仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

給付型奨学金や学生に対する経済的支援をする大学や企業・団体の取り組み~「800万円支給の大学、返済支援する企業…知っておくべき奨学金活用術」(週刊朝日)~

<本記事の内容>

 1.はじめに

昨日の更新:

naka3-3dsuki.hatenablog.com

では、

競争は激しいものの、民間企業や財団等の給付型奨学金の募集があるようです。また、調べて別記事で紹介できたらと思っております。

(【ニュース】「大学授業料、出世払いで 自民教育本部が首相に提言」(日本経済新聞)+返済型奨学金や学費免除・学費自活の実例等まとめ - 仲見満月の研究室)

ということを最後に書きました。今回、キャッチした週刊朝日の記事に、給付型や返済なしの奨学金について、具体的な話が出ていました。取り上げます。

 

dot.asahi.com

 

先に、簡単な日本の大学に通う学生の返済型奨学金の現状や、新たな大学・企業等の奨学金制度の動きについて、週刊朝日の記事で見ましょう。

 

 来春入試に向け、志望校選びとともにチェックしたいのが奨学金の情報だ。返済が必要な貸与型はよく知られているが、最近は返済が不要な給付型も増えている。大学、自治体、企業や財団など、さまざまな団体の制度を紹介する。(中略)

 

 今や奨学金は大学生のほぼ半分が利用するが、大半は返済が必要な貸与型だ。返済が滞る人も多い。日本学生支援機構奨学金を借りた人のうち、延滞者は14年度末に約33万人いた。

 

 先月、元SEALDsの諏訪原健さんが1千万円以上となった奨学金の返済に苦しんでいるとネットニュースで伝わると、大きな反響を呼んだ。返済を巡る厳しさは社会問題化している。

 

 大学卒業までにかかる教育費は、幼稚園から大学まですべて国公立で約800万円。すべて私立だと、約2200万円もかかる。保護者の教育費負担は重い一方で、奨学金を多く借りると子どもが返済に苦しむ。

 

 このため、政府は18年度から1学年2万人を対象に、返済の不要な給付型奨学金を始める予定だ。17年度から一部先行実施する。

 

 政府の動きより早く、大学も給付型の奨学金を相次いで設けている。冒頭に紹介した早大の制度のように、受験前に採否が決まるため、大学選びに生かせる。

 

(800万円支給の大学、返済支援する企業…知っておくべき奨学金活用術 (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット))

 

次の第2項で、団体ごとの授業料免除や奨学金につていて、具体的に紹介していきます。 

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2.大学側による授業料免除や給付型奨学金、支援制度

 2-1.私立大学

  ①早稲田大学の「めざせ!都の西北奨学金

   ・この制度は首都圏以外の高校出身者が対象

   ・親の年収800万円未満などの基準があり、約1200人の採用枠がある

   ・これまで一律年40万円だった

    →2017年度入学者から半期分の授業料免除(48万~72.3万円)に広げた。

 

  ②東北学院大学

   ・2017年4月に、来年度の入学者を対象にした奨学金の新設を発表*1

   ・初年度は約71万~92万円をもらえ、次年度以降も年30万円支給される

 

  ③立教大学

   ・昨年、地方の高校出身者対象だった奨学金

    +1都3県の受験生対象の制度も設けた

   ・同大は「1都3県の学生対象の制度はまだ少ない」という

 

  ④神奈川大学入試選抜型の給費生奨学金制度

   ・文系が年100万円を、理工系が年130万円をもらえる

   ・自宅外通学者は、さらに年70万円が上乗せされる

   ・4年間で最大800万円

   ・昨年は約7千人が受験し、約300人が合格した

   ・給費生の永田滉さん(22)は

   「費用の心配をせずに、アメリカの大学に語学研修に行けて、ありがたかった」と話す

   ・同大は「3年前と比べ、給費生の入学者が3~4倍に増えた。親に学費負担をかけるのが心苦しい受験生が増えているようだ」という

 

  ⑤近畿大学

   ・複数の入試方式で成績優秀者対象の特待生制度を設けている

   ・2017年度入試では、13学部で計1千人以上の枠が設けられた

   ・大半の学部で授業料が4年間全額免除

    …産業理工学部の一部と薬学部は半額免除となっている

   

 2-2.国立大学

  ①京都大学

   ・今年、企業からの寄付による奨学金を新設した

   ・同大OBの企業経営者らに呼びかけて寄付を募り、まず、7社の参加が決定

    …3月から学部生や大学院生を対象に21人を募集

   ・学部生は30万円の奨学金が給付される

   ・実は、ダイドードリンコは社長が京大OBで、社会貢献の一つとして参加

   ・卒業後に入社義務などはない

   ・京大は協力企業を広げ、規模を拡大したい考えだ。

   

   ②新潟大学

   ・給付型の制度を2010年から設けている

   ・入学前に40万円が給付され、希望者は授業料が軽減される

   ・2016年度までに約600人が申請し、約200人が受給したという

 

