仲見満月の研究室

元人文系のなかみ博士が研究業界の問題を考えたり、本や映画のレビューをしたりするブログ

【ニュース】国内初、早稲田大学と慶應義塾大学が図書館システムを共同運用(大学ジャーナルオンライン)

こんにちは、皆さま。録画した番組や映像をプレイヤーで見ながら、洗濯物をたたんでいたら、むせた瞬間、たたんだシャツと一緒に、必死に頭の中に入れたストーリーも飛んでいってしまいました。

 

私の日常体験はともかく、今回は、日本の私立大学トップツーが、図書館システムの運用で、協力するというニュースをゲットしましたよ:

univ-journal.jp

 

2017年5月21日
国内初、早稲田大学慶應義塾大学が図書館システムを共同運用

 

 早稲田大学図書館と慶應義塾大学メディアセンター(図書館)は、2017年5月12日、2020年度を目途とする日本初の図書館システムの共同運用に向けた覚書締結の調印式を行った。

 

 早稲田大学慶應義塾大学は1986年4月1日から「早稲田大学および慶應義塾の図書館相互利用に関する協定書」を締結し、これまでも専任教職員・大学院生・学部生は図書館の相互利用ができる仕組みとなっていた。

 

 今回、この枠組みを拡大し、共同で利用する図書館システムに両大学の図書データを格納させ、これを相互利用することで利便性の向上を図る。共同運用するメリットは、①システム共同運用による運用の安定化とコスト削減②目録形式の標準化、目録作成のコスト削減③大学間での知識・経験の共有、人的交流の促進④共同運用による利用者サービス・資料の充実などが挙げられる。

 

 今回の締結について、早稲田大学図書館長 深澤良彰氏は、「早稲田大学慶應義塾大学は研究、教育、スポーツなどあらゆる面で好敵手であると同時に、最も互いを分かり合えるパートナーであると考えています。このたびの共同システムに両大学のデータを搭載して、という新しいサービスも早慶だからできるものと考え、期待しております。国内では初となる本取組みを、両校で困難を取り除きながら推進し、利用者の学術情報へのアクセス向上を実現したいと考えております」とコメントした。

 

国内初、早稲田大学と慶應義塾大学が図書館システムを共同運用 | 大学ジャーナルオンライン

 

ニュース記事の冒頭のとおり、早稲田と慶應大学図書館同士で、「2017年5月12日、2020年度を目途とする日本初の図書館システムの共同運用に向けた覚書締結の調印式を行った」とあり、本格的な共同運用は3年後になりようです。そうは言っても、実は、1986年4月1日、両大学は既に大学図書館の相互利用の協定を結んでおり、「れまでも専任教職員・大学院生・学部生は図書館の相互利用ができる仕組みとなっていた」とのこと。

 

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日本の私立大学トップツーがお互いの大学図書館について、互いの構成員の相互利用を認めていたことは、今回のニュースで知りました。早稲田、慶應のそれぞれの大学図書館だけで、けっこうな蔵書数を持っていると思われまして、調べました:

大学図書館ランキング2016 « 学校選びの道しるべ|開成教育グループ 入試情報室 学校・入試情報ブログ

 

この2016年のランキングによると、東京大学京都大学日本大学に続き、早稲田大学は第3位、慶應義塾大学は第4位。細かな数字を調べると、早稲田は「550万冊を超える蔵書数を誇る東洋屈指の図書館」慶應「メディアセンターでは約400万冊におよぶ所蔵資料」とあり、二つの大学図書館の合計冊数は、約950万冊となります。早稲田・慶應の合計約950万冊は、680~700万冊とみられる第2位の京都大学をしのぐ蔵書数となり、それを使える両大学の構成員の方々が、ちょっと羨ましくなりました。

(実際は、いろいろと相互利用に制約があるのかもしれませんが…)

 

さて、今月12日に締結された図書館システムの共同運用では、「共同で利用する図書館システムに両大学の図書データを格納させ、これを相互利用することで利便性の向上を図る」とされています。挙がっている「共同運用するメリット」は、

 

 ①システム共同運用による運用の安定化とコスト削減

 ②目録形式の標準化、目録作成のコスト削減

 ③大学間での知識・経験の共有、人的交流の促進

 ④共同運用による利用者サービス・資料の充実

国内初、早稲田大学と慶應義塾大学が図書館システムを共同運用 | 大学ジャーナルオンラインより再構成

 

です。図書館司書の授業を受けていた身としては、新規購入図書やジャーナルの最新号を蔵書検索システム(OPAC)を含む目録に登録するのは、けっこう技術と時間がかかると聞きました。そういう意味で、①のシステム安定化とコスト削減を受け、②のメリットが大きくなってくるのではないかと思われます。③と④は、早稲田と慶應のそれぞれの強い分野の蓄積をシェアし、切磋琢磨していけそうです。

 

特に、④に関しては、高騰する電子ジャーナルの契約料を安く抑えるという、コスト面でのメリットも見込まれているのではないでしょうか。ここらへんの詳しい事情は、こちらの記事をご覧ください:

naka3-3dsuki.hatenablog.com

 

最後に、早稲田大学図書館長 深澤良彰氏が仰っているように、両大学はライバル関係にあるわけですが、お互い理解している強みを補完しつつ、いっそう、大学図書館の協働システムを充実させていってほしいと思いました。

 

早稲田大学慶應義塾大学は研究、教育、スポーツなどあらゆる面で好敵手であると同時に、最も互いを分かり合えるパートナーであると考えています。このたびの共同システムに両大学のデータを搭載して、という新しいサービスも早慶だからできるものと考え、期待しております。(後ろ略)」

国内初、早稲田大学と慶應義塾大学が図書館システムを共同運用 | 大学ジャーナルオンライン

 

 

あと、一般の人向けに大学図書館の面白そうなガイドブックがありましたので、載せておきたいと思います: 

「オトナの知的空間案内」というサブタイトルが、いかにも、旅行ガイドブック的ではあります。「なか見!検索」で試し読みしたところ、大学図書館ごとの利用資格や、蔵書の特色がきちんと整理されていました。職業研究者の方をはじめ、在野研究者や独立研究者の方にもお薦めの一冊です。

 

これの関西版、北陸版、九州版をはじめとした、ローカライズしたガイドブック、ほしいです。

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