仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

【2017.8.28_1515追記】忍者に関わる仕事の社会人からの要望で「三重大院、入試科目に「忍者・忍術学」 来年2月から」(中日新聞 Web)

<入試科目の忍者・忍術学とは?>

1.はじめに

今年の春、国立の三重大学が公募で、忍者文化を教え、研究する人材を募集していることをお伝え致しました:

naka3-3dsuki.hatenablog.com

 

三重大「国際忍者研究センター」開設!?教員公募にネットで驚きの声

2017年3月10日14時44分 スポーツ報知


 三重大の人文学部・人文社会科学研究科が「国際忍者研究センター」の教員を公募していて、ネット上で話題となっている。応募資格は「忍者研究に関して実績のある者。古文書読解能力を有する者」「大学院の授業担当が可能な者」などとなっている点も注目を集めている。

 

 三重県の北西部にある伊賀市は滋賀・甲賀と並び“忍者の里”として有名で、観光施設として「伊賀流忍者博物館」などがある。

 

 そして同学部・研究科の研究プロジェクトとして「伊賀連携フィールド忍者文化協議会」があり、「忍者食はストレス社会に活かせるか?」「伊賀上野武家屋敷」「芭蕉忍者説の傾向と対策」などのテーマで市民講座を解説している。

 

 9日に公表された「国際忍者研究センター」教員応募要項によると、(1)国内外を対象とした忍者文化論に関する研究と情報発信 (2)その他国際忍者研究センター(仮称)の目的を達成するために必要な業務(3)大学院人文社会科学研究科・修士課程の教育:担当科目は「忍者文化論特講」「忍者文化史料論特講」(予定)ほか、及び人文学部の教育:担当科目は「特殊講義忍者の歴史」(予定)。以上の授業は、原則として三重県津市の三重大学キャンパスで開講することになるという。

(三重大「国際忍者研究センター」開設!?教員公募にネットで驚きの声 : スポーツ報知) 

 

5月の記事では、人文学部および大学院人文社会科学研究科の担当教科、および資格を整理してお伝えしました。

 

その詳細は、冒頭のリンク記事をお読みいただくとして、今回、キャッチしたのは、同大学院の入試科目に「忍者・忍術学」が来年2月から課されるという見出しのニュースでした:

www.chunichi.co.jp

 

大学院の入試科目に「忍者・忍術学」が課されるって、何なんだー?!という疑問を明かすべく、本記事で取り上げることに致しました。

f:id:nakami_midsuki:20170827204214j:plain

 

2.「三重大院、入試科目に「忍者・忍術学」 来年2月から」(中日新聞 Web)から分かる「忍者・忍術学」(2017.8.28_1515追記)

中日新聞のweb版では 「話題のニュース」という位置づけです。さっそく、見ていってみましょう。

 

2017年8月23日 22時00分

三重大院、入試科目に「忍者・忍術学」 来年2月から

 忍者研究に力を入れる三重大は、来年2月に実施する大学院の入学試験の選択科目に「忍者・忍術学」を新設する。研究者を多く育てるとともに、「忍者の里」として知られる三重県伊賀市などで忍者に関わる仕事をしている人に門戸を開き、学術的な裏付けの下で活動してもらおうと考えている。

三重大院、入試科目に「忍者・忍術学」 来年2月から:話題のニュース:中日新聞(CHUNICHI Web)

具体的な大学と地域での取り組みについては、前掲の忍者文化による地域おこしと大学+中国と韓国の忍者に近い役職について~「三重大が忍者研究センターを開設 伊賀サテライトに新年度 /三重県 」(朝日新聞)ほか~ - 仲見満月の研究室では、三重大学がサテライトキャンパスを県内各地に設置していることを紹介しました。特に引用した朝日新聞の記事では、

 伊賀サテライトは、伊賀地域(伊賀市名張市)の「固有文化と地域資源の活用で 地域再生に寄与する」のを目標に掲げる。忍者などの歴史文化、医薬品企業との連 携、森林資源の活用などで地域の人材育成や課題解決にあたる。

(中略)

 駒田美弘学長は「大学は県民と協働の活動を試みているが、トップを走っているの が伊賀地域。さらに発展させるために伊賀サテライトを設けた。分野もさらに広がれ ばと願っている」と話した。

 (三重大、忍者の国際研究センターを伊賀に設置へ:朝日新聞デジタル)

と学長が話すよう、地域おこしから出発はするものの、それ以上のものを三重県内の市町村の団体と挑戦していこうとしていることが窺えます。 

 

さて、今回のテーマは大学院で「忍者・忍術学」の選択科目を設置し、「三重県伊賀市などで忍者に関わる仕事」について、より学術的な根拠と専門性をもった人材を目指そうとしていることが窺えます。そこにも、単なる地域おこしや観光にとどまらない、ワンランク上の産業として忍者・忍術に関するものを興そうという意気込みが伝わって来そうです。

 対象は大学院人文社会科学研究科地域文化論専攻の入試。忍者誕生の歴史や日本文化に果たした役割など幅広い知識を問う。忍者研究の第一人者、三重大の山田雄司教授(日本古代・中世史)は「忍者に関するより深い知識を身に付けた人を世に輩出したい」と話した。

 

 観光事業など忍者に関わる仕事をしている社会人から「より専門的に学びたい」という声を受け、入試制度の変更を決めた。忍者研究を専攻するには日本史の試験が必須だったが、忍者・忍術学の入試を選択すれば、忍者に特化した内容で受験できる。

