仲見満月の研究室

元人文系のなかみ博士が研究業界の問題を考えたり、本や映画のレビューをしたりするブログ

2018年春に読みたい!大学や研究者にまつわる本~『最後の秘境 東京藝大』や『世界を変えた50人の女性科学者たち』ほか~

<本記事の内容>

1.読みたいけど追いつかない映像作品や本たち

主に文系分野から始まり、今は色んな分野の院生(特に博士課程)や研究者の地位向上をするには、どうすればいいんだろ?と、オンラインニュースを広い読みしてブログ群の更新をし、同人誌を書き、といったことを始めて、私は22か月になります。おかげ様で、今年の6月で弊ブログは2周年を迎えます!

 

活動のひとつに、院生や研究者の出てくる作品の紹介があり、映画、ドラマといった映像作品から小説、エッセイや伝記、インタビュー集、漫画などの本まで、幅広く取り上げてきました。最近だとTBS系で放送されたドラマ『アンナチュラル』について、試聴し、特に公益法人の研究所としてのUDIをレポートしたいなぁ、と考えておりました。しかし、読者の方にお贈り頂いた本、書店で見つけて手に取ってしまったコミックエッセイなど、紙書籍だけでも読了し、レビュー更新するのが精いっぱいなこの頃です。

 

Twitterでは新刊情報がタイムラインに流れ込んできます。机には積読状態の、本棚を見れば栞の飛び出た本たちが整列して、私に読まれるのを待っています。漫画だけで2016~2017年は年間1万7000冊くらい新刊が出ているらしいですから、そりゃ、本全体で見ると追いつかないのは仕方ありません。それでも、「この本を読んで、紹介したいんだ~」という欲望は止まらない。

 

そこで、今回はこの春、個人的に読みたい本をピックアップし、面白そうなポイントをまとめて、メモ的に書いておこうと思います。気になった方は、個人個人で読んでいただき、もし、お気が向いたらTwitterやブログ、読書メーターブクログほかで感想をお書きください。改めて、レビュー記事を書く際、参考にさせて頂くかもしれません。

 

それでは、レッツ・ゴー!

 

 

2.2018年春に読みたい!大学や研究者にまつわる本

 2-1.芸術系ならコレ~二宮 敦人『最後の秘境 東京藝大』~

本棚に入り放しになって、久しいうちの一冊。 「はじめに」では、家賃6万円のアパートにて、小説家の著者の傍らで、東京藝大(=藝大)の彫刻科に所属する妻が木の匂いをさせながら、亀を彫るという、ある意味シュールな書き出しになっています。木彫りの仕上げには、「亀に乗れたら楽しそう」という発想で、フェルトで甲羅をつくってみようと話す妻の様子に、著者だけでなく、読者まで「幸せそうだから、いいか」とノックアウトされそうになる、不思議なノンフィクションです:

 

最後の秘境 東京藝大―天才たちのカオスな日常―[Kindle版]

アーティストやクリエイターといえば、売れなければ食えない、でも楽しそうならいいのでは?と考えている方もいらっしゃるかもしれません。「【2017.1.14更新】大学院生や研究生・研修生の出てくる漫画_芸術系編 」で紹介した、『のだめカンタービレ』の千秋真一やのだめ、コンクールで出会う音大生たち、『ハチミツとクローバー』のはぐや山田あゆみ、建築科の男子学生たちのように、日々、己と闘いながら練習し、作品を仕上げ、批評され続けます。

 

のだめは音楽高校に行っていたようですが、藝大に入学してくる学生たちは、物心つくより前に楽器のレッスンが始まり、美校に行っている生徒は画塾や美大向け予備校でデッサンや各種画材での技法を学び、志望学科を目指すとのこと。音楽のほうは音楽教室を開いている親がレッスンをつけて自分の入れなかった藝大に入れようとしているケースがあって、パラパラ捲っただけで、凄まじい成長期を送った方が多いように感じました。

 

内容は、著者・二宮さんのインタビューとルポが混ざった形式で、様々な分野の藝大生に取材ており、1冊でお腹が満たされそうです。それもそのはずで、取材先が日本一の藝術大学ということですから、副題の「天才たちのカオスな日常」をのぞいてみたい方にもおすすめできそうです。カバー絵からして、サブタイトルのとおりで、私は興味を惹かれましたが。

 

個人的には、建築系の人が多かった研究室にいた私から見ると、立体物を扱い、技術とセンス以上に体力が必要そうな、彫刻や陶芸、建築の藝大生の話は改めて読んでみたいですね。

 

 2-2.ラノベ風タイトルの生物学エッセイ~川上和人『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』~

