仲見満月の研究室

元人文系のなかみ博士が研究業界の問題を考えたり、本や映画のレビューをしたりするブログ

【メモ】「相互貸借」とその周辺の図書館サービス~都道府県下公立図書館の横断検索や #レファレンス ほか~

<相互貸借やレファレンス・サービス、ご存知ですか?>

1.はじめに

ここ数日の出来事です。私は抱えていた原稿の一部の執筆を終え、図書館で借りていた図書資料を返却しに行こうとしていました。そのあたりの予定を同居人に聞かれ、次のように話しました。

 

仲見満月「近々、最寄りの公立図書館を通じて別の自治体立図書館から相互貸借しとる資料、返却しに行く予定やねん」


同居人「相互貸借って、何?」

 

首を傾げる同居人に対し、仲見が「相互貸借って有名じゃないの?」と驚いた顔をすると、その同居人は「知らんかった。それ何?」と言う流れに。私は便宜的に、相互貸借のシステムとは「よく利用する公立図書館を通じて、ある利用者が別の(自治体立)図書館にある本や雑誌といった資料を借りられるシステムやサービスのこと」だと説明しました。

 

思い返してみると、今借りている図書資料の手続きをするまで、私も相互貸借のシステムを忘れていました。思い出したのは、利用している自治体立図書館に探している本がなく、近くの公立図書館でその資料の新規購入希望を出した際、最寄りの職員さんに「別の自治体立図書館にあるかもしれません」と言われ、このサービスを思い出したのでした。その職員さんは、別の自治体立図書館の蔵書検索システムで調べられ、相互貸借で目的の資料が取り寄せられるというので、申込みを致しました。

(ちなみに、相互貸借について図書館のスタッフさん曰く「相貸」(そうたい)という略称があるそうです)


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 (イメージ画像:読書柴2イラスト - No: 1447964/無料イラストなら「イラストAC」の背景に、仲見満月が色を付けたもの)

 

こうした出来事があって、1月28日に相互貸借のことをTwitter上で話題にしたところ、意外とこの図書館サービスが知られていないらしきことを教えて頂きました。今回は、このブログで相互貸借に関し、本記事では補足として、相互貸借を申し込む前にすると便利なことで、主に都道府県立下の公立図書館の横断検索、および学術的な本を探せるCinii Booksの使い方について、メモ的にお話しをさせて頂きます*1

 

 

2.相互貸借を申し込む前にすると便利なこと~よく利用する図書館にない資料を別の図書館に所蔵がないか「横断検索」で探す~

 2-1.隣の市町村立図書館、および都道府県立図書館で所蔵を探す~東京都立図書館のサイトを例に~

仲見は学生の頃から、住んでいた市町村の公立図書館に加えて、隣の市町村や都道府県の公立図書館の蔵書を検索し、図書資料を見に行ってました。その時に使っていたのは、各都道府県の公立図書館サイトにある横断検索のシステム。この検索システム名は図書館ごとに名前は異なり、例えば「都内図書館統合検索」とか、「〇〇県内図書館横断検索」とか、様々です。本記事では、便宜的に「横断検索」と呼ぶことにし、具体的には東京都立図書館を例にして検索方法を説明させて下さい。

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①東京都立図書館にアクセスし、「都内図書館統合検索」に行く

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:画像左下、赤丸の矢印で指したアイコンを押します(※アイコンの配置は、端末の種類によって変化。上の画像はスマホでアクセスした時のもの)。直リンクはこちら:

www.library.metro.tokyo.jp

東京都立図書館

 

②検索ページの「東京都立図書館統合検索」で、「統合検索」のタブを選択

 →所蔵を知りたい検索先図書館のボックスに☑️を入れる

 →タイトルや著者名などの検索ボックスにキーワードを入力し、検索ボタンを押す。
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:画像では、ギリシャ神話の医神アスクレピオスの信仰について扱った図書資料を探すことを目指し、「簡易検索」のボタンを押す

