仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

山形大の2017年10月の男子学生2人に起きた「飛び降り死亡」と「自殺再発防止」の取り組み

<本記事の内容>

1.はじめに

Twitterや他のSNSで流れてきて、ずっと、心の底で気になっていたことがあります。先月の山形大学の男子学生2人の「飛び降り死亡」、そして大学が発表した学生の自殺再発防止の方針に対するニュース、です。

 

山形大と言えば、今から1年前、工学部の男性助教による様々な行為によって、男子学生が自殺し、その助教の行為がアカハラ認定された経緯、その後、遺族と大学側とで裁判になっていること、および大学公式ホームページで公開されているハラスメントのガイドラインに沿って男子学生が助教から受けていた行為が「ハラスメントに当たるか、否か」といった調査組織の立ち上げと調査および結果報告までのプロセスまで、次の記事で詳しく書きました:

naka3-3dsuki.hatenablog.com

naka3-3dsuki.hatenablog.com

 

その後、冒頭に書いたように、男子学生が今年の初めと下旬に、自ら亡くなったのではないか、というニュースをキャッチしました:

www.sankei.com

この「相次ぐ飛び降り」というタイトルには、先の山形大学の工学部男子学生が亡くなり、裁判になっているため、マスコミが大学生に関する事案に対して、Twitter上では敏感になっているのでは?という指摘をする方を何名か見かけました。確かにそのとおりだと思いますが、それ以上に私は、山形大学がマスコミの取材に応じたところに対し、学生の死亡した事実を、可能な限り、今は公に発信しようとしている姿勢を感じています。

 

そして、山形大学は、事実が事実であり、学生たちの「飛び降り死亡」を非常に重く受け止め、現在の大学の状況を変えようと、改めて動き出した部分もあるのではないのか、ということです。実際、山形大は 「自殺再発防止」の方針を新たに発表したとするニュースが出ています:

「山形大 自殺再発防止へ指針作成/山形」(毎日新聞2017年11月5日)

 

今回は、まず、先月の男子学生の「飛び降り死亡」の報道を読んでこれらの「事件」を詳しく知り、その後、大学が発表した「自殺再発防止」の方針のニュースを紹介致します。

 

f:id:nakami_midsuki:20171112193630j:plain

 

 

2.「山形大学で飛び降り相次ぐ 今月、学生2人死亡」(産経ニュース)を読む

ここでは、産経ニュースのオンライン版を取り上げます。

 

2017.10.25 22:33

山形大学で飛び降り相次ぐ 今月、学生2人死亡

 山形大(山形市)で4日と24日、男子学生2人が相次いで校舎から飛び降りて死亡したことが25日、分かった。山形署は自殺の可能性があるとみて調べている。

 

 同大によると、4日朝、理学部の20代学生がキャンパス内で倒れているのが見つかった。24日正午ごろにも、人文社会科学部の20代学生がキャンパスで倒れているのが発見された。いずれも病院に搬送され、死亡が確認された。

山形大学で飛び降り相次ぐ 今月、学生2人死亡 - 産経ニュース

 一人は先月の4日に理学部の20代学生、もう一人は同じ月の24日正午ごろ倒れているところを発見された人文社会科学部の20代の学生。いずれも、校舎から飛び降り、亡くなったとみられている、とのこと。山形署は、自殺の可能性を示唆しています。

 

亡くなった学生2人は、キャンパス内で倒れているところを発見され、病院に運ばれて死亡が確認されたということですから、亡くなってから時間がしばらく経っての発見だと思われます…。私にはお二人が、どうか、亡くなった後、せめて安らかであってほしいと願うばかりです。

 

ニュースの続きを読むと、先の拙記事で扱ったアカハラ自殺の報道で名前が出ていた、小山清人学長が自殺防止の動きに出たことが伝えられています。

 同大は小山清人学長を本部長とする総合対策本部を設置し、自殺防止の対策を検討する。

 

