仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

「新たな夜間部」の試み:長時間労働を避けて働く大学生が安心して学ぶ制度~「「夜間大学」という可能性 昼間は大学の正職員として稼げるケースも 」 (AERA dot.)~

<大学の「新しい夜間部」という選択肢>

1.はじめに

前々回、お伝えしたニュース記事:

オーストラリアと日本の大学状況の差に見る出世払い型の教育費支給システム~「安倍政権の「出世払い型教育国債」は低レベル大学を延命させる」(ダイアモンドオンライン)~ - 仲見満月の研究室

こちらでは、日本で「出世払い型教育国際」を実施することのデメリットを知らせ見てきました。また、現在の日本の中等教育後期課程の進学状況について、

高校か、高等専門学校等の中等教育後期課程の段階で、「何とか自分でもできそう」レベルのものを見つけ、経済状態が許せば、大学へ進学、もしくは編入してスキルアップを行い、一旦、就職。大学に進学できないなら、とにかく、22歳くらいまでに、アルバイトでもパートでも、四年制大学(全日制、通信制含む)へ行く資金を貯め、「何とか自分でもできそう」レベルの分野のものを見つけて、就活をして、新卒で就職すること。就職した後も、必要を感じたら、大学に入学してスキルアップを目指す。

 

つまり、むやみに大学無償化、その財源を国債に頼るのではなく、上記のような、「何とか自分でもできそう」な分野とお仕事を探している人、または目の前の分野の技術アップや勉強に取り組んでいる人に、ピンポイントで資金援助ができるような制度を日本政府は作った方が建設的だと考えました。

(オーストラリアと日本の大学状況の差に見る出世払い型の教育費支給システム~「安倍政権の「出世払い型教育国債」は低レベル大学を延命させる」(ダイアモンドオンライン)~ - 仲見満月の研究室)

ということについて、述べました。

 

今回は、大学側の取り組みについて、夜間大学を実施ししている次のオンライン記事の実例を中心に紹介していきたいと思います:

dot.asahi.com

 

アエラのオンライン記事は、長めのため、適度に切って引用し、間にはだしのコメントを挟んで、大学生と大学院生の学業と研究業の経済的な問題について、少し考えてみたいと思いました。

 

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2.「志願者急増も!「夜間大学」という可能性 昼間は大学の正職員として稼げるケースも 」 (AERA dot.)の内容と仲見のコメント

 2-1.冒頭~「イブニングコース」の衝撃~

それでは、さっそく、オンラインの記事を見ていきましょう。

  親世代の経済状況の悪化で再び夜間大学に注目が集まっている。魅力は学費の安さだけじゃない。現役生が魅力を語る。

 

 高校3年生になって間もない頃、父親にこう告げられた。

 

「大学進学は難しい」

 

 埼玉県出身の野中麻浩(まひろ)さん(22)は父子家庭の3人きょうだいの長男。生活ぶりから、経済的に余裕がないことはわかっていた。学費の安い国公立大学を目指して勉強していた。奨学金の利用も考えたが、きょうだいのことも考え、進学は断念した。

 

 しばらくして、大学の担当者も参加する学校主催の進学説明会があった。全員参加だったため、名前を知っている大学をいくつか回った。東洋大学(東京都文京区)のブースで、自分の状況を話した。

 

「新しい入試が始まるんです」

 

 渡されたチラシには、夜間のイブニングコースの説明があった。入学金は18万円、授業料などは53万円。国公立より安い。衝撃的だった。夜間の大学があること自体、初めて知った。

 

 さらに、新しい入試に合格すれば、昼間に東洋大の正職員として働いて稼ぐことができ、また授業料の半分は給付型の奨学金が4年間支給される。これなら親に頼らなくとも働きながら大学に行ける!

 

 経済的な理由から、夜間大学を志望する学生が増えている。東洋大の加藤建二入試部長は、夜間部の状況をこう説明する。

 

「戦後、勤労学生のために設置された大学夜間部は、1990年代には昼間部に入れなかった学生の受け皿となり、夜間部本来の役割が失われていた。しかし親世代の経済状況の悪化で、夜間部の役割が復活している」

志願者急増も!「夜間大学」という可能性 昼間は大学の正職員として稼げるケースも (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

 

冒頭の部分では、新たな「大学の夜間部」のコース設置を東洋大学が行ったことが取り上げられています。この夜間コースは「イブニングコース」とよばれ、親世代の経済状況ありますが、現役生にとって魅力的な形での就学ととらえられている様子が伝えられています。現役の学生にとって、魅力的な点は以下の通りです。