 →検索先は、東京都立図書館・区立図書館・市町村立図書館を選択

 →タイトルの検索ボックスに、アスクレピオスと入力

 

➂検索の結果が出、画面を下へスクロールして検索結果の一覧を見て、資料を探してタイトルをクリックする

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:画像左下の「検索状況」に総ヒット数、検索完了サイトなどの情報が表示される(赤い丸の部分)ので、確認します。検索状況の上には、検索先の一部図書館の検索結果が数で出現(青い丸の部分)。今回は足立区図書館の結果が出ました。その右側に行くと、検索でヒットした資料の結果一覧が表示されています(求める内容の図書資料を的確に探すため、結果一覧に出てきた本の内容を個別に調べる作業を行うと、よいかもしれません)。ここで求める資料は、「ギリシャ神話の医神アスクレピオスの信仰について扱った図書資料」であり、別で調べた本の内容をもとに『医神アスクレピオス』のタイトル部分を選んで押します(黄色い丸の部分)。

 

④足立区立図書館の表示された「検索結果書誌情報詳細」のページにて資料情報を見て、所蔵の状態を確認する

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:画像の資料情報によれば、『医神アスクレピオス』は、所蔵が「中央」、帯出区分は「通常貸出」、状態は「在庫」etc…となっています。どうやら、足立区立図書館にはなく、都立中央図書館(港区)か、中央区立図書館かにありそうだ、と見当をつけます。

(この時、東京都内の公立図書館の分布や各館の名前、開館・閉館の状態などについても調べておくと、資料の所蔵調査で後々、楽になるかもしれません)

 

⑤東京都立図書館統合検索のページに戻り、検索先の項目で、

  • 「東京都立図書館」の項を開き、東京都立図書館に☑(下の画像では赤い丸の部分)
  • 「区立図書館」の項を開き、「中央区」に☑(下の画像では青い丸の部分)

を行い、検索ボタンを押すf:id:nakami_midsuki:20200129002837j:image

 

⑥検索が終わったら、左の「検索結果サイト情報」下の検索先の図書館を切り替え、検索結果一覧を確認し、探していた資料があればタイトルをクリックする

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: 東京都立図書館の検索結果一覧(赤い枠内)と中央区立図書館の検索結果一覧(青い枠内)を見比べますと、都立図書館のほうの一覧の上から5つ目に『医神アスクレピオス』のタイトルが見え(画像で潰れていますが、黄色い矢印の先の黄色い楕円の内側)、そのタイトルをクリックします。

 

⑦新たに表示された都立図書館の「資料詳細」のページで、所蔵状況を確認し、

  • 貸出が可能:最寄りの東京都内の公立図書館から相互貸借の申込をする
  • 貸出が不可:所蔵されている都立中央図書館を訪れ、手続きをして閲覧する

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:「所蔵」の項目をチェックすると、所蔵館は「中央」、所蔵場所は「閉架」、閲覧は「可」/貸出は「否」の状態だと分かります。ここで読み取れるのは、「都立中央図書館で『医神アスクレピオス』を閲覧はできるけれど、貸出はされていない」らしき情報です。この資料は貸出が不可のようなので、行けるなら都立中央図書館へ足を運び、館の規則に従って手続きを行い、閲覧します。

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以上が、相互貸借を申込む前に、東京都立図書館の「都内図書館統合検索」を利用し、アスクレピオスに関する図書資料について、都内の自治体立図書館の所蔵を探す方法でした。私自身は東京都民ではなく、探している資料の所蔵先が分かった後の相互貸借の申込み方法は知りません。相互貸借の申込み方法については、各自治体の公立図書館の職員の方に問い合わせをした後、然るべき手続きをして資料取り寄せをして下さい。

 