 同大では、平成27年11月に工学部(山形県米沢市)の4年の男子学生が同市内の公園で首をつって自殺した。遺族が男性助教による「アカデミック・ハラスメントがあった」として、大学と助教に損害賠償を求める訴訟を山形地裁に起こしている。

山形大学で飛び降り相次ぐ 今月、学生2人死亡 - 産経ニュース

ネット上では、山形大の内部が大学教員から職員、学生まで、混乱状態にあるらしいことや、実際にその大学にご勤務の先生方が対応に腐心されていることを聞いていました。 そのような状況が継続していた中、「小山清人学長を本部長とする総合対策本部を設置し、自殺防止の対策を検討する」ということで、具体的に自殺の再発防止に対する方針、具体的な方法に大学側が取り組むことを発表しました。同大学の関係者の方々には、少し、対策が一歩先へ進んだと、気持ちが少しでも落ち着いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

 

3.「山形大 自殺再発防止へ指針作成/山形」(毎日新聞)に見る具体的な防止対策~それと学生には問診を実施(産経ニュース)~

さて、同大学の総合対策本部は、自殺防止の対策について、まず、どのようなことを発表したのでしょうか。毎日新聞のオンライン版を見てみましょう。

 

山形大 自殺再発防止へ指針作成 /山形

毎日新聞2017年11月5日 地方版

 

山形大の男子学生2人が相次いで自殺したとみられる問題を受け、同大は、再発防止のためのガイドラインを作成し、各学部長宛てに送付した。全教員にも伝達するという。学生に対してはアンケートを実施する方向。

 

 A4判2ページの冊子にまとめた。「日本学生相談学会」(東京都)が定める「学生の自殺防止のためのガイドライン」を一部引用。研究室や授業における学生への接し方などを解説した。同大は10月24日に総合対策本部(本部長・小山清人学長)も設置している。【二村祐士朗】

  

(「山形大 自殺再発防止へ指針作成/山形」(毎日新聞2017年11月5日))

オンライン版の記事自体は短いものの、コンパクトに自殺再発防止の動きがまとめられています。

  • 自殺防止ガイドラインは、「「日本学生相談学会」(東京都)が定める「学生の自殺防止のためのガイドライン」を一部引用。研究室や授業における学生への接し方などを解説した」もので、A4判2ページの冊子としてまとめた
  •  そのガイドラインを作成し、各学部長宛てに送付
  • ガイドラインについては、全教員にも伝達
  • 「学生に対してはアンケートを実施する方向」

方針としては、「教育指導する側には自殺防止のガイドライン作成→各学部長に送付するとともに、大学教員全員にも伝えて、防止に努める」方向と、「学生にアンケートを実施することで、教育指導を受ける側の状態把握に努める」方向をとっていると思われます。まずは、教える側には、心身が弱っていたり、悩みを抱えたりしている学生を見つけた時にすべきことを伝え、教わる側については、一刻も早く心身の状態を把握したいという、思いがアンケートの実施方向に窺えます。

 

後者の学生に対するアンケート実施については、別の産経ニュースのオンライン版を読むと、今月の頭に学部生、院生等に問診を実施したことが分かっています。

 

2017.11.2 19:04

学生の飛び降り死亡が相次いだ山形大学、全学生の問診を開始

 学内で10月、相次いで学生2人が飛び降りて死亡した山形大学は2日、留学生も含めた同大のすべての学生と大学院生8816人を対象にした問診を始めたことを明らかにした。

 

 同大小白川キャンパス(山形市)では10月4日と24日、男子学生2人が校舎から飛び降りて死亡。同大は「学生の死亡事故」(小山清人学長)としているが、10月24日に総合対策本部(本部長・小山学長)を設置、再発防止に取り組むことを決めていた。

 