三重大院、入試科目に「忍者・忍術学」 来年2月から:話題のニュース:中日新聞(CHUNICHI Web)

大学院人文社会科学研究科地域文化論専攻をめぐる思惑はさておき、私が「地元が本気を出して、忍者・忍術に関する産業で食べていける場所を作ろうとしている」ことを感じ取ったことがありました。それは、「観光事業など忍者に関わる仕事をしている社会人から「より専門的に学びたい」という声」があったことです。

 

肝心の入試科目については、サンケイスポーツのオンライン記事にも出ていました:

www.sanspo.com(2017.8.28_1515追記)

 

 注目の試験は、小論文のほか、忍者の歴史や忍術書についての一問一答、古文書などの資料読解などになる予定という。忍者の研究自体は2015年から授業科目として行われてきたが、これまで志望者はまず「日本史」の受験が必要であったのが、今後はまっすぐに「忍者・忍術学」を選択できる。

 「古文書資料の読解も活字になったものでよく、難解な『崩し字』読解の試験は除外されます。海外からもぜひ受験してもらいたい」と山田教授。三重大では7月に、国際的な忍者研究の拠点として「国際忍者研究センター」を設立したばかり。古文書や資料をデータベース化する新たな情報発信の場だ。

 (三重大、大学院入試に「忍者・忍術学」 定員8人、来年から導入 (2/3ページ) - 芸能社会 - SANSPO.COM(サンスポ)) 

 

山田先生、本気で海外からの忍者研究の拠点に三重大をしたいようです…。

 

今までは、「忍者誕生の歴史や日本文化に果たした役割など幅広い知識を問う」といった、人文科学系の幅広い専門知識を尋ねるタイプの入試科目が課されていたそうですが、「忍者・忍術学」を設定した後については、どうやら、大学院側は次のような人材を輩出したいと考えている模様です。

忍者研究の第一人者、三重大の山田雄司教授(日本古代・中世史)は「忍者に関するより深い知識を身に付けた人を世に輩出したい」

三重大院、入試科目に「忍者・忍術学」 来年2月から:話題のニュース:中日新聞(CHUNICHI Web)

 

より産業として、忍者や忍術学を設定するとすれば、例えば、伊賀と並ぶ忍者の里に関する話題で、「忍者もの」のフィクション作品と人文科学~「「トカゲ丸焼き」で毒薬配合…甲賀の「秘伝」忍術書見つかる」(ITmediaニュース/産経新聞)~では、甲賀忍者衆の子孫の自宅から、薬や兵器に関する忍術書が見つかったことを紹介しました。伊賀でも試みられているようですが、医薬品会社や食品メーカーと組めば、医療薬品を開発する拠点を三重県に増やすことが出来ます。兵器の面では、代表的な手裏剣やクナイ等は、デザインを変えれば流行りのハンドスピナーのような玩具にもなりそうです。

 

また、間者としての忍者のリアルな実態を研究し、再現するアトラクションも、三重の山林を確保できれば、展開できるでしょう。ターゲット層としては、サバイバルゲームの参加者が想定できそうです(その他、リアル脱出ゲームなど)。

 

以上、①医薬品、②玩具、③アトラクション企画は、想像力が貧弱な私が想定した例に過ぎません。しかし、地元の方々が本気で産業新興に取り組み、融資を受けてやっていこうとするなら、新卒社会人よりも、社会人からの大学院で学んだり、研究したりしたいという要望があることは、頷けます。

 なお、「忍者・忍術学」に関する日本史分野の院卒者の就職先としては、三重にやって来て、地域おこし協力隊や、体育会系の研究者ならアトラクション系でも応募して、やっていけそうな気がしますが、実際はどうなのか、未知数です。

 

 

3.最後に

繰り返しになりますが、三重大は既に伊賀市に「国際忍者研究センター」を設置しております:

 三重大は2012年から忍者の研究を開始。7月に、伊賀市に研究や学会の設立などに取り組む「国際忍者研究センター」を設置したほか、10月からは大学と大学院で忍者学の授業を増やす。

中日新聞

三重大院、入試科目に「忍者・忍術学」 来年2月から:話題のニュース:中日新聞(CHUNICHI Web)

 

ところで、話は変わりますが、第2項の終わりで出てきた、地域おこし協力隊については、修士号や博士号の取得者が地方に移住し、研究で培ったものを土台に、地方を活性化させてゆく事業としての一面があり、少し気になっています。地域おこし協力隊に関しては、ポスドクで任期が切れてしまった友人が地域おこし協力隊に応募して、だいたい3年間、その土地に移住して、当地の産業や事業を盛り上げているらしい、という情報をキャッチしていました。

 

三重大学の院には社会人からの要望で、忍者・忍者学の科目の設置要望が出てきました。そういった三重県のような本気で地元にあるリソースになりそうなものを使って、産業にしようとしているところと、高学歴な地域おこし協力隊のメンバーが出会ったとき、いったい、何が起きるのか。私は気になって仕方がありません。

 

地域おこし協力隊については、知らないことが多いので、実際に勤務されている方がいらっしゃったら、実態を教えて頂けるとありがたいです。

 

といったあたりで、本日はおしまいです。お疲れさまでした。

 

 

 

<「地域おこし隊」に関する気になる本>

 

地域おこし協力隊 : 地域おこし協力隊と地域が共鳴し、感動を共にできる地域。きっとそんな地域はいつまでも元気なんだと思います 

 

 

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