ざっと見ましたが、給付型奨学金を拡充できそうな大学は、私立大学・国立大学問わず、金銭的な体力があるか、京大のように、卒業生に大企業の経営者がいて寄付をお願いできるとおうじてくれるか、といった「お財布」がバックに控えているところのように思います。特に、私立大学の首都圏の早稲田大学大阪府近畿大学と言ったマンモス私立大学は、これからも、給付型奨学金を拡充していけそうです。

 

 

3.企業や団体による授業料免除や給付型奨学金、支援制度

 3-1.企業

  ①吉野家

   ・来年度から、店舗での大学生アルバイトらを対象に奨学金制度を導入する予定

   ・入学金や学費を貸与、卒業後に同社で4年以上働くと返済が全額免除される

   ・日本フードサービス協会に加盟する同業他社に入社しても、半額免除になる

 

  ②東京都内のIT企業、クロスキャット

   ・今年度新入社員の希望者に、奨学金返済支援金・最高100万円を一時的に支給

   ・同社は採用予定数を確保できない状況が2013年から続いていた

   ・今年は30人の募集に対し33人が入社、うち18人が制度を利用する予定

   ・返済総額400万円以上の人が3割もいた

   ・担当者は「返済に困る人が予想以上にいて驚いた

   ・会社説明会でも、制度への問い合わせが多い」という。

 

  ③トヨタ女性技術者育成基金

   ・2014年、設立された

   ・学部生対象で製造業のリケジョ(理系女子)の育成をめざす

   ・同基金の担当者は「医療、薬学、化学、環境分野などでリケジョが増える一方で、機械や電気分野でのリケジョが増えていない」と創設の背景を話す

   ・トヨタ自動車アイシン精機など、トヨタグループの10社がお金を出す

   ・学生はどの企業の奨学金に申し込むかを決める

   ・採用人数は計約120人

   ・年60万円を実質無利子で借りられ、卒業後8年間で返す

   ・ただ、基金の参加企業に入社すると、返済額相当額が毎月給付される

 

  ④ソフトバンクグループの「孫正義育英財団」

   ・孫正義社長が昨年に創設

   ・国際大会で優秀な成績をおさめた人などを対象に給付型奨学金を出す

 

 3-2.団体(地方自治体)

  ①群馬県下仁田町

   ・3月に募集し始めた奨学金は、大学生だと月5万円を借りられる

   ・卒業後、下仁田町に住めば、ローン返済を10年間支援

   ・返済を全額肩代わりすることになる

    …「地元へのUターンで若い世代の人口流出を防ぎたい」(同担当者)

 

  ②沖縄県

   ・昨年、給付型の奨学金「県外進学大学生奨学金」を設けた

   ・定員は25人程度

   ・旧帝大早大慶應大などへの進学を条件に、月7万円を給付

   ・卒業後に県内で就職する義務なし

   ・「地元就職だけが、地元への貢献ではない。まずは県外で活躍して頂き、将来的に地元への貢献を期待している」と県庁の担当者は言う

 

企業や団体の制度を見ると、貸与タイプのものがあって、支援する企業に就職したり、自治体に住んだりすると、返済額が減額されたり、そういったところが目立つように思いました。一方、沖縄県は、県外への難関大学への進学者に対し、月7万円を給付する上、「卒業後に県内で就職する義務なし」ということで、「将来的に地元への貢献を期待している」とはいえ、けっこう、太っ腹な制度だと驚きました。

 

 

4.まとめ 

以上、800万円支給の大学、返済支援する企業…知っておくべき奨学金活用術 (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)を読み、大学および企業や団体(地方自治体)が取り組もうとしている授業料免除や給付型奨学金、支援制度について、整理しました。

 

全体として見ると、やはり、金銭的な体力がありそうだったり、お金を出してくれる卒業生や企業がいそうなところだったりして、お金があると制度をつくる時、心強いと感じました。プラス「こういうことを人材として育てたい」という目的があるところだと、支援を受ける学生や社会人は、励みになることがあるのかもしれません。

 

正直なところ、最近の日本は、【ニュース】「大学授業料、出世払いで 自民教育本部が首相に提言」(日本経済新聞)+返済型奨学金や学費免除・学費自活の実例等まとめ - 仲見満月の研究室でお伝えしたように、国自体にお金がなく、また就職してからも給与アップが見込めない経済状態のご時世です。競争は激しいものの、目指すなら貸与型でなく、給付型や免除型の制度のほうが後々、返済していく上での心労はなくて済みそうではあります。そのあたり、皆さま、熟慮されてください。

 

 

最後に補足として、繰り返しになりますが、日本のあちこちの医学部について、先日、フォロワーの方に授業料の免除や補助などの制度を色々と教えていただきました。【2017.5.13_0210追記】高等教育に対する利益の見方についての一考察~財政制度等審議会と『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』から~ - 仲見満月の研究室の「2.嘘つきアーニャの真っ赤な真実の社会主義国家に見える高等教育とそれに対する利益の見方の違い2017511_2336追記」の追記部分でまとめて掲載しております。本記事と合わせて、お読みいただけたら幸いです。

 

とりあえず、今できる方法で、お金や支援を受けて、踏ん張れそうな方法を見つけよう、くらいで探してみるといいと思います。

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