仲見満月の研究室

元人文系のなかみ博士が研究業界の問題を考えたり、本や映画のレビューをしたりするブログ

【ニュース】「あしなが育英会、返還不要な奨学金制度を新設へ」(読売新聞)

<「あしなが育英会」は縁の下の力持ち?>

1.はじめに

読者の皆さまで、生徒、学部生や院生の方のなかに、「あしなが育英会」から奨学金を受けていらっしゃる方は、どのくらい、おられるでしょうか?

 

私の周りには、ほとんどいないようで、現在の日本学生支援機構(JASSSO)で返済型奨学金を借りて、就職後に毎月、決まった額を返済している先輩や同期が多いようです。

 

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私にとっては馴染みの薄いものの、実は「あしなが育英会」は私の父が少しお世話になったことがあるようでした。今回は、ガッシリと生徒や学生たちを支えてきた実績のある、「あしなが育英会」が返還不要の奨学金制度を新設するという話題を取り上げます:

www.yomiuri.co.jp

 

 

2.「あしなが育英会、返還不要な奨学金制度を新設へ」(読売新聞)を読む

あしなが育英会、返還不要な奨学金制度を新設へ

2017年10月10日 21時13分

 災害や病気などで親を亡くした遺児らに奨学金を貸与している「あしなが育英会」(東京)は来年度、返還不要な奨学金の給付制度を新たに開始すると発表した。

 

 同会では、親が亡くなったり障害を負ったりして学費に困窮している高校生~大学院生の計約4600人(8月1日現在)に、月2万5000~8万円を無利子で貸与している。

 来年度に始まる新制度では、すべての奨学生に、貸与分のほかに、返還不要な給付分として月2万~4万円を支給する。

 同会によると、大学生・短大生の場合、貸与分と給付分を合わせ、奨学金は年計84万~96万円となり、授業料や交通費などがほぼ賄えるという。

 

 同会の現在の貸与金額は年約23億円。給付分として新たに年約15億円が必要になるが、これまでに同会に寄せられた寄付などで10年間程度の財源は確保できているという。

あしなが育英会、返還不要な奨学金制度を新設へ : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

 

あしなが育英会」という団体、どのようにして日本で始まり、今日まで続けられるよう、財政的に運営されてきたのか、私は恥ずかしながら、まったく知りません。運営については、今後、調べさせていただくことにして、ここでは運営の堅さと、生徒や学生たちの経済的な支援実績に焦点を当てて、コメントしていきたいと思います。

 

まず、同会の支援対象者には、「災害や病気などで親を亡くした遺児ら」、より具体的には、「親が亡くなったり障害を負ったりして学費に困窮している高校生~大学院生の計約4600人(8月1日現在)」がおります。彼らは、「月2万5000~8万円を無利子で」同会から借りて、学費や生活費に充てていると見られます。

 

無利子の貸与制度は、JASSOの中の返済型奨学金制度にも含まれていますし、学業成績や傷病等によって返済額を減額できるといった処置もあるようです。が、私の知るところでは、JASSOの早期返済を電話で催促されたり、留年したために奨学金が停止になったりした話を身近で聞いたりしたことがあって、いまいち、JASSOのイメージに明るいものがありません。裏には、それだけ、JASSOに返済できる人が減ってきていて、健全な運営が難しくなってきているのでは?という邪推や妄想が私には出てきてしまいます。

(まあ、JASSOは貸与者の規模が、あしなが育英会とケタ数で大きく違いますから、単純に比較はできませんが)

 

ところで、「あしなが育英会」は、「来年度に始まる新制度では、すべての奨学生に、貸与分のほかに、返還不要な給付分として月2万~4万円を支給」を予定しています。貸与対象者の内訳として、「大学生・短大生の場合、貸与分と給付分を合わせ、奨学金は年計84万~96万円となり、授業料や交通費などがほぼ賄えるという」とのこと。

貸与+給付=84~96万円といえば、関関同立クラスの法学部や経済学部の1年間の授業料は賄えそうな金額です。国立大学の文系、文理総合系の部局であれば、1年半分の納付金に相当すると思います。現在、学生生活を送る皆さま、いかがでしょうか?

 

ちなみに、同会の財源はどうなっているのか?というと、

 同会の現在の貸与金額は年約23億円。給付分として新たに年約15億円が必要になるが、これまでに同会に寄せられた寄付などで10年間程度の財源は確保できているという。

あしなが育英会、返還不要な奨学金制度を新設へ : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)) 

貸与金額が「23億円」!けっこうな額で、これだけの額の返済を待ちながら、来年には 「新たに年約15億円が必要」になる、ということです。その15億円は、同会への寄付などで賄うようで、あと10年間ほどの財源は確保しているから、大丈夫ですよ~!というお話だそうです。って、どれだけ「寄付など」の活動で、財源を確保しているでしょうか。なかなか、堅実な運営をされていると、私は見ました。

 

その堅実さは、公式サイトのあちこちを読むと、前身の「あしなが運動」自体が50年前に起こり、その息の長さと地道な活動があればこそ、だと感じられました。同会の支援システムほかの活動や施設が整っていくのにも、数十年かかって、給付型の奨学金を始められるようになったのかもしれません:

www.ashinaga.org

 

 

3.最後に

そういうわけで、今回は「あしなが育英会」が来年に給付型の新奨学金制度を設ける予定だという、ニュースでした。同会については、失礼ながら、無知に等しいので、きちんと公式サイトを読んで、色々と教育機関に挙がっている資料なども見て、調べようと思います。

 

こっそり、繰り返しますが、同会の奨学金制度は、大学院生も貸与対象者となっており、今回、弊ブログで取り上げさせて頂きました。

 

おしまい。

 

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