仲見満月の研究室

元人文系のなかみ博士が研究業界の問題を考えたり、本や映画のレビューをしたりするブログ

2025年9月1日までに読んだ本〜池澤夏樹・池澤春菜『ぜんぶ本の話』(毎日文庫)など5冊〜

1、はじめに

残暑の厳しい中、皆様、いかがお過ごしでしょうか?私は仕事に出ながら、空いた時間に即売会の準備をしつつ、読書を進めておりました。

 

今回は、8月下旬から9月1日までに読んだ5冊の本を、ご紹介したいと思います。

 

 

2、2025年9月1日までに読んだ本〜池澤夏樹池澤春菜『ぜんぶ本の話』(毎日文庫)など5冊〜

 2ー1、池澤夏樹池澤春菜『ぜんぶ本の話』(毎日文庫)

1冊目は、父娘による本をめぐる対談集です。

 

 ●池澤夏樹池澤春菜『ぜんぶ本の話』(毎日文庫)毎日新聞社、2024年

 

父親で作家の池澤夏樹と、声優・脚本家・SF作家と幅広く活動する娘の池澤春菜の父娘が、海外の文芸作品を中心に、児童書やSF、ミステリー、それから祖父の福永武彦から三代に続く文芸作品の流れを座談した、『ぜんぶ本の話』。海外の小説作品を中心に話し合われていますが、ところどころ、日本の作家の小説も挟まれていて、読書案内としてお薦めできます。二人のファンの方々にも、読んでほしい1冊ですね~。

 

 2ー2、finalvent『新しい「古典」を読む』1〜2巻

2・3冊は、こちら。

 

1巻は、漫画『めぞん一刻』から、椎名誠『さらば国分寺書店のオババ』、五木寛之の『風に吹かれて』、そして村上春樹の初期作品まで。ここ50年から10年前までの様々な漫画、小説、エッセイ等を書評し、新しい「古典」として読み解いた評論本です。特に、村上春樹のデビュー作『風の歌を聞け』から『ダンス・ダンス・ダンス』までの初期作品の構造的な読み解きは、鋭く、面白かったです。

 

2巻は、1巻に引き続き、漫画からエッセイ、料理研究家の著作、様々なスタイルの小説、漢文の参考書に至るまで、ジャンルを横断して、新しい「古典」を読み、批評しています。特に、料理研究家小林カツ代の料理ガイド本からエッセイを読み解く執念には、頭が下がる思いがしました。

 

 2ー3、三宅香帆『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』(角川文庫)

 

4冊目は、今を時めく文芸評論家の三宅香帆さんの文庫本です。

 

 

古典的名著の『カラマーゾフの兄弟』、『吾輩は猫である』から、現代中国の名作SF『三体』、それから奇書『ドクラ・マグラ』、ベストセラーの短歌集『サラダ記念日』、千年以上も読みつがれた『源氏物語』などなど。古今東西の名作だけど、ちょっと読みづらいかもな?という文学作品の小説を中心に、著者が大学院で得たテクニックを駆使して、読み方を伝授したのが本書です。

 

それは、あらすじを先に知ってから読むこと。ときに、先達の研究者たちの解釈を読み集めておくこと。等など、実用的な事例集となっております。

 

 2ー4、三宅香帆『(萌えすぎて)絶対忘れない! 妄想古文』(14歳の世渡り術)

 

5冊目は、三宅香帆さんによる古典文学作品の案内書です。

 

 

タイトルどおり、カップリングを意識して、妄想を絡めて日本の古典文学を読むことを推奨したのが、本書です。特に、著者が萌えたのは、本書の冒頭に出てくる、中宮定子と女房で『枕草子』の著者・清少納言の「百合」的な関係性でした。

 

一見、物語や和歌のオタク的な読み方をすすめているように見えますが、その学術的な説の裏取りはさすが元研究者だけあって、出典が明記されております。学び直しにもいかがでしょうか?

 

 

3、おわりに

以上、5冊を8月の後半を中心に読みました。どれも、書評集やブックガイド的な本です。

 

特に、finalventさんと三宅香帆さんの本は、書評や書籍案内の記事を書く上で参考にしたいと思い、重点を置いて、読んでいました。矢野利裕さんの『「国語」と出会いなおす』にあったように、構造主義の勉強の必要性を少し感じたように思います。

 

そうそう。古典文学の本は、これから、すみっこ書店の棚に置くこともあると思いますので、よろしければ、お手に取ってくださいませ。よろしくお願い致します。

 

おしまい!

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