仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系のなかみ博士が研究業界の問題などを幅広く考えるブログ

【ニュース】「ISの攻撃で論文未完は許せない 教授がイラクに傭兵派遣し」博士課程の「学生救出」(telegraph/Togetterほか、'18.12.18、14時台に追記)

「命をかけて、論文は〆切りに間に合わせて出すんだ!その為に傭兵派遣による君とご家族の救出を我々は厭わない」

と、指導教員が「教え子とその家族の救出作戦」を有言実行したといえそうなニュースがあったようです。学生がメッセージを送ったのは、2014年のこと↓

www.telegraph.co.uk

(telegraph、13.DECEMBER.2018)

 

このニュースについて、英語の読めるTwitterユーザーの方がいらして、日本語でツイートされていたようです。そのことをフォロワーの方に教えて頂き、詳しいことを知りたいと調べていたところ、Togetterの記事にまとめられていました: 

togetter.com

 

今回はこのニュースについて、英語の苦手な私はTogetterのまとめを中心に、紹介させて頂きたいと思います。 

 

f:id:nakami_midsuki:20181216221800j:plain

 

 

1.ニュースの解説Twitterユーザーによる大まかな経緯など

 上記の英語ニュースを読んだTwitterユーザーさんによると、

  1. ある博士課程の学生が、帰省先でISIL(Islamic State)の戦闘に巻き込まれる
  2. 隠れ家で鳴り響く銃声を聞きながら、「このままでは論文が終わりません!」と研究室の先生にメッセージを送る
  3. 教え子から連絡を受けた指導教員(分析化学(" Analytical Chemistry")の専門)は、上司と相談すると「好きにせよ」と言われ、大学のセキュリティ担当者と相談
  4. 指導教員は傭兵を雇い、現地に「フル装備の傭兵4人がトヨタ・ランドクルーザーで戦場」へ投入された
  5. その後、学生とその家族は無事救出され、論文も仕上がって間に合った

という経緯。

 

もとの英語ニュースを読むと、博士課程の学生さん、および指導教員のCharlotta Turner氏は、Lund Universityに在籍しています。この大学は、日本語にすると「ルンド大学」で、Wikipedia情報では、

スウェーデン南部に位置するスコーネ県ルンド市の大学。創立は1666年であり、現在のスウェーデン領土内の大学としては2番目に古い。古名:アカデミア・カロリーナ (Academia Carolina)。ウプサラ大学、ヨーテボリ大学、ストックホルム大学、チャルマース工科大学などと共に、スウェーデン屈指の名門大学として知られ、

 

(中略)大学の国際化にも注力しており、世界50以上の国に660を超える協定校を持つ。2014年は大学院修士課程に於けるスウェーデン留学志願者の内、3分の1以上がルンド大学を志望した

 (ルンド大学 - Wikipedia

とページトップに説明がありました。ルンド大学は、ウプサラ大学というスウェーデンで1477年に設立された北欧最古ほどではないものの、設立は1666年と古い大学。ノーベル賞の受賞研究者、スウェーデンの首相を輩出している名門大学だということで、国際化に力を入れているとのこと。件の学生さんは、そうした留学に力を入れていた背景がおそらくあって、ルンド大学に留学していたのでしょう。

 

もとの英語ニュースによると、この「事件」は2014年にあった様子です。指導教員が傭兵を派遣し、「何が何でも救出しよう!」と救出を成功させたということは、やはり、学生さんはそれほどに優秀な研究者だったと推測できます。その後、仕上がった論文について、Togetter記事のコメント情報では、2015年に受理された次の論文ではないか?と指摘がありました。

”Supercritical Fluid Extraction and Chromatography of Lipids in Bilberry”

:コメント者よる「適当な訳」だと、主題は「ビルベリーに含まれる脂質の超臨界流体抽出およびクロマトグラフィー」で、次のURLで無料公開中のようです↓

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1007/s11746-015-2680-x

 

傭兵の費用は学生さんが持つことになるのか、そのあたりは不明ですが、ご本人とご家族が助かってよかった!と私は思いました。

 

 

2.ニュースに対するTwitter等の反応

解説ツイートに対して、まず学生が「助けて!」と連絡するのではなく、「(博士)論文の〆切りに間に合いません!」と指導教員にメッセージを送ったことに、ツッコミが入っていました。命が云々より、学生は研究と論文に意識がいってしまっている、と。また、現地に傭兵を派遣し、学生とご家族を救出させたTurner教授に関しては、「相手が誰だろうと、研究の邪魔はさせない!という気迫が伝わってくる」こと。「何が何でも、学位論文やそれに絡む査読論文は〆切を厳守させるぞ!」と言わんばかりの、その教授たちの動きに対しては、Togetterの記事に「論文は命より重い」の見出しが付いたようです。

 

実際に博士論文を書き、博士号取得者になった私からすると、学位論文は何が何でも〆切に間に合わせなければならないという、非常に重いものでした。特に、若手研究者や院生にとって、その後のキャリアがかかってくる博士号取得に必要な博士学位論文は、何があっても設定された〆切りに出さなければなりません!そのために、博論生はピリピリします。体調がすぐれなければ、ラボメンバーの私は病院に行き、季節の変わり目による喉の痛みに薬をもらい、マスクをつけ、冷汗をかきつつ、博論を書きました。あの時の研究室の空気は、今、思い出しても緊張するもの。そりゃあ、Togetterの記事にあるように、HDDのバックアップが飛んだくらいでは許してもらえない、厳しいものではあることは、想像に難くありません。

 

学生がそれほどの気持ちと覚悟で書いているなら、指導教員である教授や准教授の先生方も、傭兵を派遣し、救出させるくらいのことをしても、私はまったく不自然ではないと思います。スウェーデンの名門大学に来て、研究するくらいの学生であれば優秀であり、ルンド大学にとって逸材であれば、なおさら、この学生さんを失うことは、語弊を恐れずに書けば「損失」にもなったでしょう。そうであれば、大学のセキュリティ担当の人も必死になります。

 

国際情勢は刻々と変化しており、ボーダーレスな人の移動で、いつ・どこで隣にいた人が危険に遭遇し、命を落とすということがあっても、おかしくないでしょう。それは戦争に限らず、豪雨や地震と言った災害も同じく。

 

 

3.最後に

以上、この週末最後にキャッチしたニュースでした。Togetterの記事で気になったことは、今回の件について「マスターキートン」を彷彿とさせる「事件」だっという指摘です↓

 

 

実は、私、この原作を読んだり、アニメ版を見たりしたことがなく、ずっと、気になっていました。「主人公が学者であり、軍人経験のある諜報員のような仕事で生活していたりするらしい」というのは、聞いたことがあります。今回のニュースの記事に入れるのは不謹慎かと思いましたが、気になるので、機会があれば見てみたいです。

 

おしまい。

 

=('18.12.18、14時台に追記)==========================

 本日18日の朝、Yahoo!ニュースにて当該telegraphのニュース記事の日本語訳が配信されていました。より詳しいことや、Togetterでは分からなかったことが日本語で読めると思います。本記事と合わせてご覧ください:

headlines.yahoo.co.jp

(telegrah/Yahoo!ニュース、12/18(火) 、午前8:20配信)

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