仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

大学教員のヒエラルキーと「名誉教授」や「栄誉教授」~「(今さら聞けない+)名誉教授 形式的な称号、給料はなし」(朝日新聞)~

<本記事の内容>

1.はじめに

Twitterを見ていたところ、本ブログにマッチする面白いニュースが流れてきました:

digital.asahi.com

 

朝日新聞デジタルでは、2017年6月17日03時30分付け、紙媒体では、6月17日朝刊の土曜特別版に載っていた記事のようでした。

 

いずれにしても、この記事のテーマは変わりません。ということで、この記事を読みながら、今回は大学教員の職階について、見ていきたいと思います。

 

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2.大学教員の職名とヒエラルキー~新聞記事と仲見の周辺の話~

非常に分かりやすい内容ですので、記事の冒頭から見ていきましょう。

 

(今さら聞けない+)名誉教授 形式的な称号、給料はなし
2017年6月17日03時30分

 

大学の「名誉教授」という言葉をよく目にします。「名誉」というからには、権威ある大学の先生のなかでもとくにエライ人……と思っている方、いませんか? 実は、ちょっと違います。

     *

 大学の教員は、助教→講師→准教授→教授、という順番で昇進していきます。ちなみに「立場が上の人ほど数が少ない」とログイン前の続きいうピラミッド構造にはなっていません。たとえば2015年度の東京大学では、教授の人数が准教授や助教より4~7割多い1187人で、講師が最も少ない230人でした。文部科学省が国立大学など90法人をまとめた統計でも教授が最多、講師が最少です。

(今さら聞けない+)名誉教授 形式的な称号、給料はなし:朝日新聞デジタル

 

名誉教授のことは横に置いておいて、*マークの次、第2段落の大学教員のヒエラルキーを確認しましょう。分かりやすい表が朝日新聞に出ていましたので、転載致します。

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 (画像:本ニュースの記事より)

 

挙がっているのは、2015年の東京大学のケースですが、職階の頂点にいるのは教授。次点が准教授、講師、助教と続きます。実際は、この下に任期付きのポストドクターという博士研究員のポストが存在しますが、彼らは研究室では大学教員ではないため、本記事では大学教員のヒエラルキーには含めません。

なお、各ポストの平均年間収入が挙がっており、トップの教授は1172万円となっていますが、一時期話題になった京大教授の平均年間給与は900万円台だそうですから、200万円ほど東大教授のほうが京大教授より多いということになりそうです。

 

この職階の各ポスト人数の割合は、朝日新聞が「「立場が上の人ほど数が少ない」とログイン前の続きいうピラミッド構造にはなっていません」と指摘しているように、歪だと言えるでしょう。「たとえば2015年度の東京大学では、教授の人数が准教授や助教より4~7割多い1187人で、講師が最も少ない230人」であり、「文部科学省が国立大学など90法人をまとめた統計でも教授が最多、講師が最少」。つまり、ヒエラルキーの最下位の助教は除いて、講師がいちばん少ないということです。

 

給与と人数を見ていて、気がついたのが、私の周囲の大学教員の方々は、東大の先生方の平均年間給与ほど、たぶん、お給料をもらっていません。あるいは、もらっていても研究予算が取れなかった分、自腹を切っているため、研究職と言う意味でトータル利益を見ると、上の数字7割から5割くらいになっているんじゃないでしょうか?その残りのお金で、ご家族を養い、お金のないゼミや研究室の部下や学生たちの飲み会代の何割かを払い、ということをしていると、ご自分の趣味に使えるお金は一体、手元にいかほど残るのか、心配になってきてしまいました。

 

ところで、よく聞く「教授会」とは、私のいた大学院の部局では「部局会議」がそれに当たり、部局の事務職員+教授陣が中心となって、部局の問題について話し合う会議だったそうです。ただし、博士論文の審査に絡んだ臨時の教授会があることもあって、「教授会」=「部局会議」と必ずしも言えません。

うちのボス先生、隣近所の教授たちは会議が嫌で、よく出奔していたらしく、助教先生が院生部屋にやって来ては「ボス先生を会議に出るよう、連絡を出してください!事務長さんは、おかんむりです!」ということが過去、数回、ありました。逃げだすにも理由があって、14時くらいに始まって、20時に終わるという長丁場になることがあるからです。アカデミック・ハラスメントの訴えがあったとか、留年や退学の届け出の受理等について、議題として挙がることもあるようでした。

