仲見満月の研究室

元人文系のなかみ博士が研究業界の問題を考えたり、本や映画のレビューをしたりするブログ

大学のサークルと院生~さかたき新『みすけん!』を起点として~

0.前置き

ある意味、大学生と切っても切れないのが、サークルや部活動。実は、院生の場合、卒業生または現役メンバーとして、定例会や練習に顔を出している人も一定数、いるということを書きたいと思いました。

私も、半ば幽霊部員になりつつ、院生時代に顔を出していたサークルがありました。かと思えば、研究の合間に楽器を担ぎ、しっかり楽団サークルの練習に通っていた先輩もいたり、サークルの参加の仕方も様々です。

 

今回は、サークルの話をするにあたって、まず、大学生のサークル活動がどのようなものなのか、高等教育機関(専門学校・短期大学・大学等)の数が日本の政令指定都市中、第一位の京都市(約40、ちなみに2位は神戸市で約35)の大学のミステリー小説研究会を舞台にした漫画をもとに、説明したいと思います。

 

 

1.『みすけん!』の内容

さかたき新『みすけん!』(花とゆめCOMICS) 白泉社、2013年

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京都の大学入学後、サークル難民になっていた相羽千里は、偶然にして出会った影森に付いて行く形で、「推理研究会」、つまり、「みすけん」にたどり着く。という、導入があります。

普段、平日の空コマには、推理小説好きなメンバーが集まり、各々、部室のミステリー小説を読んだり、面白い作品を求めるメンバーに推薦図書を出してきて紹介したり、まったりと過ごしているようです。

 

 舞台となる白明館大学の「みすけん」は、定期的にある例会になるとやって来る人数が増えるので、部室とは別で教室を借りて活動しています。学部時代、そして院生時代とインドア系のサークルにいた私は、ここらへんのサークル事情に懐かしさを感じました。教室を借りるには、大学の学生課に申請しに行って、使用時間帯を貸出簿に記入し、鍵を受け取り、部員より、一足早く教室を開けておく必要がありました。さて、本書に戻ると、メンバーが集まると、部員が書いた推理小説のコピーを回し、殺人犯を推理して当てる活動を行います。

 

このあたり、実際の各大学の推理小説研究会でもやっていそうですね。

 

あと、作品については、関西に住んでいる人、特に京都で学生やっている人には、推理小説の作品を登場人物たちが話題にしつつ、京都市内を観光するという話もあるので、よりいっそう、楽しいんではないかと思いました。

 

 

2.サークル活動と院生

さて、文科系のインドア・サークルを『みすけん!』をもとに、少し、説明しました。ここから、サークル活動と院生について、話していきます。

 

まず、サークルと一口に言っても、あくまで学部生が主体で、院生になると卒業生扱いとなり、暗黙的にはOB・OGは顔を出さないようにするというルールがあるところ。学部生も、院生も、留学生も、誰でも加入オーケイなところ。院生だけが集まって活動しているところと、様々です。

 

最初の学部生が主体のサークルでは、学部生だった人が、同じ敷地にある大学院に進学した場合、その人は長いと7~8年も特定の大学・大学院に留まることになります。それだけ長い時間を、サークルの後輩や同期と一緒に過ごせるということで、学内で会いやすいんですね。学食ふらふらしてたら、どこかのテーブルにサークルメンバーが坐っていて、バッタリ見つけて隣に行ってしゃべったり、生協の購買部ですれ違って一緒に食事に行ったり、何かと接点が多いとこうなります。

 

接点が多いだけに、人間関係が現役メンバーと卒業生の間で拗れると、サークルが分裂の危機に陥ったり、運営が滞るようになったりと、トラブルの原因となることもあります。そういったことが心配になる出来事があり、私は院生になると、研究が忙しくなってきたのもありますが、学部時代にいたサークルからは足が遠のいていきました。代わりに、研究室以外の人間関係がなくなって寂しくなり、新たなサークルに参加するようになっていたのです。

 

サークルを大学院生になっても、学部から同じサークルを継続する人はいます。私の知人で、サークルの交響楽団にいた某大学の准教授の先生は、学部も、大学院も同じ学校法人のところに通っていたそうで、学部生から博士課程までの9年間、そのサークルでヴァイオリンを演奏していたそう。とにかく、研究が八方ふさがりになって、しんどくなることがあると、鞄と楽器を担ぎ、練習場所を部員に聞いては電車で別キャンパスへ向かい、練習に参加して気分転換をしていたようです。それが功を奏したのか、博士論文の執筆が捗ったとのこと。

 

隣の研究室のポスドクの方には、修士課程までサークルで吹奏楽をやっていた人がいて、ギターの弾けるうちの先輩と意気投合し、他の院生を呼んできて、ジャズバンドを結成。うちの先輩が博士論文の提出まで3日しか残っていないにも拘わらず、文化祭に出場して拍手喝采だったそうで、その後、研究を続ける人たちとのコミュニケーションにもなっていたようでした。それにしても、みなさん、パワーがある人たちでした。

 

また、人類学の先生方に多いのですが、写真部に高校・大学と所属していて、個展をやるほどの腕前を持つ人もいます。それを博士論文に載せる写真に発揮され、出版物は芸術品のような方々もいらっしゃいました。

 

 

3.まとめ

サークル活動はマイナスになるばかりでなく、そこで取り組んでいたことが気分転換になって研究が捗ったり、人間関係を深めるきっかけを作ったり、プラスに結びつくこともあります。何より、勉強や研究のほかに熱中できることがあると、気持ちが晴れたり、前向きになったり、生きる活力を得ることができると思います。

 

そういうわけで、この記事を読んでいる院生の方で、研究が忙しいくもサークル活動もしたい、という人がいたら、秋のサークル勧誘時期に院生参加OKのところを探してみるのもいいかもしれません。

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