住地域と、近隣の諸国との祝日の違いは、実際に訪問するか、滞在して長期間、住まない限り、なかなか肌感覚として感知することはできないでしょう。特に、私の研究のような、生活の中の文化や主観の違いは、現地に行かなければ分からないことが沢山あるでしょう。外国に滞在することは、時に母国より近隣諸国のほうが、ある面で自分に合っている・合っていない、キャリアにおいて利益をもたらす・不利益を出す。といった、新たな生き方のヒントを見つけるきっかけになるでしょう。

 

前置きが長くなりました。今回、キャッチした次のニュース記事を読み、日本人の院生や院卒者が職業研究者を目指すキャリアにおいて、中国で活動する際のポイントを考えました。 

jbpress.ismedia.jp

 

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 (イメージ画像:タブレットPCの中の上海)

 

 

 2.「タダでも中国には行きません 深刻な学生の中国離れ 一方通行の学生交流、このままでは情報格差が広がるばかり」(JBpressより)

 2-1.ニュース記事の内容

(*記録のために、こちらの記事を転載させて頂きます)

タダでも中国には行きません 深刻な学生の中国離れ 一方通行の学生交流、このままでは情報格差が広がるばかり

2017.5.2(火)姫田小夏

 

 先日、亜細亜大学の範雲涛氏(アジア・国際経営戦略研究科教授)から「日本の大学生の中国への関心がどんどん低下している」という話を伺った。範教授は、日中青年大学生交流事業「鑑真プロジェクト」の実行委員長を務めているのだが、目下、中国に連れて行く日本人学生の募集に腐心しているのだという。

 

 このプロジェクトは、唐代の伝戒師、鑑真和上の足跡をたどりながら日中両国の学生が交流するというユニークな試みだ。

 

奈良時代に日本の僧である普照と栄叡が11年かけて鑑真和上を日本に招請した物語は、中学の歴史教科書にも記載されている。2008年、この有名な史実に着想を得て日中の学生による民間交流が動き出した。

 

 第1回以降は、日中間の政治的冷え込みにより休眠状態に入ってしまっていたが、2016年にプロジェクトが息を吹き返す。両国の政治的関係は決して良好とは言えないが、中国からの留学生や訪日観光客の増加を見るように一時期の険悪なムードは薄れつつある。中国側も受け入れ体制づくりに積極的に関わるようになってきた。

 

 2016年10月の第2回ツアーを実施するために、旗振り役の範教授は東奔西走した。プログラムを組んだり、協賛金を集めたり、中国側との折衝を行ったりと、仕事は骨の折れることばかりだったという。

 

 応募の条件は「中国に興味があることと、1000字程度の小論文の提出」というもので、決して高いハードルではなかった。しかし、なかなか学生が集まらない。最終的に全国から18人の大学生が参加することになったが、そもそも「日本人学生の中国への関心がものすごく低い」ことに範教授はショックを受けた。

 

 一方、中国側の日本への関心は高い。今年3月、中国の大学生を日本に招待して日本の大学生と交流させる企画では、募集段階で65名の申し込みがあり、そのうち43人が来日した。中国側の学生は日本を訪れることにきわめて意欲的だ。

 

中国となると“話は別”

 

 範教授は、亜細亜大でのゼミの中で学生たちに「なぜ中国に関心を向けないのか」と問いかけてみた。すると、出てくるキーワードは、やはり「領土問題」「海洋進出」「反日」などだった。ある女子学生は、トイレなど衛生面の不安を挙げた。

 

鑑真プロジェクト」では、現地の交通費・宿泊費・食費など滞在に関わる費用は事務局が負担する。しかし、中には「招待されも中国には行きたくない」とまで言い切る学生もいた。

 

 近年、日本の若者が海外に行かなくなったと言われている。だが、本当にそうなのだろうか。2016年の日本人のパスポート取得数(外務省)を調べてみると、その数は2年連続で増加しており、「20~29 才」のパスポート発行数は78万3047冊、年代別比率は20.9%で「19才以下」の22.1%に次ぐ高い割合だ。

