仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

【ニュース】「高校中退、ひとりで5人を育てた母 逆境乗り越えロースクールを卒業 全米で話題に」(HUFFPOST)

<今回の内容>

 1.はじめに

日本国内は卒業シーズンが終わり、入学式が行われ、新学年がスタートして、1週間ほど経ちました。季節の変わり目で、寒暖差が激しい日もありましたが、読者の皆様はいかがお過ごしでしょうか。

 

私は私で、年度始めの所用に終われており、慌ただしいなか、紛糾しているらしき国内の様々なニュースを見ては、落ち込んでいました。今週は少し、海外の大学院や学術関係のニュースに目を向け、お届けできそうなものを探していたように思います。

 

今回は海外のニュースから、子どもたちを育て、また協力を得ながら、司法に関する職を目指して、ロースクールを卒業したアメリカのシングルマザーのお話です:

www.huffingtonpost.jp

 

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2.「高校中退、ひとりで5人を育てた母 逆境乗り越えロースクールを卒業 全米で話題に」(HUFFPOST)を読む

ハフィントンポストのアイキャッチ画像を見ると、学位帽をかぶり、アカデミックドレスの女性が ” I Did It ! " のブラックボードを提げ、右足を本に載せているのが、テキサス州に住むイエシア・チャンプスさんだそうです。その傍には、5人の子どもたちが母親の横に並び立ち、「みんなで資格を得たんだ!」という喜びが伝わってきます。

 

 2-1.チャンプスさんが学校に通い始める前の話

チャンプスさんがロースクールを卒業するまでには、たくさんの苦難があったとハフィントンポストは伝えています。今回は、日本でいう専門職大学院のひとつで、法科大学院とも呼ばれるロースクールを卒業するに至った、彼女のこれまでを紹介いたします。

 

ライフスタイル
2018年04月12日 12時54分 JST | 更新 2018年04月12日 12時54分 JST
高校中退、ひとりで5人を育てた母 逆境乗り越えロースクールを卒業 全米で話題に
夢を叶える大きな一歩。家族全員で「やりました!」

Satoko Yasuda

 

高校を中退、19歳で子どもを生み、5人の子どもを育てるシングルマザーがロースクールを卒業する。度重なる逆境に負けず、夢を叶えようとしているのは、テキサス州に住むイエシア・チャンプスさんの卒業写真が全米で大きな話題を呼んでいる。

 

5人の子どもたちに囲まれて、チャンプスさんは誇らしげに「やりとげました!」とメッセージカードを持っている。

www.instagram.com

 

ここまでの道のりは決して楽ではなかった。

 

CBSによると、チャンプスさんは父を早くに亡くし、母親はドラッグ中毒だった。住む家もなく友達や知り合いの家を点々とする十代を送ったという。高校を中退して19歳の時に子どもを生むと、家族を支えるためにコールセンターで仕事をした。

 

悲劇が襲ったのは、2009年だった。4人目の子どもを妊娠中に、火事で家を失い、仕事をクビになり、子どもふたりの父親をがんで亡くした。自死を試みたほどつらい状況だった語る。

 

 (高校中退、ひとりで5人を育てた母 逆境乗り越えロースクールを卒業 全米で話題に

高校中退の後に19歳で子を出産したというチャンプスさんは、それまでの荒れた家庭や不安定な生活にめげず、コールセンターで働き出して、家族を支えていました。やさぐれず、めげずに子育てをしながら、コツコツ働いていたところがうかがえ、チャンプスさんの真面目で、踏ん張り屋な性格が分かります。しかし、2009年には火事で家、次に仕事、夫を病で、次々となくしてしまいます。

 

 2-2.学校からコミュニティー・カレッジ、大学を経て、ロースクールへ

死にたいほど辛かった時、チャンプスさんに「希望をもたらしてくれたのは、通っていた教会の牧師」でした。

彼女の助言で、チャンプスさんは大学に通うための準備を始めた。

 

チャンプスさんは「3人子どもがいて、4人目がお腹にいる状況で、それはちょっと無謀なのではないか」と思ったが、学校に通うことにした。地元のコミュニティー・カレッジを経て、ヒューストン・ダウンタウン大学で学士号を取得。さらに、テキサス・サザン大学のロースクールに進んだ。

 (高校中退、ひとりで5人を育てた母 逆境乗り越えロースクールを卒業 全米で話題に

現代日本の一般的なイメージでは、メンタルクリニックのカウンセラーや精神科医、 地域の相談窓口の専門家に支援を受けた形でしょうか。

 

踏ん張り屋なチャンプスさんでしたが、既に誕生して成長期にいる子が3人、お腹の中の子が4人目の状態で、ちょっと無謀だと感じるのは、本人でなくとも抱く感覚だと思います。それでも、学校に通い、その後は、日本だと実質的に短期大学に相当するコミュニティー・カレッジに進みます。高校中退を経験しているので、おそらく高校卒業資格の取れる学校で学び直してから、コミュニティー・カレッジに進学したのでしょう。

 

日本では、「妊婦の生徒「排除」傾向 退学処分や自宅待機:朝日新聞デジタル」などで報じられるように、高校に在籍した状態で妊娠した生徒は退学や自宅待機をさせられ、退学後は子育てやキャリア形成の支援を受けにくいとされています。また、次のオンラインニュースによれば、退学した10代後半の夫婦は離婚するケースが多く、子を育てなている親は「改めて高卒の資格を取るにも、サポート校に通うのはお金がかかる」ため、貧困に陥りやすいそうです:

