仲見満月の研究室

元人文系のなかみ博士が研究業界の問題を考えたり、本や映画のレビューをしたりするブログ

令和の初めに倉下忠憲『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門』を読み始める

今週のお題「特大ゴールデンウィークSP」:10連休何してる?

 

改元後も増え続ける我がタスク>

1.はじめに~令和のご挨拶と「やること、いっぱい」の状況~

新しい年号になってから、初めての更新となります。

 

お陰さまで、来月中旬に、当ブログは3周年を迎えます。長くお付き合い下さいました皆さまに、感謝!!ということで、何か、記念企画をやろうかと考えました。
(うまく進行すれば、今月中から来月頭には、発表したい…)

 

引き続き、弊ブログ『仲見満月の研究室』をはじて、「分室」note.muや「資料庫(書庫)」、Twitterなど、よろしくお願い申し上げます。

 

そんな感じで、現在、3周年記念の企画に加えて、さらに、中国の戦国末期~三国時代くらいまでの特集を企て中。先月4月19日に公開された映画『キングダム』に加えて、ここ半年の間、FGOでは第2部では楚漢戦争の項羽と虞美人の登場や、三国は呉の司馬懿の疑似サーヴァント実装がありました。学部の授業で中国史をかじってた身としては、とてもウキウキし、色々と漫画や小説を読んでいます。

(メモがわりとして、記しておくぞ!)

 

こんな感じで、頭の中は、やりたいこと、いっぱい!でも、そんな気持ちに対して、不健康な心身は追いつけていません。生活でも問題が山積みで、それらを同時進行で進めたいと希望しているわけで、タスクをさばくのは大変なところ。やりたいこと・取り組むべき問題には、管理する知識やノウハウが必要だと考え、令和の初め、買っておいた次の本を手に取りました: 

「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門 (星海社新書)

「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門 (星海社新書)

 

 

表紙カバーを見た瞬間、長いタイトルと「やること地獄」の言葉に目を奪われました。より分かりやすい説明は、ないものか?本のキャッチコピーには、対象読者に向けたものが選ばれるもの。そこで、帯のキャッチコピーを見ると、「「自分のトリセツ」で人生の舵を取り戻そう!」とあります。黄色の帯に青い文字の組み合わせ、インパクが大きい!↓

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たくさんの「やること」に追われ、「身動きのあなた」とは、まさに私ではないか!ということで、本記事では、この連休に読み始めた『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門』のレビューを簡単に致します。

 

 

2.『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門』を読み始める~第3章までのレビュー~

 2-1.内容に関するコメント

まず、本書の「はじめに」は、現代人は仕事でもプライベートでも、やることが増え続け、 コントロールが難しくなってきている状態が指摘されています。それに対して、小中高や高専等の学校では、授業の内容や宿題、その準備などについて、児童や生徒は、年齢ごとに組まれたカリキュラムが設定され、発達段階に沿ったことを学び、行動すればよかった。学校は、やることをカリキュラムとして整理し、発達段階に合わせて学習内容を割り振りする、いわば、やることに対しては一種の「防護シェルター」でした。

 

「防護シェルター」の学校は振り返れば有り難かったものの、一方で、やることの上手な捌き方は教えてくれません。そのまま、社会に放り出された我々は、やることの捌き方を得なければタイトルにある「地獄」に呑まれてしまう――。本書では、やることをコントロールし、「地獄」を乗り切るためのヒントやツールが紹介されています。

 

「はじめに」の続きには、ジャンルを問わず、星海社新書でおなじみ、全体の内容構成を示した後、読者ごとに求める情報が異なることを前提として、「こういった人には、第●章から読んでくださいね」といった案内も見えました。著者の倉下さんは、注意事項として「取り上げているツールや方法は、合う・合わないがありますし、それほど即効性があるものではありません」といったことにも言及。うん、著者の誠実さですね。最後に、長いタイムスパンにおいて、本書で示したヒントは、やることを進めるために実行する行動≒タスクの管理がうまくいけば、人生において、「自分で物事を選択して生きていくこともできるのではないか?」と書かれていました。

 