 

 都内の大学に通う女子大生の太田稀さん(仮名)は、「若者が内に籠っているとは決して思いません。マレーシアやタイでの研修などに積極的に参加する学生は多く、留学志願者も少なくありません」と話す。

 

 しかし、中国となると“話は別”なのだと言う。「私は第二外国語に中国語を選択していますが、同期の学生が中国に旅行や留学に行ったという話はほとんど耳にしません」(同)

 

 その理由について尋ねると、「おそらく中国という国に魅力を感じたり、憧れたり尊敬したりする人がいないんじゃないでしょうか。大金を投じてまで行く価値があるとは、周りの友人たちは思っていないのだと思います」という回答だった。

 

 学生が集まらないのは「鑑真プロジェクト」だけではない。日本国内で募集される訪中型の交流イベントはどこもほぼ同じ状況だ。「学生に呼びかけても反応は悪く、数が集められない」(首都圏の日中友好協会支部)という。

 

日中間で進む「情報格差

 

 旅行業界も頭を悩ませている。日本にはLCC(格安航空会社)を含めて数多くの日中航路が乗り入れているが、その利用者は圧倒的に中国からの観光客だ。日本から中国に行く日本人旅行客はなかなか集まらない。2000年代に旅行業界で中国への観光旅行が“ドル箱”と言われたことは、今では遠い昔話となってしまっている。

 

 愛媛県のある自治体職員は、松山~上海のLCC航路について次のように語っている。

 

「松山に来る便は中国人客で満席だとしても、復路は別の空港から帰国してしまうケースが多々あり、搭乗率はなかなか高まらないのが実情です」

 

愛媛県ではそのような事態を打開するために県内の学生に注目した。LCCを使った格安の上海ツアーを企画し、学生に利用してもらおうとしたのだ。だが、事前アンケートから浮き彫りになったのは「学生たちの中国に対する無関心さ」(同)だった。結局、松山発のLCCツアーは、上海が目的地とはならず経由地となり、目的地は東南アジアや台湾になった。ツアーは「抽選でご招待」という形で無償化された。

 

 旅行、学生同士の交流、姉妹都市交流など、日中の民間同士が交流する機会は数多くある。だが、ここに来て「双方向の交流になっていない」という問題が生まれつつある。このまま行くと、「実際に日本を訪れて日本の理解が進む中国人」と「中国についてウェブ上の情報しか持たない日本人」との間で、情報格差が広まるばかりだ。このアンバランスな状態は決して座視できるものではない。 

(タダでも中国には行きません 深刻な学生の中国離れ 一方通行の学生交流、このままでは情報格差が広がるばかり | JBpress(日本ビジネスプレス))

 

 

 2-2.2000年代後半以降の二度の中国訪問から考えたニュースに対するメモ

昨日2日配信のニュース記事を読んで私が言えることは、反日運動や領土問題のことについては、その運動が激しい時期、私は中国に行っていないので、詳細は分かりません。少なくとも、私自身が反日運動や領土問題で、何か損害を受けたことは、これまでありませんでした。ただ、2010年代前半まで、中国都市部に住んでいた日本人の駐在員の知人が、反日デモにぶつかり、韓国語をビジネスレベルで話せる彼女は、韓国人のふりをし、デモ隊から逃れた話は聞いたことがあります。彼女は現在、日本の事務所に勤務しています。また別の方のお話では、仕事で訪問した知人の日本人男性がタクシーに乗って移動していた時のこと。反日のデモ隊にぶつかりそうになったのを察知したタクシー運転手が、乗客が日本人だと分かった上で、迂回してデモ隊との接触を回避してくれたそうでうす。更に、その運転手は気を使ったのか、その乗客に中国映画で高倉健に関連した話をしたそうでした。

 