  • 「入学金は18万円、授業料などは53万円。国公立より安い」点
  • 「さらに、新しい入試に合格すれば、昼間に東洋大の正職員として働いて稼ぐことができ、また授業料の半分は給付型の奨学金が4年間支給され」、「親に頼らなくとも働きながら大学に行ける!」点

私が記憶しているどころでは、国立大学の大学では入学金30万円程度、授業料は年間国立大学で高いところでは53万円程度、平均してかかります。東洋大学のイブニングコースは、確かに上記の私の記憶に照らし合わせると、入学金はある12万円安く、授業料などのくくりで 53万円程度となっていますから、実際の授業料にあたる部分はもっともっと安いのでしょう。

 

今までにない経済的な学生の支援の魅力としては、試験は課されるものの、昼間に大学職員の正規職として働くことで給与に加えて、「授業料の半分は給付型の奨学金が4年間支給」されるということです。すなわち、学生の頑張り次第では。親から現役学生が経済的に自立して、自力で大学に通って学ぶことができる。野中さん親子でなくても、聞いた人は東洋大学の「イブニングコース」に「衝撃」を受けます。

 

近年、「経済的な理由から、夜間大学を志望する学生が増えて」いるのは事実です。友人の会社の後輩さんと食事をしたことがあった時のお話です。そのうちの一人は、夜間大学に通い、昼は様々なアルバイトを行い、夕方の時間帯から授業を受け、眠気と闘いながら必死に勉強。彼女はパワフルだったようで、就活でも幾つか内定を勝ち取り、私の友人と同じ企業で働いています。

 

オンライン記事によると、

東洋大の加藤建二入試部長は、夜間部の状況をこう説明する。

「戦後、勤労学生のために設置された大学夜間部は、1990年代には昼間部に入れなかった学生の受け皿となり、夜間部本来の役割が失われていた。しかし親世代の経済状況の悪化で、夜間部の役割が復活している」

志願者急増も!「夜間大学」という可能性 昼間は大学の正職員として稼げるケースも (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

ということだそうです。

 

以前、私は日本の大学経営に関する何かの本の中で、大学の夜間部は、1990年代頃は減少してきていたとありました。大学の夜間部は大学法人全体の経営にとって、負担になっていた時期であり、日本の一部の大学では、夜間部を積極的に廃止するところも複数あった、とその本には書いてありました。

 

それゆえ、東洋大の加藤さんが言われていることは事実でしょう。

 

 次の節からは、今までの夜間大学のイメージを見ていくことに致します。

 

 2-2.「●夜間大学を知らない」のと大学夜間部の受験者減少

●夜間大学を知らない

 東洋大の夜間部は全国最大規模で、6学部9学科に3381人が在籍する。東日本大震災以降、志願者は1322人(2012年度)から、3475人(17年度)に急増している。

 

「特に地方では経済的な理由で進学を断念する学生が多い。東洋大の場合、昼間部の学生は1都6県の比率が8割だが、夜間部は6割強だ」(加藤入試部長)

 

 14年度からは冒頭の野中さんが受験した新たな入試制度「『独立自活』支援推薦入試」を導入。大学事務局で日中働きながら、夜間に学ぶことを前提とした入試制度だ。働く場を保障することで、地方からの学生が挑戦しやすい環境を整えた。

志願者急増も!「夜間大学」という可能性 昼間は大学の正職員として稼げるケースも (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

日中の職場と学びの場が同じ、あるいは非常に近く、通勤や通学が容易であるというシステムは、働きながら大学に通うことが前提の学生には、非常に利便性が高いと思われます。私事ですが、博士課程の頃、パートアルバイトの職員をしていた研究所は、私の所属部局の研究棟のキャンパスから歩いても10分程度でした。仕事や研究で大量の本を運ぶ際は、自転車や台車を使って移動したこともあり、徒歩距離で職場と授業のある研究棟が近く、助かっていました。

 

東洋大学のこの「イブニングコース」と関連した「『独立自活』支援推薦入試」は、大学事務局という、働く場所が事前に決まっています。上京した若者が「ブラックじゃないバイト先、どうやって探そう…」と不安にならず、「働く場を保障」した部分については、これから好評を得ていくでしょう。

 

さて、どうして東洋大学は「『独立自活』支援推薦入試」という、新たな夜間部のコースを設置したのでしょうか。オンライン記事の続きを見ていきましょう。

「夜間部が休廃止されていくなか、高校の先生や親から夜間部という選択肢が消えていた。経済的な問題で進学を断念する学生に夜間部という選択肢を提示したかった」(同前)

 

