アメリカで「低ストレス、高収入、将来安泰。全てを満たした14の職業」(BUSINESS INSIDER JAPAN)の研究職・調査技術職をゆる~く見る
<今回はゆる~い記事です>
1.はじめに
原稿一本書いてから、はてなの界隈をあちこち、泳いでいたところ、またしてもアメリカの職業セレクトを取り上げたネット記事を発見しました:
低ストレス、高収入、将来安泰。全てを満たした14の職業
Rachel Gillett
Jun. 04, 2017, 04:00 PM
プレッシャーが少ないだけでなく、 給料が良く、将来の不安も少ない環境で働ければ、ストレスに弱い人にとってこれ以上の職業があれば、夢だ。 「高い給料」、「将来性の高さ」、そして「低ストレス」という完璧な組み合わせの職業を見つけるために、我々は、数百という仕事の詳細をまとめたアメリカ労働省のデータベース、O*NETを調べ、アメリカ労働統計局のウェブサイトから、給与データと雇用動向をチェックした。
O*NETは、職業ごとの「ストレス度」をゼロから100までの数値で評価した。数値が低いほど、ストレスが少ないことを示す(これらの職業は、「ストレスがない」わけではない。他の職業よりも、低い傾向があるという意味だ)。 職種ごとの評価は、仕事でどれくらいの頻度で批判を受け入れなければならないか、また強いストレスに効果的に対処しなければならないかを調査している。
平均年収3万7040ドル(約411万円)以上で、2024年まで「安泰」で、ストレス度が55以下という14の職業を、ストレス度が高い順から紹介する。
source:Flickr、U. S. Geological Survey
[原文:The 14 best jobs for people who don't like stress]
(翻訳:本田直子)
挙がっている職業は、次の14です。赤文字が文系、緑文字が理系マとして、無理やり分類しました。
- 歴史学者
- はんだ付け または ろう付け職人
- 化学技術者
- 環境修復プランナー
- 金属・プラスチック加工のコンピューター制御機器プログラマー
- 物質科学者
- 公文書保管人
- 掘削工(石油と天然ガスを除く)
- 地質サンプルテスト技術者
- 燃料電池エンジニア
- 運転技術者 または 建設機械オペレーター
- ボイラーメーカー
- 生物学技術者
- テーパー
それぞれ、色を付けた研究者・調査研究職について、見ていきましょう。
2.14の職業に入った研究者・調査研究職
2-1.文系職
歴史学者
Julia La Roche for Business Insider
歴史学者は、政府・関係機関の資料や新聞、雑誌、写真、インタビュー、映画、電子メディアや未公表の原稿、個人的な日記・手紙などの記録を、調査・分析し、解釈する。
ストレス度:55
平均年収:5万5110ドル(約612万円)
公文書保管人
Thomson Reuters
公文書保管人は、永久保存価値のある記録と歴史的に貴重な文書の査定、編集、および保管についての指示を行う。
ストレス度:52
平均年収:5万500ドル(約561万円)
歴史学者と公文書補完人の2つが文系職として、挙がりました。日本では、前者は非常に狭き門ではありますし、就職したらしたで、昨今の大学・大学院では研究以外の雑務に追われることが常。このあたり、教育と研究の業務内容の区分が米日で異なるところが、影響しているように思います。後者は、日本だと聞いたことがないような職業ですが、要は公文書館の文書保存専門の職員だと考えれば、日本にも相当する職業でしょう。公文書館と言えば、日本だと国や自治体の運営が多く、公務員、そして専門職とししての募集もあると考えれば、やはり狭き門といえそうです。なってからのストレスは、いかほどでしょうか。
2-2.理系職
化学技術者
Flickr/UC Davis College of Engineering
化学技術者は、化学的および物理的臨床検査を実施する。固体・液体・気体物質の定性・定量分析を行う科学者を支援する。
ストレス度:54
平均年収:4万5840ドル(約508万円)
環境修復プランナー
Thomson Reuters
環境修復プランナーは、修復プロジェクトを監督し、新製品の開発のために、現場や生物学スタッフと協力して仕事をする。
ストレス度:53
平均年収:6万8910ドル(約765万円)
物質科学者
US Army RDECOM/Flickr
物質科学者は、金属、合金、ゴム、セラミック、半導体、ポリマー、ガラスを含むさまざまな天然物や合成物、または複合材料の化学的特性を研究する。
ストレス度:53
平均年収:9万9430ドル(約1100万円)
地質サンプルテスト技術者
U.S. Geological Survey
地質サンプルテスト技術者は、石油、ガス、または鉱質沈着物を検知するために地質サンプルや原油、鉱物を検査・分析する。
ストレス度:51
平均年収:5万6470ドル(約627万円)
生物学技術者
Thomson Reuters
生物学技術者は、研究室で生物学者や医学者を支援する。機器の設置、操作、実験器具・装置の保守、実験のモニタリング、観察、計測、結果の記録などを行う。
ストレス度:47
平均年収:4万2520ドル(約472万円)
理系職は、日本では研究技術職員と調査技術職と言えそうな、化学技術者、環境修復プランナー、物質科学者、地質サンプルテスト技術者、生物学技術者が挙がっています。
環境修復プランナー、地質サンプルテスト技術者あたりは、日本だと公共サービスや建設関連業者に含まれていそうなイメージを私は抱きました。地質サンプルテスト技術者は、理系の中の地学~文系寄りに見えるその特徴と接点~ - 仲見満月の研究室で紹介した地学研究者の人たちの研究に直結してそうな職のような気がします。
化学技術者、生物学技術者は、自分自身が新たな研究を提案し、実験を行っているというよりは、ボス研究者の研究を技術的にサポートするような立ち位置と考えられます。院生時代に、化学・生物学系の研究室で聞いたのが、「実験を遂行するための奴隷」、「ピペット奴隷」…。化学技術者、生物学技術者がそうでないことを祈っておりますが、次の記事
で取り上げた、日本の科学研究の現場を思うと、心配でなりません。
挙がっていた理系職の中では、唯一、自分で計画を立てて、実験や開発をしていく研究者としては、物質科学者がありました。研究対象の物質や素材を見ていると、「あらゆる物質や素材、カモーン!」という、オールマイティな雰囲気がありました。実際に研究者個人個人で専門とするものは、細かく分かれているんでしょうけれど…。
3.最後に
今回は、出だしを真面目に、後半をゆる~く書いてみました。
本記事で取り上げた職を含めて、これら14の職業の中には、日本では広く知られていない職もいくつか含まれとぃました。日米で、職業の区分加え、着くまでの難関さ、かかるストレスの違いなども含めると、また新たな事がわかって来そうですね。