 問診では学生の相談を受けているアドバイザー教員らに、「学生の事故防止のためのガイドライン」を配布。悩みを抱える学生の早期発見を目指す。

学生の飛び降り死亡が相次いだ山形大学、全学生の問診を開始 - 産経ニュース

11月2日、山形大学は「留学生も含めた同大のすべての学生と大学院生8816人を対象にした問診を始め」ています。本当に、学生たち全員の健康やメンタルヘルスの状態を可能な限り、早急に把握しておきたい、という総合対策本部の意図が見えます。私としても、迅速で的確な時期に問診を行ったと感じております。

 

合わせて、「学生の相談を受けているアドバイザー教員らに、「学生の事故防止のためのガイドライン」を配布。悩みを抱える学生の早期発見を目指す。」という点については、アドバイザーは大学教員とは別にカウンセラーや養護教員的な職員を設置したほうがよいと思いました。そのほうが、学生側も相談しやすいでしょうに、これ以上、多忙な大学教員に仕事を増やしたら、先生方の心身の健康が心配です…。

 

 また、校舎の3階以上の窓は開閉を制限、飛び降りを防ぐようにし、学生専用ホームページには、相談を呼びかける小山学長のメッセージを掲載した。

 

 同大では平成27年に工学部(山形県米沢市)の男子学生が公園で首をつって自殺。遺族が「アカデミック・ハラスメントがあった」として、大学などに損害賠償を求める訴えを起こしている。

 (学生の飛び降り死亡が相次いだ山形大学、全学生の問診を開始 - 産経ニュース

物理的な対策では、「校舎の3階以上の窓は開閉を制限、飛び降りを防ぐように」したとのこと。ある程度の効果は、あるとは思います。ですが、先のアカハラ認定された工学部の男子学生は、キャンパスのある米沢市内の「公園で首をつって自殺」しており、また、私が院生時代にいた大学院の部局では、トイレの個室でゴミ袋をかぶって窒息自殺をした院生がいたと聞きますから、切羽詰まった心身の状態の人は、どんな手段でも使って、命を絶ってしまう可能性はあり、校舎の窓の強力な施錠や道具の取り上げ等での物理的な対策には、限界があるでしょう。

 

どの程度、抑止力があるかは不明ですが、学生に問診を行ってメンタルヘルスの状態を把握し、また「学生専用ホームページには、相談を呼びかける小山学長のメッセージを掲載」するといった、精神的に訴える方法と、物理的な対策を組み合わせることが、今は同大学ができることではないのではないでしょうか?

 

 

4.最後に

調べた限りの山形大学の自殺再発防止の取り組みを知って、指揮する学長、現場で動いていらっしゃる先生方、問診を受けながら動揺しているであろう学生たち、どの立場の人たちも、大きなストレスを抱え、お疲れの状態ではないかと、私は心配しております。 季節の変わり目ですから、どうか体調を崩されないよう、お祈りしております。

 

もし、余裕のある方がいらっしゃいましたら、次の本を読んで頂き、「自ら逝ってしまいそうになっているほど、「病んでしまった」人を見つけるサインを示し」ている人を判断する参考になさって下さい。

 

 

単行本の紙書籍は、2002年に出版されています。ある意味、衝撃的なタイトルもさながら、真っ赤な表紙が書店で目を引くデザインですが、内容は統計や実例の詳細な調査データををもとに、「逝き方」によって様々な方面にどのくらいの損害賠償請求が行くとか、保険金額はいくらになるとか、具体的な「コスト」の算出に基づく、ノンフィクションの作品です。

 

沢山の「逝き方」の実例がレポートされていると同時に、その中に出てくる「逝ってしまった人」、それから、逝こうとした人の心理状態、逝こうとしている時の健康状態や身体の症状など、丁寧に書かれています。つまり、「この人、最近、こんな行動をとったり、身体にこんな症状が出ていたりするから、休ませないとヤバいかも」というサインをキャッチする上で、参考になることが書かれてているとも言えるでしょう。

 (【2017.8.4_1315リンク切れ確認済み_報道】「山形大の学生が自殺、遺族が提訴 アカハラで処分、助教の研究室所属」(山形新聞)等について考えたこと - 仲見満月の研究室)

 

 おしまい。 

 

 

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