 夜間部の学生数は04年に10万人を割って以降、16年は2万460人と減少の一途をたどる。夜間部を廃止し、昼夜開講のフレックス制を導入する大学も増えた。それでも、夜間部やフレックス制を設置する大学は05年の最大114校から、16年には71校に。一部、東洋大のように志願者が急増する夜間部はあるが、全体的には縮小傾向だ。背景には働く環境の変化もある。

志願者急増も!「夜間大学」という可能性 昼間は大学の正職員として稼げるケースも (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

先ほど、私が大学経営に関する何かの本で読んでいた部分にあったように、夜間部は1990年代には大学経営の「お荷物」とされ、廃止されていきました。具体的な数字はオンライン記事に 出ています。

  • 夜間部の学生は2004年に10万人を割る
  • 2016年は2万460人と減少の一途をたどる

さらに、「夜間部を廃止し、昼夜開講のフレックス制を導入する大学も増え」たが、

  • 夜間部やフレックス制を設置する大学は05年の最大114校から、16年には71校

と減っていき、「全体的には縮小傾向」であることが示唆されています。オンライン記事の区切りには、「背景には働く環境の変化もある」ことが指摘されていました。

 

 2-3.長時間労働を避け、働く学生がきちんと学べるように配慮する大学

オンライン記事は、東京電機大学の工学部第二部が、2018年度入試からの新設予定の「はたらく学生入試」の設置背景に移ります。

 

●夜間は昼間の滑り止め

 電大の愛称で知られる東京電機大学(東京都足立区)工学部第二部は、18年度入試から新たに「はたらく学生入試」を新設する。昼間、大学で働くことで給与を得て、働きながら学べる入試制度だ。前述の東洋大の「『独立自活』支援推薦入試」と同様の制度だが、背景は異なる。吉田俊哉教授は「働きながら学べるという選択肢を与えているつもりが、実は与えられていない」と指摘し、こう話す。

 

「昔のように17時に仕事が終わって、夜間大学にというわけにはいかない。長時間労働が問題になるなか、昼間の働き先を学校が準備することで、これまで応援できなかった人を応援できると考えた」

志願者急増も!「夜間大学」という可能性 昼間は大学の正職員として稼げるケースも (3/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

そう、実は長時間労働は、昨今話題となった「ブラック・(アル)バイト」とも関連がある問題と思われます。日中に授業がある学生でさえ、背景は様々ですが、長時間の労働を強いられることがあり、バイトのシフトをずらせないまま、大学の試験を受験できなくて、単位を落としてしまうことも、問題となっていました。働き先の融通が利かないのなら、電大の「はたらく学生入試」のように、「昼間、大学で働くことで給与を得て、働きながら学べる入試制度」で、大学内で長時間労働にならないよう、配慮してもらいながら、働けるなら学生は安心して学び、生活していくことができると思います。

 

電大では、学生のその先、社会人向けの制度も構想しているようです。

 社会人向けの「実践知重点課程」も新設し、企業人が求める特定の科目のみの受講も可能とした。卒業証書は得られないが、入学試験もない。工学部第二部長の佐藤太一教授は言う。

 

「技術競争が厳しいなか、企業には人材を育てたい気持ちが強いが、社員を夜間の大学で4年間学ばせる余裕のある企業は少ない。例えば1年でも技術研修をしたいという企業には、特定の科目だけを選んで履修する制度を勧めたい」

志願者急増も!「夜間大学」という可能性 昼間は大学の正職員として稼げるケースも (2/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

併設する語学研修センターや、生涯学習センターで、学外の社会人向けに語学などの資格取得講座を開講している大学は、現在でも多くあります。周囲のプログラマやSEの人たちからすると、たぶん、HTMLやJavaの基礎から、もっと高度なことが仕事できるよう、大学併設のセンターに技術修習コースの設置を求めているのではないかと、私は感じております。

 

彼らと一緒に過ごしておりますと、基本、本を読んだり、ネットで詳しい人に聞いたりして、頭に入れたやり方をプライベートで実践している。実際、そういうことを退勤後に自宅でしていると話をしております。そのうちの一人によると、一部の専門学校の社会人向けコースが受け皿にはなっているようです。その中から、単位を取得して、専門職大学院の情報技術に当たる分野のマスター相当の資格取得をする人もいるようです…。

 

こういったことは、私が入り込もうとしているwebライターや、エディターの人たちも同じなんじゃないでしょうか。もっと、ハッキリ言いましょう。「●●大学さん、公共交通のセンター付近に、サテライトキャンパスがあるなら、そこで、webライターや、エディター向けの継続した口座を開いて!」と。大学の職員は研究分野特化でしたが、経験があるので、昼間は雇って下さい!という一文も加えておきましょう。

