仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

続・大学院は「隠れ発達障害者の沼」だった 発達障害と研究者の不思議な関係~その先へ行くための対策と本紹介~

<今回の内容>

1.はじめに

昨夜、投稿論文のリライト作業でドキュメントファイルの文字数を数えていたら、Twitterの通知で、メンヘラ.jpさんのほうに次の記事をご掲載頂いたことが分かりました: 

menhera.jp

 

院生時代の所属先の研究室を含め、診断は受けていないけれど、いろんな方向に発達障害の傾向を持っていた方々がいて、そこで過ごした日々の思い出や、苦い体験を書いております。本ブログで、いろいろと書いてきたことをまとめた形の内容にしました。

 

今回は、その中で、最も伝えたかった最後の「4.「隠れ発達障害者の沼」での生活を振り返ってみて」の一部を取り上げて、自覚ある発達障害傾向の人たちと「隠れ発達障害っぽい人たち」、それから定型の人たちが日常生活の中で、互いにどのように接していったら、上の記事に補足する形で本を紹介させて頂きます。

 

f:id:nakami_midsuki:20170623111241p:plain 

 

 

2.「大学院は「隠れ発達障害者の沼」だった」のまとめ一部を再掲とその課題をどうしていくか?

 

4.「隠れ発達障害者の沼」での生活を振り返ってみて

 

ここまで、ダラダラとした私の「沼」の日々にお付き合い下さり、ありがとうございました。

 

大学院と言う「沼」の人たちに発達障害者や、「隠れ発障害」の人たちが多いことは、研究や仕事でお互いに助け合えるメリットもあります。

 

けれど、正直に言うと、「沼」にそういった人たちが集まり、発達障害の傾向の人の母数が多くなるということは、Y先輩のように優秀な人がおのずと目立ってきます。そういった目立つ人たちに対して、私のように劣等感を抱く人が出くるでしょう。

 

また、五感覚の捉え方の違いや、私のような「構音障害」といったものを、己の人生経験上で困らなかったからといって「障害じゃないでしょうに」と認識している人たちが多かったりして、大学院の中でも、「隠れ発達障害」の人たち、発達障害の傾向に困ってきた人たちと、様々な人たちがいるのです。

 

それから、テレビ番組の「発達障害者は優秀な人である」という演出に対しては、冒頭でお伝えしたように、東大や京大をはじめ、大学・大学院の「隠れ発達障害の人たちの沼」があると思われ、Y先輩みたいな実例もあって、まったくの嘘でもないです。

 

しかし、そこに発達障害の傾向を持つ人が大勢集まると、上に書いたように、いいこともあれば、苦しむ人が出てくることもあるでしょう。それほど優秀ではない自覚のある人も大勢いるわけで、中には自己否定苦しむ人もいると思われます。

 

また、私のように発達障害の傾向を持っていることに自覚的なタイプには、特性を一種の「障害」だと理解して、配慮してほしいと強く周囲に求めがちだった人がいて、「隠れ発達障害」の人たちのほうは付き合いづらくて距離を置かざるを得なかった。あるいは、「隠れ発達障害」の人たち個々人で、苦しみはあるかもしれません。

 

実は、今回、書いている以外にも思い出せないことがありますが、その中に研究作業や雑務を進めるためにとるコミュニケーションの齟齬がありました。

 

チーム作業の時に上の人が下っ端のパフォーマンス低下を防ごうとする気持ちに気づかなかったということ以外に、研究の現場では様々な場面でコミュニケーションのすれ違いが発生していることでしょう。

 

その中には、大学教員のほうが「隠れ発達障害」の人であり、自分の言動が部下や学生たちにとって、脅威やストレスとなっていることに気がついていないケースがあると思われます。

 

あるいは、上の立場の人との意思疎通で、なぜかいつもイライラさせてしまうけれど、その原因が自分の言動のどこかにあるとは気づかない学生もいるかもしれません。

 

私の「構音障害」も入るでしょうけど、そういった意思疎通に関する「かみ合わなさ」や「すれ違い」が、実はアカデミック・ハラスメントと無関係ではないとここで指摘させて頂きます。

 

今後の課題としては、大学・大学院の研究現場では潜在化していた「隠れ発達障害」の人たちが社会に出たあと、その特性が顕在化して仕事上の問題が起きていくことが挙げられます。

 

発達障害やその傾向を持つ院生・院卒者や研究者の方々のなかには、就職後、チームで業務に当たる際、どうやってお互いに連携したらよいのか、という悩みをお持ちの人もいらっしゃるようで、タイムラインで見かけたことが複数回、ありました。

 

発達障害といっても、ASDADHD、ADD、LDなど、それぞれ純粋なタイプの人や混合型、また特性が人によって全く異なるというように、抱えている困難の形も様々だと思われます。

 

大学院は「隠れ発達障害者の沼」だった 発達障害と研究者の不思議な関係 – メンヘラ.jp) 

 

3.発達障害傾向を抱えた院生や研究者の課題をどうしていくか? 