出版社が同じせいか、表紙イラストは1冊目の藝大本と似た雰囲気です。最近、読んでいる『バッタを倒しにアフリカへ』(前野ウルド浩太郎、光文社新書、2017)のツ半ページに、おすすめ商品として出ていた1冊でした。タイトルが文章になっているし、ツンデレ臭がするところといい、タイトルもライトノベル風で、私のツボにきそうな予感がしています。あとで調べたら、著者の本はどういうわけか、文章がタイトルのエッセイがあって、他のも読みたくなりました。

 

Amazonの商品紹介によると、

必要なのは一に体力、二に体力、三、四がなくて、五に体力?! 噴火する火山の溶岩、耳に飛び込む巨大蛾、襲い来るウツボと闘いながら、吸血カラスを発見したのになぜか意気消沈し、空飛ぶカタツムリに想いをはせ、増え続けるネズミ退治に悪戦苦闘する――アウトドア系「鳥類学者」の知られざる毎日は今日も命がけ! 爆笑必至。

とありました。

 

何だか、ひと昔前の椎名誠の探検エッセイを彷彿とさせるキーワードが並んでいます…。

 

本書や『バッタを倒しにアフリカへ』だけじゃないかもしれませんが、人間が研究対象の各種人類学者をはじめ、生き物を相手にする研究者のなかには、観察と記録をつけるのが生業のせいか、妙にエッセイを書かせると筆が立つ人がいるようです。私自身が人間の営みに関するテーマで博論を書いたこともあって、人間も含めて、生き物の研究をしていると思いがけないことが起こります。その「騒動」をそのままレポートするだけでは読者を楽しませる作品にはなりません。やはり、エッセイには著者ならではの視点や分析等から魅力がにじみ出ることが多く、そこが動き回る存在を研究対象にしている人たち故か、個性が出てきて面白いところでもあります。

 

本書では、鳥の観察や生態に関する専門的な話が、軽妙な語り口と親父ギャグを交えて展開されるそうです。 世代的に、私はギリギリついていけそうです。

 

 2-3.スタイリッシュなイラストでつづる伝記集~レイチェル・イグノトフスキー『世界を変えた50人の女性科学者たち』

3冊目は一か月後くらいに発売が予定されている、女性科学者の伝記集です:

 

版元の創元社のツイートで、情報をキャッチしました。取り上げられるのは、古今東西の50人で、「[特設サイト]世界を変えた50人の女性科学者たち - 創元社」 を見ると、近世以降の欧米はもちろん、18世紀の清朝から20世紀以降の中国まで、幅広い地域と時代の人物がピックアップされています。イラストがオシャレというか、スタイリッシュなことに加えて、個人的には清朝の王貞儀が取り上げられているところにポイントを感じています。

 

Amazonの本書のページには、

本書は、科学・技術・工学・数学(STEM)の分野で
世界を変えるような素晴らしい業績を残しながら、
これまで歴史の陰に隠れがちだった女性科学者50人にスポットをあて、
その驚くべき研究成果やバイタリティあふれる人生の一部を、
チャーミングなイラストとともに紹介します。
愛らしいイラストを手がけたのは、アメリカの新進気鋭のイラストレーター、
レイチェル・イグノトフスキー。
厳しいサイエンスの世界をひた走るヒロインたちを、その業績だけでなく、
人間的な魅力を引き出しながら描き上げています。

という紹介がありました。以前、 

【’16.8.31追記】理系女性の人生カタログ~内田麻理香『理系なお姉さんは苦手ですか?』前編:プロデュ―サー~

理系女性の人生カタログ~内田麻理香『理系なお姉さんは苦手ですか?』後編①:学校教員ほか~ - 仲見満月の研究室

で、理系分野で活躍する女性に内田麻理香さんがインタビューし、漫画家の高世えり子さんがイラストを添えた本を取り上げました。本書は絵本に近い雰囲気で正方形に近い判型の装丁であること、取り上げられるのが50人という規模である点が、先のインタビュー集とは異なっています。

 

特設サイトを読んでいると、科学用語集やコラムに加えて、漢字にルビがついており、どうやらターゲットに小学生が含まれていることが窺えます。この読みが当たっていれば、絵本に近い雰囲気の装丁であるのも、頷けます。私が学校図書館司書であれば、購入しておいて、進路の特集棚に並べたい1冊です。

 

 

3.最後に

以上、気になる3冊を拾い上げ、内容を調べて、メモいたしました。どれも面白そうで、価格帯は1400~2000円です。

 

現実の本棚にしても、電子書籍のライブラリーにしても、余裕があれば入れておきたいですが、どっちも読めていない本が多いため、後半2冊は手に取れなさそうです。そういった状態の私に代わって、というわけではありませんが、ぜひ、読者家の皆様にはお読み頂きたい本ばかりです。

 

おしまい。

 

<本記事に近いテーマの記事>

naka3-3dsuki.hatenablog.com

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