 

大学や大学院によっては、オブザーバーで下の職階の大学教員も会議に出るところがあるそうです。ここまで、私の周囲のお話を書いていると、実は会議に出る前に資料をまとめないといけない先生方もいて、雑務の一部がお分かりいただけると思います。

 

こんな感じで、日本の大学教員は給与が実質的には高くなく、会議に追われ、その間で授業準備や研究作業を行って論文を執筆しているわけです。世の中に楽な仕事はないという言葉がありますが、大学教員も大変なんですよ。

 

 

3.「名誉教授」ってどんな存在なの?

さて、このニュース記事のメインは「名誉教授」のことで、学会で私も見かけることがある「その道の大家」という扱いを受けていらっしゃる先生方もおられました。が、基本的には、謎の存在。「名誉教授」の存在について、ニュース記事で迫ってみましょう。 

 そして、名誉教授。これは現職の先生ではなく、大学を退職した元教員に与えられる形式的な「称号」です。学校教育法にも規定があり、「教育上又は学術上特に功績のあった者」に授与できる、とされています。海外にも似たような仕組みがあって、たとえば米国の大学では退職した教授に「professor emeritus」という称号が贈られます。

 

 晴れて称号をもらえると、何か「特典」があるでしょうか。複数の国立大名誉教授に聞いてみると、「カード型の身分証をもらえるので図書館などの施設に出入りできる」「大学を通じて国からの研究費がもらいやすい」とのことでした。

 

 ただし、大学との雇用関係はないので、給料はなし。「一種の身分保証のようなもの。紹介してもらうときに『元教授』というよりも肩書として落ち着きがいい」という意見もありました。

 

 どんな人なら名誉教授になれるのでしょうか。

 

 ここは大学の運用に任されています。東大の規則は「総長又は教授として在職5年以上」「本学における功労が大である」などの条件を満たすよう求めています。在職年数はわかるとして、功労の大きさって?

 

 東大大学院教育学研究科の福留東土(ひでと)准教授(高等教育論)によると、定年まで勤めたか、研究科長などの役職経験があることが「相場」。各部局にある「教授会」が推薦し、全学的な組織が決裁するという仕組みで、16年度には71人が名誉教授になりました。「それほど特別な存在ではありません」(福留さん)

(今さら聞けない+)名誉教授 形式的な称号、給料はなし:朝日新聞デジタル

 

名誉教授とは「現職の先生ではなく、大学を退職した元教員に与えられる形式的な「称号」」であり、「学校教育法にも規定があり、「教育上又は学術上特に功績のあった者」に授与できる、とされて」いることが分かります。海外でこの称号に当たるのは、「たとえば米国の大学では退職した教授に「professor emeritus」という称号」です。

 

 注目すべきは、名誉教授の称号を得た特典で、

  • 「カード型の身分証をもらえるので図書館などの施設に出入りできる」
  • 「大学を通じて国からの研究費がもらいやすい」

といったことが伝えられていて、「大学との雇用関係はないので、給料はなし」、だた「一種の身分保証のようなもの」だそうです。確かに、「元教授」というと、何か不祥事を起こして辞職したマイナスイメージが伴うので、そのような意味で「名誉教授」は必要な肩書きといえそうです。

 

名誉教授になるには、「東大の規則は「総長又は教授として在職5年以上」「本学における功労が大である」などの条件を満たす」こと。ニュース記事の続きを読むと、「定年まで勤めたか、研究科長などの役職経験があることが「相場」。各部局にある「教授会」が推薦し、全学的な組織が決裁するという仕組みで、16年度には71人が名誉教授になり」ました。

 

実は、私のいた研究室のボス先生も一昨年度くらいに「名誉教授」の手続きをして、退職されたそうです。同時に「名誉教授」となった先生方は、私のいた部局だけで複数いらっしゃったそうで、見方によっては「ご隠居先生」と言いたくなってしましました。だって、数が多いんですもの。

 

 

4.さらに「栄誉教授」もいるらしい

つづいて、「栄誉教授」とは、何か見ていきましょう。

 名誉教授と似ている「栄誉教授」という言葉を聞いたことのある方も多いでしょう。最近では、東京工業大学栄誉教授の大隅良典さんが、16年にノーベル医学生理学賞を受けて話題になりました。