私の周辺の方々のお話では、少なくとも、個人レベルでは中国人の人たちにも、政治的な立場をめぐって日本に批判的で嫌いな人たち、日本に留学経験の有無を問わずに割と好意的な姿勢を持って仕事をしている人たち、欧米のほうに目が向いていて日本に関心が薄い人たち(主に研究業界の人たち)と、いろんな立場の人たちがいるようです。そういうわけで、最初にお断りしておくと、日本語で書かれた中国に関するネット上の情報は、全部が全部、本当でも嘘でもないと言えるでしょう。そもそも、中国は日本の26倍の面積を持ち、十数億(無戸籍人口も入れると二十億との噂)倍の人口を抱えた多民族国家ですから、様々な情報があっても、何ら不思議ではありません。

 

ここからは、私が中国に行った2000年代後半に訪問した広東省の広州と農村、および昨年の今ごろに就活で訪れた上海の都市部での経験をもとに、ニュース記事の中身について、コメントをさせて頂きたく思います。

(*中国のこと研究してるくせに、滞在回数が少ないじゃないの?というご指摘は、一旦、お納めいただけると話しやすいです。ぜひ、そのようにお願い致します。)

 

  その1.トイレ等の衛生面のこと

まず、記事の中に出てくる「ある女子学生は、トイレなど衛生面の不安を挙げた」は、中国の農村に行くと、まあ、潔癖な日本人の端くれの私から言えば「不衛生」なところはあります。私は大学の授業で、2000年代後半、広東省の地方都市や農村をフィールドワークで訪れたことがありました。その中には、文化遺産に登録された村も含まれており、観光整備が始まった最初期のせいか、家畜を飼育する自給自足の村を住民の生活ごと保存していたせいか、アレルギーを抱えていた私は、何とか踏ん張れた衛生レベルでした…。そこから、10年近く経った昨年5月、上海市内で電車に揺られていた私は、郊外の駅で、訪れたことのある広東省の農村に近い町を見つけ、ビル乱立する上海都心部の風景との差に、驚きました。詰まるところ、先の女子学生の不安は、農村に行くことが分かっていれば、ある程度、対策して行くとよいでしょう。

 

ニュース記事中の「 日中青年大学生交流事業「鑑真プロジェクト」は、「唐代の伝戒師、鑑真和上の足跡をたどりながら日中両国の学生が交流するというユニークな試み」というわけで、読んだ私は「道なき道を行くのだろうか?日本の学生たちには、耐えられるだろうか…」と不安でした。このプロジェクトを調べると、中国での活動は、

ということで、都市部を回るのがメインのようでした。そういうわけで、衛生面については、都市部を中心に回るから大丈夫ということを事前に説明し、農村を回ることがあれば、大学教員やプロジェクトのスタッフがトイレ等の使い方の説明を学生にするなど、工夫をしておけばよいと思います。 

 

一方の都市部のほうですが、2000年代に訪問した広州市中心部は、ほぼ当時の日本と変わらない生活ができるほど、便利でした。マクドナルドのトイレ、日本のマクドナルドと変わらない清潔さでした。さすがに、広州内のコンビニにコピー機はなく、現地の学生付き添いのもと、22時くらいに、滞在先の大学付近のコピー屋で授業で使う資料をコピーしに行ったことがありましたけど…。

2016年5月の上海中心部では、観光地は日本とほぼ変わらない清潔さでした。ついでに行った東方明珠のタワー内のトイレは、特にきれいでした。

 

  その2.街中の交通ルールや地下鉄の乗車マナー等について

2000年代の広州市内の交通ルールは、現地の学生いわく「信号を守らない車もあるから、横断歩道は注意してわたってね」と言われた覚えがあり、どんくさい私は、地上の道路を渡る時は、現地の学生にくっつくか、一人の時はアドバイスに従って車の運転手を凝視し、事故が起きないように渡りました。地下鉄の社内マナーは、すみません、覚えていません。

 