メンヘラ.jpの最後に挙げた部分の問題を整理すると、

  1.  発達障害の傾向を持つ人が大勢集まると、それほど優秀ではない自覚のある人も大勢いるわけで、中には自己否定苦しむ人もいると思われること
  2. 私のように、特性を一種の「障害」だと理解して、配慮してほしいと強く周囲に求める人がいると、「隠れ発達障害」の人たちと人間関係上の溝ができてしまうこと
  3. 研究作業や雑務を進めるなかで、無意識のうちにお互い、とコミュニケーションで齟齬が出てきて、様々な場面でコミュニケーションのすれ違いが発生してしまい、時に言動が部下や学生たちにとって、脅威やストレスとなっていることに気がついていないケース、あるいは、上の立場の人との意思疎通で、なぜかいつもイライラさせてしまうけれど、その原因が自分の言動のどこかにあるとは気づかない学生もいるかもしれないそういった意思疎通に関する「かみ合わなさ」や「すれ違い」が、実はアカデミック・ハラスメントと無関係ではない可能性
  4. 大学・大学院の研究現場では潜在化していた「隠れ発達障害」の人たちが社会に出たあと、その特性が顕在化してきた場合、チームで業務に当たる際、どうやってお互いに連携したらよいのか、という問題

ざっと、上げると上記の4つになります。

 

実は、メンヘラ.jpの直接的な前身の記事として、次のものがあります。先月のNHKスペシャル発達障害に関する番組の感想と連動させて、より詳しく書いたものです。:

naka3-3dsuki.hatenablog.com

 

問題の1については、 

生きづらさを抱えながら、それでも暮らしていかないと、いけない。そういう時、何にも得意なものがなくて、どうしたらいいか、困ってしまう方もおられるでしょう。そういう時、私は「そこそこ、できるものや、ギリギリ回していけるものは、ありませんか?」と尋ねるようにしたいと考えています。何とかできそうなことを見つけて、自分ができないことは、それをできる人に預け、その人ができないものは自分が担当する。クオリティは低くて「ぐぬぬ」と感じつつ、お互いに、最低限のラインで生活や仕事を回していくのを目指す(のが、理想)という。

 

この「何とかできそうなことを見つけて」というのは、学校の非常勤講師の短い経験の中で、生徒一人一人の学力をアップさせようと、指導のなかで、気をつけたいと意識していたことでした。一人一人の生徒が持つできることと結びつけ、科目の理解力を上げてるには、どういった工夫をしたらよいのか、ずっと考えていたのです。

 

【2017.5.23_0135追記】発達障害と院生・院卒者や研究者についての私見~「東大生の4人に1人は「アスペルガー症候群」 元東大院生のツイートに現役も「マジだと思う」(J-CASTニュース)ほか~ - 仲見満月の研究室

という 考え方をしています。非常勤講師を始めて、一応、新社会人だった時に読んだ本には、上司に書類のチェックをお願いする時は、最初は100点満点中30~40点くらいを目指し、なるたけ、早くチェックをお願いすることが書かれていました。もっと大きな齟齬や問題が出てくる前に、自分のできる最低限の力でやってみることが大切だと思いました。その後、直す場所を指摘されたら、直していき、ちょっとずつでも達成感を上げられたら、いいと思います。

 

2の問題は、私自身が理解を求めるのを諦めようとしています。旧指導教員に「構音障害」の件を話しても、「気にしすぎなさんな」の一言で終わりだったので、こっちから「理解してください!」というのは、感覚的に分からない人たちにとっては、暴力に近い言動でしかないでしょう。暴力使って、人間関係が壊れてしまうことほど、嫌なことはありません。

代わりに、せめて聞き取ってもらいやすいよう、私は発声の仕方を認識して、矯正するべく、ツイキャスで朗読を始めました:

naka3-3dsuki.hatenablog.com

あとは、こっちで思い入れを話している『村田エッフェンディ滞土録』の音読シリーズのほうが、魯迅作品より聞き取りやすくなっているかと:

twitcasting.tv

  