 

 響きは似ていても、中身はかなり違います。11年にできた東工大の制度で、これまでの対象者は大隅さんら10人だけ。「ノーベル賞文化勲章文化功労者日本学士院賞又はそれらと同等の教育研究活動の功績をたたえる賞若しくは顕彰を受けた者」が授与の条件となっています。大変な狭き門です。

 

 東大でも、年間100万円の手当が5年間もらえる「特別栄誉教授」という称号がありますが、対象者はこれまで6人だけ。まず05年に、ノーベル物理学賞をすでに受けていた小柴昌俊さんら4人に授与。16年には同じ賞の梶田隆章さん、17年には大隅さんと、ノーベル賞の「後追い」のような格好で授与しています。東京農工大学北里大学にも特別栄誉教授の称号があり、いずれも対象はノーベル賞クラスの研究者です。

 

 福留さんは、「著名な研究者が在籍していることを社会にアピールする意味合いもある」と指摘しつつ、こう語ってくれました。

 

 「学問は先輩たちによる知見の積み重ねがあって成り立つもの。その歴史を研究者が敬う気持ちは、一般の方よりも強いのかもしれません」

 

(今さら聞けない+)名誉教授 形式的な称号、給料はなし:朝日新聞デジタル

オリジナルの「栄誉教授」とは、「11年にできた東工大の制度で、これまでの対象者は大隅さんら10人だけ」ということで、授与条件は、「「ノーベル賞文化勲章文化功労者日本学士院賞又はそれらと同等の教育研究活動の功績をたたえる賞若しくは顕彰を受けた者」」とのことで、名誉教授の誰もがなれるものではありません。

 

ややこしいことに、「東大でも、年間100万円の手当が5年間もらえる「特別栄誉教授」という称号があり」まして、

対象者はこれまで6人だけ。まず05年に、ノーベル物理学賞をすでに受けていた小柴昌俊さんら4人に授与。16年には同じ賞の梶田隆章さん、17年には大隅さんと、ノーベル賞の「後追い」のような格好で授与しています。東京農工大学北里大学にも特別栄誉教授の称号があり、いずれも対象はノーベル賞クラスの研究者です。

 

福留さんは、「著名な研究者が在籍していることを社会にアピールする意味合いもある」と指摘しつつ、こう語ってくれました。

 

 「学問は先輩たちによる知見の積み重ねがあって成り立つもの。その歴史を研究者が敬う気持ちは、一般の方よりも強いのかもしれません」

(今さら聞けない+)名誉教授 形式的な称号、給料はなし:朝日新聞デジタル

つまり、偉大な業績を上げた研究者が在籍しているということを示し、その大学が社会に対して貢献しているステータスとしての称号といったところでしょうか。そうは言っても、年間100万円の手当×5年というのは、引退した職業研究者としては、残りの人生も研究を続けたいと願う人にとっては非常に有り難いことだと、私は感じました。

 

 

5.最後に

以上、大学教員の職階と人数の歪さや職務、および退職後の称号と特典について、見てきました。このニュース記事は、ある意味、大学教員として職を得て、退職後もどのような肩書きを持って「研究を続ける人は続けられるのか」、という特典のところについても、見てみました。

 

院生時代の大学教員の先生方の姿を見ていると、職を得ても研究費が多くはとれず、自腹を切ったり、部下や学生におごることも稀にあったりで、在職中の待遇を見ると、やはり、他の仕事と同じくらい苦労はあるものだと実感しておりました。そして、引退後は引退後で「名誉教授」等の称号があったら、研究活動をする上で便利なところもあって、名目以上に称号と言うものは役に立つようにできているのだと気が付きました。

 

最後に、今回のニュース記事を書かれた記者の研究者に対する感想を引用して、本記事を閉めさせていただきます。

■記者のひとこと

 「名誉教授」という言葉が出てきた朝日新聞の記事は、昨年1年間で2千件以上ありました。常日頃、取材でお世話になっている方々です。政府の審議会委員になったり、大学に残って研究を続けたり。定年を過ぎても第一線で活躍する人が多いのも、一般人の仕事とはひと味違うところです。(小宮山亮磨)

 ((今さら聞けない+)名誉教授 形式的な称号、給料はなし:朝日新聞デジタル

 

 

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