仲見満月の研究室

元人文系のなかみ博士が研究業界の問題を考えたり、本や映画のレビューをしたりするブログ

仲見研のブログ群で取り上げてきた本の2018年ランキング・トップ10~今年の話題を振り返る~

<今年は取り上げた本の人気ランキングです>

1.はじめに

2018年も残すところ、本日28日を入れてあと4日となりました。年末年始の行事で、2019年1月の半ばまで忙しくなりそうなため、少し早いですけれど、弊ブログ群(仲見満月の研究室仲見満月の「分室」|note.muなかみ・みづきの灰だらけ資料庫(書庫))で取り上げた本の人気ランキングを発表したいと思います。このランキングの基準は、

をもとに作成しています。電子書籍Kindleと紙書籍の重複は同タイトルの本1種とみなし、「よく読まれたもの」を基準に本の売り上げ合計数をもとに人気ランキングを作成しました。本記事では、その本のなかで2018年に取り上げたブログ群の記事を通じて、この1年を振り返ってみたいと思います。

 

なお、昨年(2017.1.1~12.31の期間)のランキングは、売り上げの合計金額をもとに、人気ランキングを作成。集計の基準は異なりますが、。

 

 

2.ブログ群全体の2018年の本の売上合計数のランキング('18.1.1~12.27)

集計自体だと、第9位から第2位は、紙書籍あるいは電子書籍が各々1種類ずつ異なる本が入りました。第1位には紙書籍、第10位に電子書籍で、ともに岡崎正文さんの『文系 大学院生サバイバル』 が集計トップ10にランキング入りしたので、同名タイトルとして第1位に組み入れ。集計で第11位に入った加地伸行さんの『漢文法基礎』を繰り上げ、「2018年のブログ群全体の本の売上合計数のランキング('18.1.1~12.27)」の第10位にカウントしています。

 

それでは、第10位から見ていきましょう。

 

10.漢文法基礎 本当にわかる漢文入門 (講談社学術文庫)

 

9.はみだし学芸員のNY(ニューヨーク)留学―美術館からの脱出

 

8.理系男子の"恋愛"トリセツ

 

7.学校選びの原則―大学・専門学校はどこが違うのか

6.突撃! オトナの大学院

 

 5.高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)

 

 4.社会科学系のための「優秀論文」作成術―プロの学術論文から卒論まで

 

 3.できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか (KS科学一般書)

  

 2.美術館で働くということ 東京都現代美術館 学芸員ひみつ日記

(メディアファクトリーのコミックエッセイ)

 

 1.文系 大学院生サバイバル (ディスカヴァー携書)

 

3.ランキング・トップ10の本で今年の振り返り

最初に、第10位の漢文の訓読本をみて思い出したのは、2018年は1月5日に「古典は教養以上に「必須」なことも~「日本よ、この期に及んで「古文・漢文」が必要だというのか」(はてな匿名ダイアリー)のこと~」、2月下旬に「現代日本のギャグ漫画や伝奇みたいな #今昔物語集 や #宇治拾遺物語 の話~ #古文 や #漢文 をもう一度~」といったテーマで記事を書いたことです。年明け早々、古文や漢文は教養以上に必要だということをブログで記事で訴えていた様子。7月には、突如として「漢文を読めるようになるには、どうしたらよいのか?その方法について」というテーマで、Twitterのタイムラインが少々、盛り上がりました。そこで、大学入学後に主として中国史を専攻する入門者向けに、高校国語の漢文の延長線上で使えそうな参考書、日本語の訳注書を次の記事で紹介したと思います↓naka3-3dsuki.hatenablog.comnaka3-3dsuki.hatenablog.com加地さんの漢文訓読本は、こちら↑の記事で取り上げていした。院の漢文講読の授業で読んでいたのが「正史」だったこともあって、私は高校国語の漢文参考書のほうが使い勝手がよくかったです。本来の用途として使わない加地さんの本は、読み物としては面白く、Z会の添削者をされていた時の話から、様々な古典文献に関するよもやま的な話を楽しんでいました。

 

第9位の『はみだし学芸員のNY(ニューヨーク)留学―美術館からの脱出』、第2位の『美術館で働くということ 東京都現代美術館 学芸員ひみつ日記』は、昨年4月ごろに始めた「よく知られていない学芸員の話+ミュージアムのあれこれ」シリーズの人文・社会学系の学芸員を消化した次の記事で、業務内容を紹介する時に取り上げました:

naka3-3dsuki.hatenablog.com

2018年に見た関連作品で、ルーブル美術館を舞台に、学芸員の仕事が分かる映画があります。ということで、ランキング入りした本と合わせて、

naka3-3dsuki.hatenablog.com

をご覧ください。理解が深まって、面白いでしょう。

 

第8位の『理系男子の"恋愛"トリセツ』は、この研究室ブログで公開から2年近く経つ現在も、注目記事で1位を「院生彼氏(主に理系修士)と長続き交際のコツ良記事紹介~loveko「大学院生の彼氏を持つ彼女必見!就職や忙しさなど知っておきたいこと」~('18.12.10、19時台追記)」が独走しています。今年の12月10日に、主に理系修士卒以上の方に向けて、人生設計を考えるヒントになる本のリンクを貼って、更新しました。任期付の研究員や夫婦の遠距離別居の例が出ているようで、一部、文系の方にも共通する衣食住の情報があると思われます。気になる方は、覗いてみてください。

