日本史を学びたいと望む乙女たちへ~堀江宏樹・滝乃みわこ『乙女の日本史』~
(以下、2016.8.10の追記)
ここ最近、過去の日記整理をしていて、海外や異文化のことを過去の私がどう捉えていたのか、振り返る作業をしておりました。
日常的に「異文化」と接するということ~自分の経験と大学院での日々~ - 仲見満月の研究室
翻って、再び日本のことを勉強してみようじゃないか、という気持ちが出てきました。タイムリーと言えば、天皇陛下の「生前退位」のことが話題になっています。そういったこともあり、今まで読んだ本で、古代から現代までの日本史を気軽に深く学べるものはないかと記録を掘り返したところ、次の本がありました。
以下、当時のレビューとなります。
(ここから2010.2.7の記録)**************************
年末の帰省ラッシュで込む駅の書店で発見、即購入。
出版社は、お堅い教科書(個人的イメージ)出版会社の東京書籍。新聞広告にマジメ
戦国武将のイケメン度を当時、交わされた手紙や彼らの遺骨から検証したり、「愛されキャラ」坂本竜馬はいつ頃注目され始めたのか、同郷の中岡慎太郎との関係から探ってみたり、コラムを組みながら、手順を踏んで詳細に解説しています。(項目の組み方からして教科書的)。
当時の貴族の日記や武将の間で交わされた手紙などの史料、人物の遺骨などの考古資料をもとにし、歴史小説や時代劇の登場人物イメージを覆す手法は、文献史学と考古学の手法をとっています。
全時代を通して、歴史を動かしてきた男達の意外なへタレっぷりを暴き、影で支えてきた女性たちの強さ・こだわりを魅力たっぷりに伝えています。
そもそも、乙女を読者対象とし、「おじさん史観」にさようなら!を目標に掲げているので、男子には読みづらいでしょうか。はたまた、乙女心を理解できる"乙男"なら、大丈夫かな?
欄外に「読むべし!」と言わんばかりに、幕末を扱った漫画から戦国乙女ブーム(?)の元になったゲームソフトまで紹介。新撰組の項目では『風光る』(渡辺多恵子・小学館・月刊flowersに連載中)の記事、ありましたし。
個人的には、明治初期の大久保利通を「偉大なツンデレ」として評価し、クローズアップした点が好きですね。
この本は、日本史の受験勉強に役立つかどうかは分かりませんが、歴史分野が苦手な人にとって、歴史の流れをつかみやすくなるかと思います。
(以下、再び2016.8.10の追記)*************************
刊行年が2009年と7年も前になりますが、記録を読み返してみると、けっこう、我ながら楽しんで読んでいたことが分かります。
本書の文庫版が一昨年に出ていました↓
文庫はコンパクトですが、単行本のレイアウトが変わってしまい、ちょっと読みにくくなっていました。実は、文庫版、東京書籍の単行本版とも電子書籍が出ていますので、読みたい人の好みに合わせて、選んでもいいかもしれません。
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