 

 2-4.減っていくけど、夜間部は変わっていく

 18歳人口の減少で、昼間の大学に入りやすくなったことも夜間部の縮小に拍車をかけている。国立の滋賀大学(滋賀県彦根市)経済学部は、今年度の夜間の入学者からフレックス制を導入した。学費は一部半額(入学金が14万1千円、授業料が26万7900円)と魅力だが、

 

「志願者数は横ばいだ。第1希望で志願する学生が少なく、定着率が悪い。昼間部で学びたい学生が多く、フレックス制に切り替えた」(入試課の担当者)

 

 昨年度は46人が入試に合格したが、実際に入学したのは17人だったという。

志願者急増も!「夜間大学」という可能性 昼間は大学の正職員として稼げるケースも (2/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

東洋大や電大の新しい取り組み以外の、これまでの大学の夜間部では、例えば滋賀大学の夜間部の志願者のように、昼間部で学びたい学生が多いとのこと。

 

今回、オンライン記事で紹介された先の2つの大学の夜間部には、やはり新しい別のメリットができたようです。

就活に強い夜間

 ただ、大学夜間部を取り巻く環境が変わるなか、夜間部の魅力は薄れていない。その最たるものが学費の安さだ。国公立の夜間部は昼間部の半額と設定している大学が多く、私立も昼間部より安く設定されている(下の表参照)。東京電機大の場合は昼間部の約半分だが、夜間部の魅力は安さだけではない。同大電気電子工学科4年の九澤渉さん(23)は、こう話す。

 

「クラスには大手企業で働く社会人もいる。働く現場の話を生で聞けることも魅力です。昼間は時給のいいバイトが見つかりにくいというデメリットもありますが、教授も授業内容も昼間と同じ。4年で卒業もできる」

志願者急増も!「夜間大学」という可能性 昼間は大学の正職員として稼げるケースも (2/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

学費の安さは、とにかく有り難いです!有り難いです!勉強や研究用の本や道具に、お金を回せる余裕が生まれる、といったよさがあります。さらに、利点としては、様々な企業で働く方と知り合えて、例えば就活の時にOB訪問のアポイントメントを取りやすい、といったことがあるでしょう。

 

ちなみに、逆パターンの「社会人の方が研究を仕事に取り入れられそうだった」パターンなら、あります。私の行っていた大学院の場合は、夜間部はありませんでしたが、ゼミに来ていた学生に社会人の方がいらっしゃため、夕方のコマにゼミをしていたことがありました。カフェの店長が室内やイベント演出で、いろいろとが芸術工学を学びに来ていました。仲見が博士院生の時、幕末の国学者の住んでいた部屋の復元にプラスして、飲み物や食べていたものを再現しようという計画が持ち上がりました。結果、店長さんの店舗のお座敷を貸切って、鴨や鹿の肉を焼いたり、珍しい薬味を切ったり、「文理総合系の研究の実践とは、こういうことなのか?」と首をかしげながら、ウワバミの先輩方に囲まれて考えていました。

やり方次第では、「幕末国学者フルコース」という、特別メニューが誕生していたかもしれません。

 

オンライン記事に踊りましょう。次は千葉県の聖徳大学のお話です。

 保育士、幼稚園教諭の採用数で国内トップを走る聖徳大学(千葉県松戸市)は、短大部、系列の専門学校にも夜間部を持ち、保育士資格と幼稚園教諭免許を卒業と同時に取得できる。

 

 大学の児童学部の夜間主コースでは、卒業に必要な単位の半分を夜間に履修すれば、残りの単位は昼間に取得することも可能だ。同大児童心理コース4年の菅野純花さん(22)は夜間主コースの魅力を、こう話した。

 

「夜は働きながら勉強しに来ている人が大半なので、何となく授業を聞いている人はいない。学生数も少ないから、先生との距離も近い。社会人の方から、現場の話も聞ける」

志願者急増も!「夜間大学」という可能性 昼間は大学の正職員として稼げるケースも (2/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)) 

「大学の児童学部の夜間主コースでは、卒業に必要な単位の半分を夜間に履修すれば、残りの単位は昼間に取得することも可能」というカリキュラムの造り方は、非常に高い柔軟性ですね。たしか、聖徳大学は他の大学とも提携をしていたはず。ただし、複数の大学をまたいで図書館司書の資格を取得した経験ある私は、聖徳大学の受講生は単位取得証明証の発行が複雑になりそうで、混乱しそう…。

 