 

 

第7・6・5・1位は、大学・大学院を進路として目指す人のため、読むのにおすすめの本として、取り上げてきました。

 

第7位の『学校選びの原則―大学・専門学校はどこが違うのか』は、読むことで、たとえば高校3年間の教育課程を終えた人が、その後の進路で大学や専門学校、短大や各種の大学校を受験しようとした時、それぞれの違いや卒業後に得られる資格、およびその後のキャリア形成について知ることができます*1 

 

第6位の『突撃! オトナの大学院』のランクインについては、今年は社会人の方が大学・大学院への入学を目指すような話題が、断続的に私のネット周りであり、折々で同書に触れました。まず、高卒認定試験に合格して大学受験の資格を得て、キュアリアに悩んだ俳優かあいがもんさんに宛てた「高卒認定資格で大学進学しようか悩む俳優の方へ~「42歳が大学受験を考えてブチ当たった2つの問題。」(かあいがもん「お父さんの日記」)~ 」でしょう。その次は、父親の病死を機に、修士課程に入ったジャーナリストの方の体験談で、院進に合わせた転職の例を次の記事で紹介しました:

naka3-3dsuki.hatenablog.com

この本を読んでみて、 具体的に大学院に行ってみようと思い始めた方には、もはやタイトルにある社会問題では「古典」となりつつある第5位の『高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 』に触れた「大学院に行きたいと思ったら知るべき「初歩」のこと~大学院の進学システムと就活~ 」で、大学院の仕組みを学んで頂きたいと思います。その厳しさを知った上で、修士修了後、主に文系で大学院博士課程に進みたい方には、第1位の『文系 大学院生サバイバル』の紹介記事↓

で、具体的な生き残り術を会得してください。その上で、大学院の受験をしたいという方には、進路相談、提出する書類赤ペン先生的なことも弊ブログでは受け付けています。ご利用ください:「【再び告知】院試の受験対策の相談や申込の受付について

 

 

第4位と第3位は、大学院入学後、学術論文を書くことになった人が読むと役に立るガイド本です。第4位の『社会科学系のための「優秀論文」作成術―プロの学術論文から卒論まで』は、第1位の『文系 大学院生サバイバル』に登場しており、昨年のランキングで同書のことを取り上げた時、

Amazonの本書のページで紹介されている目次を読むと、

  • 社会科学論文の「型」をマスターする
  • 学位・卒業論文の攻略法
  • 学術雑誌攻略法

といった、社会科学系の論文を書く上で、基本的な知識と気を付けるべきポイントを分かりやすい構成をとって、読者を導く本であることが窺えます。

ブログで取り上げた本の2017年人気ランキング・トップ8:その1~第8位から第4位まで~ - 仲見満月の研究室

と簡単に内容に触れました。 できたら、来年中にはチェックしたいと考えております。続く第3位の『できる研究者の論文生産術』は、心理学の研究者である著者が伝授する「どうすれば「たくさん」書けるのか」というライフハック本です*2。2018年の7~9月頃には、学術出版に関する話題が私の周りで盛り上がり、「学術研究や研究者養成のほうから見た「若手には過酷な論文集の出版事情~日本の学術出版…とその問題~」(Togetter)」の「重要な関連記事」で同書に触れました。同書の第7・8章には、研究者が本を出すために、出版社や編集者と知り合うための方法や、企画の出し方が書かれていますので、近々、論文集を出すご予定の方にも『できる研究者の論文生産術』はおすすめの1冊です。

 

ちなみに、研究生活自体の効率化は、この12月に読み終えた借金玉さんの『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』の「かばんぶっこみ法」、PCをツーモニターにして一覧性をアップさせる工夫などが実践的です。詳しくは、「研究者向けライフハック書として #借金玉『 #発達障害 の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』を読む」を合わせてお読みください。

 

 

4.さいごに 

以上、仲見研のブログ群で取り上げてきた本で、よく読まれたものトップ10を発表し、2018年を振り返りました。ランキングには入っていなかったものの、今年、私の周りの学術業界の人たちにも注目されたのは、TYPE-MOONスマホRPGFate/Grand Order』に登場する歴史上の人物や、神話・伝説の神々などに関連する学術系の本や、古典文学を題材にした映画、各種メディア作品でした。そのあたりに関しては、関連書籍の紹介をまとめた弊サークルの同人誌:

naka3-ken.booth.pm

に加えて、10~11月に読んだ児童書の書評シリーズ:

naka3-3dsuki.hatenablog.com

で感想やコメントをまとめを書いています。 

 

実は、映画についても「面白かった作品○○選」なるものを書きたかったんですが、時間がなさそうです。そこで、この研究室ブログに合うテーマで1作を選びました。今年公開されたイタリア発のアカデミック犯罪コメディ映画で、海外のアカポスの厳しさを知りたい方は、特にどうぞ↓
naka3-3dsuki.hatenablog.com

naka3-3dsuki.hatenablog.com

 

年明け1月9日に、日本語で見られるシリーズ3部作の DVDセットが発売される模様です。

 

 

もし、気になる本があれば、リンクしている拙ブログ記事を読んでいただき、Amazonのリンクからお買い上げ下さると、私にお小遣いが発生して、有り難いです。

 

それでは皆様、よいお年をお過ごしください。 

 

 

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