仲見満月の研究室

元人文系のなかみ博士が研究業界の問題を考えたり、本や映画のレビューをしたりするブログ

海外の大学院の話 その1~台湾の大学院の修士課程について~

<本記事の内容>

1.はじめに

先日、私の書いた諸々の大学院の記事に反応して、あるフォロワーさんがいらっしゃり、いろいろとお話をしました。貴重な機会だったので、うれしかったです。

 

脳みその記憶が新鮮なうちに、書き留めておこうと思います。

 

なお、お相手の方の分野が分からないので、返答した私が話の中で話題にした台湾の国立大学の文系、それから文理総合系分野の大学院のお話を中心に、書かせて頂きたいと思います。

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 (画像:国立台南大学 正門正面)

 

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2.台湾の修士課程は2年間では修了できない?!

先に身の回りの話をしておくと、私のいた大学院は台湾の大学と学術的交流が深く、台湾からの留学生を受け入れたり、日本人の教員が台湾の大学へ赴任したり、そういうことが頻繁にありました。

 

それで、見出しに書いている通り、台湾の大学院修士課程は2年間では修了できないんです。最初に聞いたのは、うちの大学院出身の日本人のK先生が、台湾の国立H大学の研究所付属の大学院に赴任された際のお話。K先生は、着任して早々、数人の院生を指導することになりました。私と同じ分野で、中国語ペラペラなので言葉の壁は問題ではなかった様子。何が大変だったのか?

 

それは台湾の大学院では修士論文にめちゃくちゃ力を入れて、執筆させること。書いているうちに分厚くなっていき、指導教員や周囲の先生方のオッケーが出ないと、審査にかけてもらえない。話には続きがあり、K先生の赴任先とは別の国立W大学、国立S大学からうちの院に留学してきた修士生によれば、なんと、修士論文修論)が重視されるのは、H大学だけじゃなかった!W大学でもS大学でも、修論はとっても分厚いんだそう(海外からやってきて本科生として入学してきた院生も同じ条件で書く)。

 

S大学の修論については、博士論文を書く際、私が最新の研究で読むことになり、確認済みで、中国語の漢字だけ、文字数にして2万字でA4用紙23枚(注釈・参考文献・謝辞等を含む)。日本語の論文に換算すると、漢字の間に平仮名が助詞・助動詞として入るので、3~4万字でA4で50枚くらいになると予想できます。そして、先日お話を伺ったフォロワーさんの大学院では中国語で最低4万字で、私の先の予想では日本語原稿にすると8万字でA4で100枚相当。

ちなみに、私が日本語で書いた博士論文がA4で100枚(注釈・参考文献・注釈含む)でした。つまり、単純に考えれば、フォロワーさんのいる台湾の大学院では、日本の博士論文と同程度の長さとボリュームが修士論文に求められるわけです(しかも、それが最低ラインの長さと文字数)。

 

いかに、台湾の大学院で修士論文のレベルが重視されているのか、書く原稿の量だけでもお分かりいただけるかと思います。しかも、厳しい指導教員に当たると、なかなか、修了(卒業)させてもらえず、苦しむ場合もあるんだそうです。

修士論文の最低文字数、内容のレベルなどは、大学院や院のくっ付いてる研究機関にもよるそう)

 

結果、先のH大学の修士生は3年かけて修了したそう。フォロワーさんは現在、修了に向けてご研究と修論の執筆に奮闘されていらっしゃるようです。

 

さらに博士課程に進む場合は、どうなるのか?私の周囲には、台湾の大学院で博士課程まで行った人はいないので、お話を聞くことができません。また、機会があれば、どこかで補足したいと思います。 

 

長くなるので、今回は一度、ここで話をきります。その2では、就職活動を取り上げる予定です。

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