仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系のなかみ博士が研究業界の問題などを幅広く考えるブログ

児童書で読む神話や伝説の「物語」~加藤綾子/Tobi『ギリシア神話 知っておきたい!神様たちの物語』(角川つばさ文庫)~

本日はハロウィンで、そのあたりの歴史や文化の話を書きたかったところ、執筆管理人のほうでいろいろとあって、今までのブログ記事のような「組立式の長文」が書けません。何があったのかということは、「長文が書けない近況、それとTwitterに関するお知らせ」のほうの記事をご覧ください。

 

PCを打つ手は止まりやすく、こみ入った話の構成の本は読みにくい状況が続いています。それでも何か読み、書きたいと思い至りました。今まで、児童向けの教育番組、アニメを見ていた経験から、今回は児童書で読書とブログ執筆の「リハビリ」をしてみようと思い立ちました。

 

せっかくなら、人文系の復習になり、新しいことも知りたい本がいい!ということで、古代ギリシャの本を手に取りました↓

 

文章担当の加藤綾子さんは、巻末にある一般向けのギリシア神話や、地図や写真の世界史の参考書といった本をもとに、本書のターゲットとする小学校3~4年生以上に向けて、ギリシア神話の物語を構成しています。本書のプロフィールによれば、加藤さんは、児童向けアニメの脚本、絵本の執筆を仕事にされている方の様子。

目次を見ると「はじまりの章」にギリシア神話の中心となる「オリンポ十二神」、「神々の誕生」から、基礎的な語りを始める形で導入部を置き、初めてギリシア神話に触れる人には、すっと馴染める章立てに書かれていました。

 

ちなみに、日本における「ギリシア」と「ギリシャ」の違いについては、前者が人文系の学術的な表記で、後者が一般的な用法の場合の表記という違いがあると聞いたことがあります。神話関係だと、人文系の学術的な表記であり、本書のタイトルは前者に従っていると思われます。

 

ギリシア神話といえば、オリンポス十二神を筆頭に、神々は各話を読むとその存在に比して、例えば

  • 神より格下の精霊や人間の女性が、「神霊よりも自分は美しい」と言うと、怒って罰を与える(エチオピアのカシオペイヤ王妃、一説に豊かな髪を自慢したメデューサの受けた罰)

と、非常に情緒的な基準で動いていることが、あちこちで窺えます。そもそも、トロイア戦争の発端になった原因では、三女神のなかで最も美しいのは誰か、決めるのを人間の青年一人にさせる決定も、「ゼウス様、それってどうなの?」とツッコミを入れたくなるものでした。神々、それからニンフたち精霊は、プライドが高く、心が傷つけられると、仕返しを願うことは少なくありません。

(こういう神霊の人間臭さは、何もギリシア神話に限らず、日本の『古事記』においても指摘されることはありますが)

 

それから、古代ギリシアの世界って、現在のギリシャ共和国より、概念的な範囲は広い感じです。南がいわゆる現在の「ギリシャ」に当たるバルカン半島って、小高い丘が多く、農業に向かないせいか、各ポリスの人々は、植民都市をあちこちに作っていました。地中海に船出し、東は小アジア半島の西岸、西はイタリア半島のあたりまで、北は黒海のほうまで。本書には出てきませんが、アルゴー号の冒険に登場するメディアの出身地は、コルキスであり、それは黒海沿岸にあるとされています。

 

そうそう、情緒的なものといえば、色恋にまつわる性的な話がギリシア神話には少なくありません*1。そのあたりは、本書が児童書ということで、プラトニックな意味での「好き・嫌い」、「やきもち」といったレベルの語彙に表現を変え、詳細を省いても話の展開が自然になるように、まとめられています。それに対して、使われている漢字語のレベルは、振り仮名はあるものの一般向けと変わらず、成人した人が読むに耐える内容です。(精神的に難しい本が読めず、色々と読む本が限られる今の私には、ちょうどよい内容でした)

 

印象的だったのが、巻末のオリオンに関する逸話。海神ポセイドンの息子で、巨人の狩人オリオンの死因には、複数の説があるのは知っていたのですが、その説を短いながら、きちんと話の筋が破綻しないよう、まとめられていて、分かりやすかったです。

 

また、巻末には、本書の舞台である古代ギリシアの地図や、オリンポス十二神を中心にした関係図が載っています。

 

挿絵は、スマホゲームや各種書籍のイラスト担当をされているTobiさん。表紙は、児童向けアニメの画風に寄り過ぎず、スマホゲームの色調でありながら、落ち着いた色合いで、手に取りやすかったです。主神で白髪長髪の長老風のゼウスは、ポセイドンとハデスとは、長髪という特徴があるほか、よく見ると、切れ長の瞳もあって兄弟神だと気がつく描き方がされていました。たくさん登場し、一部では、役割がかすってそうで、キャラクター造形の難易度が高そうな女神たちは、髪型と服装を細かく変えて描き分けられています。こういった工夫は、漫画家でも苦労されるといいますから、イラストレーターとしての巧さがうかがえました。

 

本全体としては、スマホゲームに親しんだ世代の読者であればこそ、ページをめくりたくなる工夫があちこちにされているのでは?と感じました。弊ブログではおなじみ『Fate/Grand Order』にもギリシア神話や、古代ギリシアから数々のサーヴァントが参戦していますが、そこで気になったキャラクターのエピソードを読むのも、よいかもしれません。ケイローンやアタランテなど、一部は登場しませんが、巻末の参考文献を本屋や図書館で探して、読まれると理解が深まると思います。

 

そろそろ、執筆できる現在の文字数の限界に達しました。2500文字に達していないんですけど、数時間かけての執筆は難しいようです。もう少し元気になったら、また、児童書を探して、読めそうなものがあれば、読んでレビューしてみたいと考えています。

 

 

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