 

 

3・4に関しては、とにかくコミュニケーションの齟齬、それから「自分って、ひょっとして周囲が引いてしまうような言動をしているかな」とか、「部下の仕事のやり方は、どうも他の新人と違う」と感じた時点で、少し立ち止まって、原因を推測してみましょう。

 

で、察知した上で、ここからはライターのシンディさんに相談して、教えて頂いたことですが、発達障害について書かれた本を読んで、対処法を考え、実践してみたらよいのでは?ということでした。

 

発達障害に関するもので、これまで家族が私の生きづらさ解消のため、薦めてくれた本をピックアップします。

 

アスペルガー症候群ADHDを中心に、知っておきたい知識から、各シーンごとの具体例、その解決法まで詳しく解説されている本です。ADHDの「長期プロジェクトをうまくこなせない」といった点は、私にも当てはまります。また、家庭をもっている人の場合、夫婦間や子育てにおいて困った時の事例が出ていました。

表紙からするとイメージしにくいですが、シーン別のマンガやイラストの絵柄が可愛らしく、とっつきやすいです。成人していて、院生やポスドクとして研究現場に出たり、働き出したりしている人は、まずはこの本を入口にしてはいかがでしょうか?

巻末には、発達障害の治療や就労支援制度の解説がまとめられています。

 

:著者は、育児をしていて、自分の子が「発達障害では?」と気づいた思った親御さんで、主に友達、恋愛、職場での人間関係、夫婦関係といった日常生活を中心に、発達障害の方々を取材して経験談を漫画として紹介したり、彼らを支援する様々な団体を取材してサポート制度を開設したりした、レポートエッセイです。

現在進行形で、研究室で人間関係に悩んだり、職場でコミュニケーションがとれなかったり、といったことに気づいた人で、長い文章を読むのが辛い場合は、気軽に読めそうなところをパラパラ捲って探して、本書の内容に入っていくのもよいと思います。

 

以上、2冊は発達障害の傾向の自覚がある人と、それに気がついた周りの人の入門書としての位置づけでした。

 

ここからは、実際に就活や就職してから、どっやって内定を取ったり、仕事を自分のやり方にカスタマイズしていくか、といった本の紹介です。

 

就活サイトほか、どういったSNSを使ったらいいのか、学部生にはないけど院生なら使える名刺の効果的な使い方、メール送信の気をつけるべきポイント等、院生に特化した就活マニュアル。学部生の就活とは違った意味で、言語化されづらい情報についても、まとまっており、視覚情報や文字情報に強い特性の人には、役立つでしょう。

 

最近、改定新版が出されてそうです。キャッチ次第、また読んで報告できたらと思っております:

 

 

加えて、 働きだした人が薦めてくれた本は、こちら: 

ついでに、院生時代の同期(ADHDとの混合タイプ)が就職後、仕事のスキルアップで読んでいた本:

 

 

を紹介し、「プログラマの技術もアップするけれど、私たち発達障害の人たちが生きる上でも役に立つノウハウがあるよ。特に、仲見は就活の書類の書き方に関するところを読むといいぞ」と、就活中だった私に薦めてくれました。借りて読んだところ、確かに役に立ちそうな生き方の知恵が沢山載っていました。

【2017.5.23_0135追記】発達障害と院生・院卒者や研究者についての私見~「東大生の4人に1人は「アスペルガー症候群」 元東大院生のツイートに現役も「マジだと思う」(J-CASTニュース)ほか~ - 仲見満月の研究室

パラパラ読んでみて、243ページの「ルーチンを持つことの重要性」は、細かいスケジューリングの立て方や実際の一日の予定表等も載っていて、短期目標を設定しないと仕事が進まない私には、とても有益だと感じました。

 

 

4.まとめ

 以上、メンヘラ.jp掲載の拙記事の大学院は「隠れ発達障害者の沼」だった 発達障害と研究者の不思議な関係 – メンヘラ.jpから、更に一歩踏み込む形で、問題の対策とそのヒントを得るのによさそうな本を紹介しました。

 

紹介した本には、未読の本がワラワラあるので、また読み終わったら、今度はなかみ・みづきの灰だらけ資料庫(書庫)のほうで、レビューしたいと考えております。

 

ここで、今回の記事はおしまいです。

 

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