仲見満月の研究室

元人文系のなかみ博士が研究業界の問題を考えたり、本や映画のレビューをしたりするブログ

【ニュース】「<東北大雇い止め>対象者「研究現場に混乱」」(河北新報)

<指定国立大学の東北大に「雇い止め」反対!>

  • 1.はじめに
  • 2.「<東北大雇い止め>対象者「研究現場に混乱」」(河北新報)から分かる非正規職員の雇い止め状況
  • 3.最後に
  • 4.余談:研究室の秘書の方と結婚の話

1.はじめに

明日から、今年度の下半期が始まります。その前、上半期最後の月末に、私がTwitterで見かけ、どうしても取り上げざるを得なくなったニュースがありました。お届け致します:

www.kahoku.co.jp

 

このニュース記事で雇い止め対象とされるのは、東北大学で非正規ながら、実験や学会等で多忙な大学教員の予定管理や事務仕事を引き受ける、秘書職の方です。人文社会系の研究室では珍しいですが、特に、旧帝大系の理系部局の研究室では、大学側が公式サイト内やハローワークなどに求人票を出して、アルバイトとパートの職員形態の中間程度の形態で雇用することがあります。

 

秘書職の方々の任期は、3年前後。雇用期間が満期を迎えれば、また新しく契約更新を行うか、あるいは大学や研究室の財政や経営方針次第で契約更新がされなければ、秘書の方は失業。今回の東北大学のように、有期雇用で雇い止めのケースは、秘書職以外で雑務や実験指導の技術職員も含めて、解雇されることが問題となった大学は、東京大学京都大学も含まれています。 

 

東京大学については、以下のオンライン記事をご参照ください。

gendai.ismedia.jp

 

京都大学については、次の新書: 


アカデミア・サバイバル―「高学歴ワーキングプア」から抜け出す (中公新書ラクレ) 

 の「京大正門前にある日、”島”が作られた」(p.42~)に書かれた、2009年春ごろ、京都大学図書館に勤務していた男性二人の雇い止めに対するストライキ活動、「くびきりアイランド」の取材に経緯が詳しく書かれています。

 

いずれも、先日報道があった指定国立大学の話であり、今回はそのなかの一つ、東北大学の状況について、河北新報のニュースを読みながら、状況を把握していきます。

 

f:id:nakami_midsuki:20170930212236j:plain

続きを読む

【再読】物理系男子学部生が恋人に突然起こった事情に悩むも、決めた進路~島本理生『クローバー』~

<今回のレビュー内容>

  • 1.はじめに
  • 2.島本理生『クローバー』
    •  2-1.私が買った経緯とストーリーについて
      •   その1.登場人物について
      •   その2.中盤以降のストーリー
    •  2-2.仲見流『クローバー』の読み方
  • 3.最後に

1.はじめに

昨年1月に筆者のlovekoさんにご許可を頂き、紹介をさせて頂いたブログの記事がありました:

naka3-3dsuki.hatenablog.com

上記の記事は、公開から約9カ月が経過した現在、ほぼ注目記事のなかで首位、少なくとも第3位までをキープしているという、人気のランカ―記事といっていいと思います。また、弊ブログを開設してから、理系の男子院生との交際の仕方、結婚での実生活にに悩んでいらっしゃる方が多いのか、 ポツポツと、次の目次に入っている記事が注目ランキングの10位以内に入ってくることがありました:

naka3-3dsuki.hatenablog.com

 

それほどにまで、理系の男子院生や職業研究者との恋や実生活について、お知りになりたい方が多いということが分かりました。そのあたりの需要は、ひしと受け取っています。

 

それでは、フィクションではありますが、こんな物語の筋書き、読者の方の中には読みたいと思われる方々は、いらっしゃるでしょうか。

 

21歳前後の男女の理系学部生カップルがいて、少なくとも修士課程までは、別々か同じ大学院に通い、軽い気持ちではないけれど、お互い、結婚するかは分からない。それでも、男子学生が真剣にこの先の将来を彼女と共に歩みたいと、自分の進学先を探していた矢先、料理の腕で娘を育てていた彼女の父親が倒れ、入院。最悪、父親に半身不随に近い後遺症が残り、不自由な生活に介助が必要になる可能性があり、彼女は大学院の研究室での業務や研究に追われながら、後遺症と闘う父親の生活を支えなければならなくなったとしたら…。

 

この筋書きは、ある島本理生さんのとある小説の後半部分です。フィクションではありますが、私が学部生3年次のゼミの先輩に、この小説の彼女とご実家のお父上が同じ状況になった先輩がいらっしゃいました。その赤井先輩(仮名)は、卒業が決まっていたものの、卒業式の直前まで就職活動を続けていらっしゃり、進学を目指していた小説の彼女と立場は違います。
当時、赤井先輩に彼女がいらっしゃったかも分かりませんが、少なくとも、20代初めの就職か、進学かという時期、実際にご実家のご家族が病気で倒れて、要介護になるケースは、少なくないと私は考えています。卒業式の日、スーツ姿で現れた赤井先輩は、「何とか、OB訪問していたサークルの先輩の紹介で、実家から電車で15分以内の介護職員の派遣会社の正規事務員として、内定が出ました」と報告していらっしゃいました。卒業後、隣県の実家まで徒歩10分圏内、転勤のため、長兄夫婦から譲られた持ち家に引っ越し、会社と実家とその家を三角形のようにまわる生活を送っておられるようです。

 

もしもの時、パートナーの実家のご家族が倒れて、要介護や介助が必要になったら、自分は、自分の将来の夢を追うため大学院に通いながら、かつ疲れのたまりやすいパートナーの日常を支え続けることができるだろうか。今回、レビューする小説は、分野に関係なく、また学部の新卒で就職する人にも起こり得る出来事に対して、暫定的ながら、自分なりの進路を決めた物理系男子学部生が主人公の小説です。

 

クローバー (角川文庫)

続きを読む

けっこう「 #博士学生はどう生きる? 不安な将来向け書籍・雑誌続々」出ています( #朝日新聞 デジタル)

<今回の内容>

  • 1.はじめに
  • 2.「博士学生はどう生きる? 不安な将来向け書籍・雑誌続々」(朝日新聞デジタル)に見る博士院生に向けた雑誌や本など
    •  2-1.導入部
    •  2-2.『博士世界』の創刊
    •  2-3.書籍『博士になったらどう生きる?』(勉誠出版)の話
    •  2-4.10年ほど前から取り組んでいた「アカリク」
  • 3.最後に

1.はじめに

やっと、ここまで来たか~!というのが、次のニュースがTwitterで流れてきて、共有されたURLにアクセスして、抱いた気持ちです:

「博士学生はどう生きる? 不安な将来向け書籍・雑誌続々」(朝日新聞デジタル2017.9.24、リンク切れ確認済み)www.asahi.com

 

博士院生をどうやって生きるのか?という問いに答えるような雑誌『博士世界』、院生やポスドク向けの修書K情報やジョブマッチングのサイトを運営するアカリクといった、ドクターコースの院生の今と不安な将来について、情報発信したり、就職をサポートする企業が、一応、朝日新聞デジタルに取り上げらて、嬉しいです。

 

そういうわけで、今回は少しずつでも変わりゆく、博士院生の生き方を取り巻く情報や就職活動に関する朝日新聞のニュースをお伝えすることに致します。

 

f:id:nakami_midsuki:20170926193519j:plain

続きを読む
↓いいね!だったら、ポチッとお願いします。

にほんブログ村 大学生日記ブログ 博士課程大学院生へ
にほんブログ村