仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

【2017.6.2_0143追記】中国古典小説の英語版~『金瓶梅』の場合~

先日書いた下の記事で取り上げた、中国古典小説『金瓶梅』に関する話です。

 

naka3-3dsuki.hatenablog.com

 

源氏物語』の英訳で有名な東洋学者のアーサー・ウェイリーですが、この方、中国の白話小説金瓶梅』の英訳も手掛けております。

 

なお、ウェイリーについては、比較文学者の平川祐弘氏による評伝をご覧ください:

 

そして、ここからが本題です。

 

院生時代の学会例会で、古書店で売っていたソレを他大学のポスドク*1の方が買っていて、見せて戴きました。戦前の普及版でシミだらけなものの、しっかりとページが開ける状態のものでした。

 

 

「全100回(話)、英語に訳してあるのかな~」とペラペラ捲ったら、半分の50回(話)くらいで本が終わっていて、凹んでいらした…。

どうやら『金瓶梅』は他の「四大奇書」(『三国志演義』、『水滸伝』、『西遊記』)よりもマイナーな上、全100回と残りの三冊に負けないくらい長いため、英語の完全訳は
今も出ていないほど、らしいです。

「英語の論文を書くために買ったのに~」とのことでした。

 

(2016.7.9追記)

改めて、Amazonで検索してみたところ、現在出版されている以下の英訳。カスタマーレビューと検索の結果を考えると、どうやら、途中で翻訳が途切れる形となり、1巻で出版が止まっているようです。

 

The Plum in the Golden Vase or, Chin P'ing Mei, Volume One: The Gathering: Volume 1 (Princeton Library of Asian Translations)

 

なか見!検索で目次を見ると、確かにチャプター20で終わっていました。やはり、100

回分のボリュームを翻訳するというのは、大変な労力を要するものなんでしょうね。

 

この記事の一番上のリンク記事で紹介した、岩波文庫版『金瓶梅』1巻の解説を読んでいると、全10巻を日本語訳している途中、小野忍氏と共に翻訳していた千田九一氏が 1965年12月12日に急逝されたそう。そのため、残りの作業を小野氏がすべて引き継ぐこととなったという事情が記されていました。

 

日本の『源氏物語』然り、古典文学作品の長編を翻訳するというのは、膨大な時間と労力を要するものだと分かりました。翻訳者の方のお力と忍耐力には、本当に頭が下がる思いで、今回の記事の執筆を終えたいと思います。 

 

(2017.6.2_0143追記)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その後、Amazonの関連商品を見ると、”Princeton Library of Asian Translations”で続刊になっていました。リンクを貼っておきます。

 

 

*1:博士研究員。研究機関や学術振興会(学振)等から給与や研究費を支給されて、職業として研究を行う身分の人。博士号取得、または取得間近な博士院生、博士号を取得してから数年内の人が就くことが想定されているポストらしい。2010年代以降、大学非正規雇用が更に広がる中、教授や常勤講師への研究職へのステップとして、雇用期間が限られている場合が多く、任期が切れたポスドクが次の職場(決まった場合は)へ流れていく、いわゆる「流動研究員」もいる(文理の分野関係なし)。次の文献参照:究者マンガ「ハカセといふ生物(いきもの)」 | 実 験太朗, 立花 美月 | 洋書 | Amazon.co.jp

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