さっそく、第1章で「タスク管理とは、何だろう?」という話が始まります。第1章の最初に出てくるタスク管理法は、「1枚レシート法」というもの。これは、著者の倉下さんがコンビニ勤務をされていた時、毎回、勤務時間の頭にホットスナックの在庫や、店内の衛生的な状態などをチェックしては、やるべき作業項目を挙げ、レシート裏にキーワードをメモしていた方法です。

 

「1枚レシート法」は、私のフォロワーさんも実践されている方法で、じっくり読んでいたところ、ある漫画を思い出しました。それは、コンビニお仕事漫画ともいえる『ニーチェ先生』↓

漫画は、あるコンビニ店員の松駒(原作者と同名)のもとに、新人アルバイトで仏教系学部の大学生・仁井智慧がやって来てたところから始まる作品。人を見る目があるけれど、ニーズに合った商品の仕入れができないオーナーをはじめ、個性あふれる他の店員を巻き込みつつ、コンビニを舞台に、「困ったお客さん」との間に起きたトラブルに、「さとり世代」の仁井が独特の言葉(それ故、渾名が「ニーチェ先生」になる)や対処法で解決していく四コマ形式のコメディ的なストーリーです。

 

ニーチェ先生』には、セルフコーヒーマシンの導入にともなう店員たちの苦悩や、支払い時の硬貨の素早い計算方法も出てきて、サービス業務が増え続けるコンビニの裏側を知れます。『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門』を読んでいた私は、倉下さんがフランクフルトのソーセージを補充をした下りで、『ニーチェ先生』の「おでん祭り」の時のギャグ展開に頭を占められることに…。おでんセールで大勢やって来たお客さんたちに対し、セール期間中、おでんで頭がいっぱいになる松駒氏に、ポケットマネーで店内のおでんを買い取ろうとするニーチェ先生の姿が浮かび、タスク管理入門の内容が仲見の脳から追い出されることになりました。

 

話が脱線しましたが、業務の多いコンビニ勤務を通じて、倉下さんが得たタスク管理の技術は、本書を執筆することにも生かされているとのこと。アルバイト勤務を経て、本書の著者は店長になってから、業務が人材管理や経営といった広い範囲に及んだことで、倉下さんは「1枚レシート法」が合わなくなったと述べ、別のタスク管理法の必要性に話を進めます。例えば、年間を通して、品物の仕入れを考える役職では、長期的なタスク管理をする方法が必要で。

 

引き続き、第2章へと読み進めるうち、印象的だったのは、タスク管理の必要な理由に、記憶の問題が挙がっていたことでした。たとえば、朝の10時に会議がある場合、朝の10時きっかりに思い出しては手遅れですし、会議に準備が必要であれば後の祭り。「つまり、記憶は、詳細な内容だけでなく、思い出すタイミングも大切なのです」(本書p.41)。

 

人間の記憶の不完全さには、次の段落の説明が的確で、納得できるものでした。

 人間の記憶が、パソコンのように一度記憶したら破損しない限りずっと同じ状態で保持されるならば、管理のような手間は必要ないのですが、実際はそんな風にはなっていません。むしろ、穴の空いた袋のようにポロポロ中身が溢れ落ちておくことが日常です。とは言え、本当にすべてのことを完璧に記憶していたら、多すぎる情報におしつぶされてしまうでしょうから、忘れてしまうこと自体は悪いことではありません。ただし、行動を生み出す、という点では不足が目につきます。

(本書p.41) 

 

脳が記憶を手放すようにできていることは、 ブックライターの上阪徹さんも『10倍速く書ける 超スピード文章術』で書かれていました*1。上阪さんの説明によると、本書の「本当にすべてのことを完璧に記憶していたら、多すぎる情報におしつぶされてしまうでしょうから、忘れてしまうこと自体は悪いことではありません」という説明は、脳が多くの過去の情報量に精神的な負担をかけないよう、忘れることが防衛的な機能であるんだとか。

 

記憶のほかにも、やる気持ちの出るタイミングや維持によって、人間は安定した出力で作業をこなし続けることはできません。そういた不完全さや不合理性を認めた上で、人間が作業を進めるには、倉下さんは、行動経済学的視点を取り入れたタスク管理の方法が有効になることがあると述べます(仲見の解釈)。

