朝鮮王朝時代の漢文
*これは、修士課程のころのお話です。
ある日、昼のゼミ発表で「やっと発進した感じだね~」と先生に言われ、苦笑いしかできなかった私でした…。
それはさておき、ここ何ヶ月か、朝鮮王朝末期の文献を、朝鮮・韓国哲学のゼミにお邪魔して、読んでいます。文献は両班の残した漢文の記録ですが、時々、『大漢和辞典』に載っていない漢字の言葉や意味が出てきます。
(*イメージ画像:韓国の古民家)
日本語レベルの高い韓国人留学生たちと議論しながら日本語に訳しています。今回、分かったことは、朝鮮王朝時代の漢文には、独特の漢字言葉や意味が存在すること。
例えば、「合木賣」(habb-ddong,ごうとく:二字目は木へんに「売」の旧字体)。『エッセンス韓日辞典』(民衆書林、2005)で引いたところ、「夫婦の位牌を一つの木賣(とく=はこ)の中に祭ること;また、その木賣。」とりました。
朝鮮王朝時代には、高麗時代までとは違った氏族単位の祖先祭祀の習慣が成立していったみたいです。
(ちなみに、新羅・高麗時代は王家内で近親婚の可能な習慣がありましたが、朝鮮王朝時代に同性不婚の習慣になったそう。)
現在でも、韓国の家庭では一番上の男子を頭首にし、特定の日や時期に祭祀を行うそうな。そうやって、祭祀の礼を引き継いでいくんだそうです。ほかにも、「目」の漢字に『漢字源』には日本で使う意味に「もくろむ」があり、ハングルの辞典にも同じ使い方が出てくることがありました。
中国語圏の文献だけを読んでいたら、きっと、朝鮮王朝時代の漢文に特有の漢字言葉や漢字の意味のあったことに気がつかなかったことでしょう!
東洋学の研究者といえども、研究上、朝鮮半島の漢文を読まないといけない人には、落とし穴になる注意事項ですね。今後も朝鮮王朝時代の漢文を読むことになりますが、こうした気づきを積み重ね、自分の研究に生かせたらと思いました。
あと、もう少し、祖先祭祀について調べて書き直す必要がありそうです。