 2-4.小結

 今回の取材で記者は夜間部に通う6人の学生に話を聞いたが、夜間部の魅力に全員が「学生の向学心の強さ」を挙げた。


 冒頭の野中さんは14年、新たな入試制度の1期生として東洋大国際学部国際地域学科のイブニングコースに入学した。現在は4年生で就活を終え、ホテル業界など10社を受け、そのうち7社から内定を受けた。

 

「就活中、夜間部の学生であることは、自分から積極的に話しました。昼間に働いてきた経験は、面接でも受けが良かった。夜間だからと差別されることはなく、むしろプラスになっている印象を受けました」

 

 そして、こう続けた。

 

「夜間部の存在を知らなければ学びを断念していた。今、かつての自分と同じ境遇にある高校生には、諦めず、こうした場があることを知ってほしい」

 

 ある夜間大学の関係者は「夜間部は大学の負担が大きく、もうからない」と本音を漏らすが、野中さんのような学生を救っているのも事実だ。奨学金の返還が社会問題化するなか、大学夜間部の明かりに希望が見えてくる。

(編集部・澤田晃宏)

AERA 2017年8月28日号

志願者急増も!「夜間大学」という可能性 昼間は大学の正職員として稼げるケースも (2/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)) 

 

新たな夜間部に入ってくる学生の向学心については、東洋大の新たな入試制度「『独立自活』支援推薦入試」、東京電機大学の「はたらく学生入試」の制度では、「どうしても、大学に入ってしっかり勉強して、就職する!」という強い意志で受験してくる人が多くなりがちで、向学心は高いでしょう。そのあたりは、先の国立の滋賀大学のように、夜間部の志願者は第一志望ではなかった、という学生が多い従来の夜間部とは大きく異なることが窺えます。

 

 

 3.今回の「新たな夜間部の試み」の長所と短所~むすびにかえて~

以上、AERA dot.のオンライン記事を取り上げて、大学の「新たな夜間部の試み」を紹介致しました。大学生と大学院生の学業や研究業の経済的な問題については、東洋大と電大の場合、日中は大学が勤務場所となり、長時間労を避けることが予め学生側にも分かっており、経済的にも体力的にも安心して学びたい学生たちには、向学心が増して、大いに勉学が進むでしょう。できれば、大学院生にも試みを拡大してほしいですね。

 

こうした「新たな夜間部の試み」の短所は、昼間の大学での仕事が学生の適正に合っていなかったり、「何とかできる」レベルでなかったりした場合、代替できる業務を大学側が準備できるか、といった問題が出てくると考えらえます。加えて、根本的な問題として、心身の健康問題が挙げられます。ある時、かつて新聞奨学生だった会社員の方が、新聞配達を毎朝、行ってから日中の大学へ行き、授業を受けるのは、心身の両面で日所委にハードだった、ということをTwitterで連投されていたことがありました。

東洋大や電大の「新たな夜間部」コースで、学生に精神力があっても、身体が体力的についていけなくなって、大学での業務で倒れてしまって、入院も余儀なくされた場合、その学生に給付される奨学金はストップされるのでしょうか。どちらも私立大学なので、休学中は休学費用がかかる可能性も無視できません。そういった健康不調にともなう「退場」する場合のガイドラインも、両大学は準備して公開しておいたほうが、受験生には親切でしょう。

 

もうひとつの短所は、就職のために大学へ行く学生、もしくは、入学後に「何とかできそう」だと思っていた学生の場合、在学中に向学心を失ってしまったら、働いている大学の職場、それから「新たなん夜間部」のコースの経済的支援といった制度との折り合いを付けていく方法を見つけなければならないところです。給付されていた奨学金はストップ、あるいは返済しなければならないのか。大学の職場をやめた後、大学に在籍し続けたら、元同僚が学内にいるわけで、大学に通いにくくはならないのか。といった人間関係の問題も発生してくるでしょう。極端な話、やる気のある学生と、そうでない学生とモチベーションが二極化していく可能性もあります。

 

また、電大の社会人向けの「実践知重点課程」新設をはじめ、大学に社会人学生が増えていくことは、私としては、大いに賛同したいところです。現段階で気をつけておかなければならないのは、やはり大学生の主流は、18~22歳の若年世代、大学院生は23~30代だと認識しておいたほうがいことです。それは、学部生、院生だけでなく、大学教員側も同じであり、極端な話、自分と同年齢か、年上の学生をゼミで指導する心の準備が必要なことが将来的に出てくるでしょう。

 

「新たな夜間部」には様々な可能性がありますが、やる気があって向学心の高い受験生には、非常に適した制度ではないかと、私は期待しております。おしまい。

 

 

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