仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

ポスドクの悲喜こもごも「科学冒険《就職》ノンフィクション」~【読了メモ】『 #バッタを倒しにアフリカへ 』~

今年3月から足掛け3カ月、やっと読了した次の本:

 

のレビューをモーメントにまとめることができました↓

twitter.com

 

どういう内容なのかは、モーメントに入れたツイートより、もう一度。

バッタ研究者の日本人ポスドクが、実績づくりのため、やって来たアフリカのモーリタニアと、資金調達や憧れのファーブル宅への巡礼で渡仏、帰国して京大の白眉センターで職を得て、またモーリタニアへ渡る。リアルなフィールド屋のポスドクが「生き残り」を駆けた冒険記です。 

https://twitter.com/naka3_3dsuki/status/974159330361581568

 

「実績づくり」は何のためにするかというと、昆虫への情熱に取り憑かれ、更にバッタに食べられたい!という夢を叶えるため、と言えば、著者のヘンテコっぷりがお分かりいただけるでしょうか。その「ヘンテコっぷり」というのは、本書全体に流れているのですが、モーメントに入れたツイートにあるように、けっこう、抜け目ないというか、人脈を作りつつ、そのチャンスを逃さないような逞しいところは素晴らしいです↓

  1. 日照りでモーリタニアではバッタが見られない時期、研究対象を別の虫に切り替えて、論文執筆のために実験を計画・実行
  2. 干ばつ気味なモーリタニアのシーズンに、統計手法をフランスの知り合い研究者に学ぶため、フランス南部のモンペリエの研究機関へ向かう
  3. フランス滞在中、国際研究プロジェクトで資金調達をしてくる
  4. モーリタニアでの任期切れ後は、無収入をネタ&武器に、商業本の発売イベントやニコニコ動画関連のイベントやらで仕事に繋がる人と出会い、鍛えてもらいながら、京大の白眉センターで職をゲット
  5. 再びモーリタニアに行くと、バッタ大量発生の調査でバッタに出会う機会を逃さないため、別の研究班に現地ではごちそうのヤギを差し入れして、バッタ情報の早期入手の根回しをする

 

特に上記には挙げていませんが、ガクシンの海外特別研究員らしき(RPDでしたっけ?)制度を使って、モーリタニアに行った経緯が途中で出てきます。モーメントに入れたツイートにも書いているので、探してお読みいただけたらと思います。

 

さて、現地の習慣を知った著者は民族衣装をプレゼントされ、さっそうと着こなせるようになり(日本のテレビ番組にも着て登場したことがある)、上記リストの5のヤギを差し入れるほか、

 砂漠調査の途中で、モーリタニアの現地の習慣が分かって、面白い!民族誌みたいです。人文系の人にも面白いか!128ページあたりで、中国茶に砂糖たっぷり、仕上げにミント入れて、沸騰させるとか」

モーリタニアはフランス領だったこともあり、パンが抜群に美味い、という情報が上がりました。」

モーリタニアに戻って、冬。ムスリムが多いのに、調査隊にババ所長がクリスマスだから、とチキンを持ってきて、前野さんは食べる。ティジャニさんは新しく迎えた第二夫人をコックに、料理を作らせる。砂漠ではバッタが復活し始め、冬季の生態を日本人ポスドクは明らかにすべく、取り組むのでした。」

といった、ポスドクとして赴いた先のモーリタニアの文化的なことが分かって、文化人類学民俗学が専門の人も、楽しめると感じました。

 

それから、モーリタニアがフランス領だったという部分は、英語が通じる人が本当に少なくて、著者の前のさんの日常生活は、

運転手のティジャニさんとの会話が、フランス語や英語混じりになり、ボディランゲージに単語の連続で独特の文章を作って、日々の生活が成り立つのに、爆笑。あと、モーリタニアはフランス領だったので、英語を話せる人は貴重なようです…。」

とのこと。困ったことは、英語を介する現地のバッタ研究所のババ所長がいない時、前野さんが研究所スタッフに英語で研究発表をしたせいで、内容が聞きに来た人の4割程度には通じていなかったことでした。そういうことがあったのに、フランス語を磨こうとしていなかったと本人は書いていられますが、真相は私には不明です。

 

本書の魅力は、モーリタニア国立バッタ研究所のババ所長の著者に対するいたわり、励ましが本書全体にわたって、尽きないことです。受け入れ研究機関において、国内外どこでも、上司の人柄によって、やって来た研究者はモチベーションが大きく変化するのではないでしょうか。「人柄」には、ポスドクが研究できるように環境を整え、器具を低阿比するといった、配慮や気遣い、采配も本書では含まれていると思います。

上記の前半からして、私は著者は色々と逞しいと書いていますが、それだけでなく、ひょうきんであり、誠実で気前のいいところがあって、地道で真面目に研究に取り組んでいたことが窺えます。ババ所長に気に入られたのは、そのあたり、著者の魅力を感じました。

 

そのほか、フィールド研究者には、便利な技として自炊が大切だったり(秋田県出身で弘前大学に通っていた著者は、白木屋弘前駅前店の厨房で調理担当だった)、天候や災害次第を考慮して実験用に研究対象の生物を捕獲・飼育しておく必要性がひしひしと伝えられたり、実践で役立ちそうな話が満載です。

 

そうそう、就活で京大白眉センターに就職面接に行った時、著者はおしろいで眉毛をまだらに塗っていきますが、松本総長(当時)ほか、面接官たちにスルーされたことに、驚いていたようです。採用側はそういったことは日常茶飯事で慣れていて気がついてもスルー、あるいは慣れ過ぎて気がつかなかったのかは、謎です。

 

ツイートに書ききれず、ここで補足したいことは山ほどあります。ですが、まとめきれないため、このくらいにしておこうと思いました。最後に、「友人、両親への安否確認の意味も込め」たり、「アフリカ生活の模様を定期報告することにした」著者のブログへのリンクを貼って、終わりに致します:

d.hatena.ne.jp

何気にURLに"otokomaeno"で、ちょっと笑ってしまいました。

 

おしまい。

 

 

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