 

タスク管理の必要性が説明された後、第3章の「タスク管理の道具箱 基礎編」で、いよいよ、具体的な方法や技術の用語が登場してきます。第3章では、ビジネスの実用書やライフハック本に出てくる用語について、倉下さんなりに説明を整理して、本書における意味や範囲を解説されていました。タスク管理の用語といえば、自分の周りだとIT技術者の人たちが使っているイメージで、彼ら彼女らとの話で予定を合わせる時、「リマインダーって、何だ?」と思い、意味がよく分かっていなかった言葉もありました。ITまわりの人たちとの付き合いで、出てくる言葉の意味が曖昧だった人にとって、本書はプライベートでも勉強になるかと。

 

用語の1つ「カレンダー」のところでは、補足も含めて、デジタルカレンダーとアナログのカレンダーの説明やメリット・デメリットの話が出てきます。それぞれの違いを背説明した部分は、デジタルなGoogleカレンダーが合わず、紙のアナログ・カレンダーに戻った私にとって、「あるある!」と頷いてしましました。ここに引用します。

アナログのカレンダーは、それ自体がパッシブなリマインダーでもあります。普段パソコンを使わない人がデジタルカレンダーを使ってしまうと、そもそもカレンダーを見忘れる、という事態が生じてしまう点には注意が必要です。

(本書p.41)

そうそう、紙のカレンダーやスケジュール帳を使っていた人は、いつの間にか、カレンダーを見忘れるようになるんですよね。加えて、予定を書きこむ媒体が変わると、情報の引継ぎが億劫になってしまい、スケジュール管理自体をしなくなる可能性も、ここにコメントしときます。

 

以上、本書全体の1/3まで読んだレビューでした。

 

 2-2.装丁に関するコメント 

本書でインパクトがあったのは、『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門』 の長いメインタイトル。星海社新書の装丁を考えた場合、「サブタイトルなしで、長いメインタイトルだったら、背表紙に収まるんだろうか?」と気になりました。

 

カバーの背表紙を見ると、「「やること地獄」を終わらせる」までが一行目、「タスク管理「超」入門」までが二行目(画像の青い枠で囲んだ箇所)に来るデザインでした。本文が240ページ近く、本にある程度の厚みがあったから、メインタイトルを背表紙で二行にするデザインにしたのでしょうか。

 

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(画像:本書カバーの背表紙部分)

 

二行目の「タスク管理「超」入門」(画像の青い枠で囲んだ箇所)は、背表紙の左側に寄っており、カバーの表紙にも少し架かっている様子↓

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(画像:本書カバー表紙の上部分)

 

同じ星海社新書で、サブタイトルなしで、長いタイトルの本は背表紙がどうなっているのか?もう1冊、手元にあるこちらの本↓

 

井上純一さんの本の背表紙は、「今すぐ中国人と友達になり、恋人になり、」を二行に割った上(下の画像の赤い枠の箇所)で、続きの一行にまとめた「中国で人生を変える本」の上に置いたデザインでした↓ 

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(画像:井上純一さんの本のカバー背表紙部分)

 

井上さんの本は、140ページ弱の長さで薄いためか、背表紙は上記のような形になったのだと思われます。

 

同人誌を出している身として、今回は気になった本の装丁チェックをしてみました。本書は現時点で電子書籍が出ていないようで、デジタル版が出た場合、装丁がどうなるのかも気になるところです。ここらへん、星海社新書をはじめ、最近の各新書レーベルを比べてみても、面白いでしょう。

 

 

3.最後に

簡単ではありますが、本記事では、倉下忠憲さんの『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門』(星海社新書)の読み始めレビューでした。

 

現在、続きの第4章以降を読み進めていく予定で、時間の管理ではタイマーを使ったポモドーロテクニックや、バレットジャーナルなど、人気YouTuberや有名ブロガーの紹介するライフハックの中で耳にした項目がありました。自分に合うものが見つかったらいいな、と。読了しましたら、ここでレビューの続編を書くかもしれません(しないかもしれません)。

 

以上、令和に入って最初のレビュー記事でした。おしまい!

 

 

  

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*1:上阪さんの著書については、こちらで書評をしています:

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