過去の広州市内での交通ルールに関する経験があり、就職活動で上海市内のあちこちを行ったり来たりする時は、「どんくさくて、広い道路で交通事故に遭ったら、大変だ!」とビビりつつ、情報収集をし、なるべく地下鉄で移動する方針をとりました。そうはいっても、最寄駅から採用試験の会場まで、地上の車道を渡らないといかない場合は、ありました。実際、上海に到着後、会場までの生き方を確認がてら、途中で住宅街で車道を渡ったところ、車のドライバーが赤信号で止まり、歩行者もバイクも交通ルールを比較的、守っているようでした。ただし、路肩を徒歩で移動中、後ろから来た電気自転車に気づかず、かすったことはありました。

地下鉄内ついては、大きなスーツケースをいくつも抱えている乗客はいたものの、混雑したところでも、私はトラブルに遭遇しませんでした。乗り込む前、プラットフォームでも1~2列に並んび、列車が到着すると、降りる客は出口の左右の端から降車し、乗るほうは入口の中央から列になって乗り込む様子(電車も同様な模様)。

この乗り方は、日本の地下鉄にも導入してほしい方式でした。

 

上海の街中を歩くと、交通ルールや路上マナーを喚起する看板がありました。

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(画像:上海市内某所の道路沿いの看板、2016.5執筆者撮影)

 

そういうわけで、現在の広州市広東省の農村部については不明ですが、少なくとも、2016年5月時点での上海市中心部の街中の交通ルールや地下鉄での乗車マナーについては、日本で暮らすのとほぼ同じくらい、守られているようです。ただし、路上に痰や唾を勢いよく吐き出すオッチャンは、上海都心部で見かけましたので、遭遇の際にはご注意ください。

 

  その3.インターネット事情

日本で利用者のあるSNS動画共有サイトが中国国内で見られるかどうかは、以前、拙記事で次のように書きました:

上海には初訪問です。ホテルに泊まっていたところ、やっぱり、”谷歌”は使えなかったよ…。Youtubeも、FacebookTwitter、そしてLINEもダメでした。どうりで、今もポケモンGOが大陸では配信されないわけだ(mixiカカオトーク等は、大丈夫なようでした)。

(「サヨナラニッポン~若者たちが消えてゆく国~ 2012.08.23」~それと私の見た2016年の上海~ - 仲見満月の研究室)

ついでに、ニコニコ動画も見られなったと思います。カカオトークの使用は、朴槿恵前大統領が習近平主席に訴えて、中国国内でも使えるように認めさせたという、噂を聞いたことがあります。”谷歌”=Googleは撤退して久しく、AndroidのOSの日本人には、けっこう、きついと思いました。そういうわけで、中国ではi Phoneの使用率が肌感覚的に、かなり高いように感じました。

そういう話を前にツイートしたところ、フォロワーさん情報では街中のスマホショップに行って、こっそり店員に設定してもらったり、日本からVPNを持ち込んで海外経由でTwitter等に書き込んだり、していたようです。『中国嫁日記』』作者も、仕事の関係で広東省で暮らしていた際、いくつか回線を契約し、VPNで香港かどこかを経由する形でネットに接続し、中国当局が怪しんで回線に負担をかけてきたら、別の回線に切り替えてツイートしていたらしいです。

 

ここまでが2015年くらいまでの話で、2016年以降、VPNによる中国国内でのネット接続は、厳しくなっていったようでした。最近では、2017年に入り、Googleが中国に再上陸をしようとしている噂を聞きました。

 

こういった事情により、中国では140字以内で書き込めるミニブログ微博”(中国版Twitter)等の独特のSNSが発達し、国内で多くのユーザーを抱えています。

 

  その4.2-2のまとめ

以上のような私の経験を踏まえて、次のツイートをしました。

仲見満月 👻経歴「真っ白」博士‏ @naka3_3dsuki

中国に無関心な日本人学生のことは、察せられます。上海の街中は、交通ルール、地下鉄マナー、トイレの清潔さは日本並みになってきています。あとは情報統制&Androidスマホが使えないこと。Google、再上陸、頑張れ!