妊娠中退:子供のためにも卒業支援を…NPO世話人ら発信 - 毎日新聞

妊娠した生徒が在学継続を希望しても、日本の場合は、「高校側は通学の継続に抵抗感が強」く、

全国の産院でつくる「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」の鮫島かをる事務局長は、妊娠した生徒が担任教諭に「高校を続けたい」と相談したところ「他の生徒に悪影響が及ぶ。誰にも言わないでおいてあげるから自主退学しなさい」と言われたケースに直面した。

妊娠中退:子供のためにも卒業支援を…NPO世話人ら発信 - 毎日新聞) 

そうです。 子を抱えたシングル親がキャリア・アップを考えて、学校に通い直すことを考えた場合、本人や周囲が努力するには、サポート制度や学習環境を考えると、どうしても、日本よりもアメリカのほうが充実しているような気がします。裏を返せば、学校や大学といった教育機関について、学び直しやキャリアアップを希望する社会人やシングル親といった人たちを受け入れられる制度や環境が充実しているところは、ニーズがあることを指しています。そうした地域は、経済格差が大きい社会が続いていることが察せられますが、本人の努力と周囲の協力次第ではチャンプスさんのように、希望の職を目指して、教育の機会を得やすいといってもよいのはないでしょうか。

 

さて、チャンプスさんは、「地元のコミュニティー・カレッジを経て、ヒューストン・ダウンタウン大学で学士号を取得」した後、今回、卒業したとされる「テキサス・サザン大学のロースクールに」入学しました。アメリカのコミュニティー・カレッジは、公立の2年制の高等教育機関を含み、教育課程を修了すると四年制大学へ編入できる資格を得られることから、やはり、日本の短期大学に相当するようです(コミュニティ・カレッジ - Wikipedia)。

 

 2-3.家族と歩いてきたロースクール卒業まで、そして展望

この間、チャンプスさんには4人目、5人目の子どもが生まれたと思われます。シングルマザーだったことから、育児と仕事をしながら、授業に出て、勉強する生活は並大抵の苦労ではなかったでしょう。その日々をチャンプスさんは次のように振り返ります。

ほとんど不可能だと思っていた子どもの頃からの夢を叶える、大きな一歩。

 

ここまでこれたのは、子どもたちのおかげだと話す。特に14歳の長男は、下の子どもたちを世話してくれて、仕事をしながら学校に通うチャンプスさんを助けてくれた。チャンプスさんはCBSにこう語る。

 

「私が料理をしている間に、子どもたちはカードを作って復習を手伝ってくれました。その日勉強した内容を伝えると、模擬陪審をやってくれることもありました」

 

「プレッシャーの大きさに、クローゼットの中に座って祈り、泣くこともありました。そんな時、一番年上のデイヴィッドは、私の負担を減らすために、きょうだいたちと軽食をつくったり、お風呂に入れたり、学校に着ていく服を用意してくれたりしました」

 

卒業写真は子どもたちと一緒にとった。「やりとげました!」というメッセージボードをもつチャンプスさんの後ろには、「みんなでやりました!」「私も!」「私も助けたよ!」「私もやったよ!」「私も助けた!」とカードを持つ5人の子どもたちが学ぶ。

 (高校中退、ひとりで5人を育てた母 逆境乗り越えロースクールを卒業 全米で話題に

 

下の子どもたちの世話をしながら、高校に通っていた生徒を教えていた元臨時講師としては、長男さんの学習時間が減っていなかったか、少々、心配になりました。司法の授業復習をサポートしてくれた子どもたちの支えがあって、チャンプスさんはロースクール卒業までこぎつけ、大変だったと思います。周囲に支えられ、キャリアに一区切りついたチャンプスさんは、これからの展望を次のように語っていました。

Yahoo!によると、司法試験に受かったら、家族法少年法を専門にした弁護士、そして最終的には裁判官になりたいと考えている。

 

「最悪の生活環境で暮らしている子どもたちのために闘う弁護士になりたい。彼らが家族との絆を取り戻す助けとなりたいのです。もしそれができなくても、私がもらえたようなチャンスをあげたい」

高校中退、ひとりで5人を育てた母 逆境乗り越えロースクールを卒業 全米で話題に

残る司法試験を突破しなければ、チャンプスさんは目標としていた仕事には就けないようです。ご自身の経歴から、「最悪の生活環境で暮らしている子どもたちのために闘う弁護士になりたい。」と仰っておられます。あともう少しで、夢が叶いそうなところです。

 

チャンプスさんには、あともう少し、踏ん張って頂きたいです。

 

 

3.最後に

このハフポスのこのニュースが配信されたYahoo!ニュースのコメントには、チャンプスさんの姿に、「貧困のなか、高い志を実現できた努力と人徳に泣いた」というものや、「新たな資格取得の挑戦に励まされた」、という声がありました。その一方、私と同じように、「子どもたちが大変だっただろうから。これからは、子どもたち優先で仕事をして欲しい」と子どものことを気にかけるコメントもありました。

 

チャンプスさんの挑戦は続き、その努力に励まされる人は日本にもいると思います。私もその一人でした。その一方、母親の目標達成に協力してきたお子さんたちについては、一人一人の人生があるわけで、気がかりです。どうか、できるだけ早く、チャンプスさんが司法試験に合格し、安定して働けるようになれば、幸いです。それから、Yahoo!コメントにあったように、チャンプスさんの歩いてきた道が、貧困の連鎖を断ち切り、貧しい少年少女のロールモデルになれば、とも思いました。

 

それと、今回のオンラインニュースでコミュニティー・カレッジのことを調べていて、日本からアメリカの大学に挑戦した、「自称・バカヤンキー」だった方の本を思い出しました。学校の先輩の紹介で、とび職として働いていた著者が、もう一度、勉強を始めたきっかけや、アメリカの大学に行くことになったいきさつが書かれています:

 
バカヤンキーでも死ぬ気でやれば世界の名門大学で戦える。[Kindle版] 

 

おしまい。

 

 

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