〈目次〉
1、はじめに
暑い日が続きますが、皆様、いかがお過ごしでしょうか?私は、通院や仕事を除き、家に引きこもって、家事やドール活動以外では、読書をしております。
今回は、2025年8月中旬までに読んだ3冊の本のレビューをまとめおこうと思います。
2、2025年8月中旬までに読んだ本
2ー1、三宅香帆『「好き」を言語化する技術』(ディスカヴァー携書)
1冊目はこちらです。
本書は、サブタイトルのように「推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない」人のために、書かれた文章術の本です。
具体的には、「好き」という気持ちや「好き」になったエピソードを細分化したり、自分の気持ちをメモした後で他者のSNSでの意見を見て、自分の言葉と他者の言葉を分けて扱ったりすることを要に、推しの語り方やブログでの文章の書き方が展開されています。厚さとしては、300ページ未満のため、一般的な新書と変わらず、2日間、ぶっ続けで読めば読了できる、非常にタイパに優れた本でもあります。
2ー2、矢野利裕『「国語」と出会いなおす』
2冊目は、懐かしい国語の教科書の作品を取り上げながら、それとの再会をするための本です。
「文学」と「国語」の違いを、作家側の国語に対する姿勢を紹介し、教育現場での経験を交えて分析し、論じた1冊です。
一説に、筆者は、構造主義の話を使って、物語的な構造をもたないものが「文学」であると解説していました。中盤では、夏目漱石の「こころ」、ヘルマン・ヘッセの「少年の日の思い出」等の教材を使いながら、それぞれの作品の特徴をおさえつつ、実際に授業で問題となる点を指摘しています。
終盤で、作家の、滝口悠生の「恐竜」で読解問題を本人に解かせて、答え合わせをしながら対談する箇所があり、面白かったです。
2ー3、モトクラシズム『モトクラシ』Vol.1「「推す」「推される」のはざまで」
3冊目は、第1回人文系リトルプレス市の事前情報で、気になっていた本です。
●モトクラシズム『モトクラシ』Vol.1「「推す」「推される」のはざまで」モトクラシズム、2025年
地下アイドルからバンドマン、VTuberまで。3次元の芸能世界を中心に、活動する人々の喜怒哀楽や運営等の問題を浮き彫りにした1冊。
シンガーソングライターに付きまとう迷惑なリスナーやら、東京FMが開く10代のバンドの登竜門的なコンテストに潜むメジャーデビュー後のサポートの不足さやら。ジャニーズからメンズ地下アイドルまで、チケットの転売の裏側やら。知られないディープな側面を知るには、一読の価値あり!
3、おわりに
以上、3冊を読みました。主に、文芸批評やルポ・インタビュー集が中心でした。7月から8月上旬まで、日本の古典文学に関する本や、中国の近代文学作品を読んでいたので、ノンフィクションを読みたくなり、実践していた感じです。
3冊に連なるテーマを挙げるとすれば、国語との付き合い方を考え直し、「推し」への気持ちを言語化したり、彼ら・彼女らとの関係を見直したりするための機会を設けてくれることになるでしょうか?「推し」との関係性を考える上で、外せない小説には以下のものがあります。
こちらについては、note.comのほうでレビューをしているので、そちらをご覧ください。
●【再入荷検討の書籍】宇佐見りん『推し、燃ゆ』(河出文庫)の紹介|すみっこ書店@仲見満月の分室
それでは、涼しい部屋や図書館で読書しながら、この暑い夏を乗り切りましょう!
おしまい!