日本人学生が「タダでも中国には行きません」と言っても、私の経験や周囲の人たちの話をもとに考えると、ネット上の情報もあながち嘘ではなく、かといって本当でもない部分があり、仕方がないのかもしれません。

 

ところで、なぜここまで日本側の学生の中国に対する無関心があるのか?ニュース記事への反応を読むと、日本では中国に対してビジネス上ドライに接している人が増えたからでは?という意見や、マスコミや政府が中国に対するよくないイメージをつくったのでは?という見解が、見られました。自分で色々と調べてみましたが、正直なところ、私には判断ができません。ただ今の私に言えることは、日本にいる限り、日本の人たちはお隣の中国と外交やビジネス等で、付き合っていかざるを得ないのは、確かだと思います。

 

ニュース記事によれば、日本を訪れる中国からの訪問者はある程度、います。また、タイやマレーシアに留学する日本人学生は増えているようです。東南アジアは大陸中国と結びつきの強いと言われる中国系の人たちが多く住んでいます。

中国へ行く人は少なくなっても、日本を訪れた中国の人たち、それから東南アジアに留学した日本人学生が現地の大学で中国系の学生や中国人留学生と交流を重ねて、お互いのことを知っていくことが相互理解の第一歩だと思いました。

 

 

3.職業研究者を目指す人に向けた中国での留学・就労メモ

ここからは、職業研究者を目指す方々に向けて、中国での留学や就労時、その後のキャリアを考え、気をつけたらよさそうなポイントをまとめておきます。ツイッターで呟いたことを中心に、私の周りの人たちからの情報も書いていきますね。

 

 3-1.中国の大学在籍時、一本は査読論文を日本語以外で出すこと

仲見満月 👻経歴「真っ白」博士‏ @naka3_3dsuki

職業研究者を目指す人で、中国の大学で日本語講師としてのオファーが来たら、私なら行きます。中国の大学の大学教員は英語が話せる人が多く、論文も英語で書き、国際ジャーナルに投稿。人脈的なチャンスは広がる。

 

職業研究者の話だと、英語ができなくても、中国語を修得して、中国語で論文を書いても、国際的にたくさん人に読んでもらえる。世界的に、日本語よりも中国語の話者が多いのと、中国に関する研究者をしている人もそれだけ、多いからです。

留学経験や就労経験のある方の話では、中国の大学では修士課程の時、英語の査読論文2本が修士号取得の条件というところがあるようです。また、中国の大学教員は、東洋学の分野でも、英語の国際ジャーナルに投稿する人が多いと聞いたことがありました。日本の大学では、院生にしても講師以上の大学教員にしても、人文・社会学系の研究機関では、伝手や機会がないと難しいと聞いたことがありました。日本語より世界的に読める人の多い英語や中国語で査読論文を出し、評価の高い業績を積みやすい中国の大学で研究を続ける価値は十分あるでしょう。

(中国の大学といっても、たくさんあります。情報収集を行い、研究しやすい環境を選ぶのがよいかと)

 

 3-2.中国にいる間、その分野の有力者と人間関係をつくっておくこと

3-1にも書いたように、人脈的なチャンスを中国にいる間につくっておくことは、重要です。中国の大学にいる間、学生だろうと、講師だろうと多忙なようですが、環境上、中国国内の学会で発表したり、国際的なシンポジウムで登壇したりする機会をもらえることがあるでしょう。もし、そういった情報をつかんだら、積極的に参加して、自分の研究をアピールしつつ、できたら分野の有力者とつくっておきましょう。

 

留学や就労の期間終了後、中国から別の国の研究機関に就職したい場合、有力者を頼って推薦状を書いてもらったり、認められれば有力者の所属先に引っ張ってもらったり、次の留学先の受け入れ責任者になってもらえたり、することがあるそうです。

 

日本よりも、競争は厳しく、多忙なようではあるけれど、しっかり学び、しっかり研究ができて、業績が積める中国の大学を探して、頑張ってみることができると思います。

 

 

4.まとめ

以上、JBpressのニュース記事について、私のここ10年以内の二度の中国訪問の経験と周辺の方々の情報をもとにコメントを行った上で、職業研究者を目指す人に向けた中国での留学・就労に関して、ポイントを整理しました。

 

ニュース記事が伝えるように、中国に対して無関心な日本の学生が増えたことは、非常に残念ではあります。たしかに、ネットが伝える中国の情報は、あながち、間違っているとは言えない、かといって事実とも言い切れないものがあり、どうしようもないところはあります。ならば、中国に限定せずとも、日本国内や東南アジアをはじめとする海外で、中国の人たちと交流を重ねられれば、相互理解は広がるんじゃないかと考えました。

 

日本で職業研究者を目指す人にとっては、国際的な業績を積むやる気があれば、中国での留学・就労期間中、精力的に動き回ることをすすめたいです。そうは言っても、中国は広いですから、自分の体質や持病を考えて、どこの地方に行くかも考慮されてください。私の場合、アレルギーとひどい咳症状のキャリアで、北京や瀋陽など空気が悪く、乾燥していて、春には黄砂が多い北方は、住みたくても住めないので、就労では上海を選択しました(採用試験に落ちましたが)。

 

本記事の冒頭にも書きましたが、海外のことを肌感覚で知っていると、その時その時で自分が住みやすいところを探し、居住することができると思います。これを読まれた方には、そのあたりも考えて頂き、隣国との付き合い方だけでなく、ご自身の新しい生き方のヒントにして頂けたら、幸いです。

 

そうは言っても、 昨今は中国はキャシュレス決済が広がっているとか、宅配荷物の工場での仕分けロボットにAIの一種らしき群知能を使っているとか、今も天怪地奇なところ。スゲーと好奇心を向けつつ、また私は行ってみたいですね。

 

 

5.補足:中国とその周辺を知るための気になる本の紹介

書ききれなかった、本の紹介をここで致します。

 

 5-1.2010年代以降をメインに中国とその周辺を知る

昨今の中国とその周辺情報は、管見の限り、ノンフィクション作家の安田峰俊さんが最初に挙がります。ここ数年は中国がけでなく、広くアジアの事情を執筆、出版物を翻訳されておられます。私が気になってい作品は次のものです。

 

:「腐り切った現体制に業を煮やした共産党若手エリート顔伯鈞」が、改革の為に奔走するうち、逮捕・拷問等の体制側の追っ手からの逃亡過程をまとめた手記。人によっては、笑えるほど、面白いようです。

 

 

私が読みかけている安田さんの本:

 

:国や時代のはざまで動き、それでも生きる。日本で生活するベトナム難民の家族、日中の間を揺れ動く混血の人など、様々な「境界の民」を負ったルポ作品です。冒頭がYahoo!知恵袋の在日ベトナム難民の子孫の質問に始まり、そこから始まる現代日本の難民受け入れの流れは、知らなかった情報であり、色々と考えさせられました。

 

 近刊は、浅羽 祐樹先生・木村幹先生との共著で、韓国に関する『だまされないための「韓国」 あの国を理解する「困難」と「重み」』(講談社、2017年)

 

中国のインターネットやデジモノ等については、フリーライター山谷剛史さんの代表作を気にしています:

中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 (星海社新書)

新聞社勤務を経て、中国に対して広く執筆活動をされているジャーナリスト・福島香織さんの著作は次のものを読みたいです。

この時期の中国とその周辺の事情を知るのは、本ブログでの何回か、レビューしたノンフィクション作家・写真家の星野博美さんの作品があります。次の拙記事で紹介しました:

naka3-3dsuki.hatenablog.com

naka3-3dsuki.hatenablog.com

 

この他、文学作品を通じて窺える在外チャイニーズと、その周りをとりまく現代史については、次の目次に拙記事をまとめました。イギリスのチャン・ユアン、アメリカのイーユン・リー、フランスのシャンサ等の著作を中心にレビューしています:

naka3-3dsuki.hatenablog.com

  

私が気になっている書籍、および読んだことのある作家と本は、以上です。長くなりましたが、 ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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