 2-2.Cinii Booksで主に大学図書館の所蔵先を探す

2つ目は、主に大学・大学院の図書館において、探している資料が所蔵されていないかを検索する方法について簡単に触れてたいと思います。おそらく、弊ブログの読者で、特に人文・社会系の院生や研究者をされている方の多くの方が学術的な本を検索する際、使われているであろうWebサイトが次のCinii Booksです:

ci.nii.ac.jp

CiNii Books - 大学図書館の本をさがす - 国立情報学研究所

この検索サイトは、日本の国立情報学研究所 がやっているもので、日本国内の大学図書館に所蔵されている本を検索できます。ちなみに、論文検索ができる姉妹サイトには「CiNii Articles - 日本の論文をさがす - 国立情報学研究所」があります。

 

検索方法の例としては、上のリンクから検索画面にアクセスし、以下の手順で探す本の所蔵先を調べます。

 ①「図書・雑誌検索」のタブを選び、キーワードを 入力して検索ボタンを押す

  :「アスクレピオス」と入力

 ②表示された検索結果の一覧から、探している本のタイトルを押す

  :画面をスクロールし、見つかった『医神アスクレピオス』を押す

 ③探している本を所蔵する(大学)図書館の一覧が表示される

  :所蔵する大学図書館の一覧を見て、自分の所属研究機関の図書館に、相互貸借などの方法で資料の取り寄せができるところを探す。

 

大学・大学院の図書館によっては、図書館のシステムを介し、オンラインで相互貸借や、所蔵先への閲覧申込みを行えるところも多いようです。そのあたりは、大学図書館の方針や資料の状態などによって変わってくると思うので、色々と調べたり、所属先を通じて所蔵先に問い合わせをしたりしてみて下さい。 

 

ここまで、ざっとCinii Booksを使った本の所蔵先の調べ方の話でした。

 

 

3.さいごに~主にレファレンス・サービスの紹介~

ここまで、主に相互貸借を申し込む前にするとよい「横断検索」の話でした。本記事の内容が、図書館で本を探す際の参考になれば幸いです。たぶん、今回の方法よりも効率的な資料検索のやり方はあると思うので、各自で方法を探してみて下さい。

 

「こういう資料を探したいんだけど、どういうジャンルを調べたり、調べるのに使う道具や辞典類が分からない」といった場合は、

といった方法やサービスを使いましょう。抱えている原稿について調べ物をする際、特に私はレファレンス・サービスには助けられています。事前に「レファレンス協同データベース」(レファ協)を使い、国立国会図書館や全国の図書館等に来た問い合わせの中に、自分と近い質問事例がないか検索しておくと、調べ物がスムーズにいくかもしれません。

 

ついでに申し上げますと、都道府県立図書館には、市町村立図書館にはない学術的な専門書や、ちょっと他の地域では見かけないような郷土資料が所蔵されとるところもあるイメージです。学術的な論文、ブログやルポルタージュ等の記事での調査といった資料探しにも有用なはず*2 *3

 

ほかにも、図書館には利用者向けに便利なサービスがあるので、どんどん使ってみてはいかがでしょうか?

 

おしまい。

 

 

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*1: 事前におことわりを致しますと、私は図書館司書の資格を持ち、大学院時代に図書館学の科目を取っていましたが、公立図書館や大学図書館で実務経験のない人間です。授業で学んだ中には古いものや、あやふやな部分があるかもしれません。もし、ご指摘がございましたら、こっそり、本記事のコメントや弊ブログのメールフォーム等で教えて頂けると有り難いです。

*2:ルポルタージュのジャンルで、地方の図書館に手続きをし、その地域に所蔵されている資料を使って書かれた過程が内容から窺える作品には、高橋ユキさんの次の本があります↓ 

つけびの村  噂が5人を殺したのか?

つけびの村  噂が5人を殺したのか?

 

民俗学的な視点で見ても、非常に読みごたえのある内容だと思いました。

*3:同人誌やWeb媒体での創作活動にもよさそう。上記の検索方法の例で、私がアスクレピオスを出したのは、FGO方面の興味に基づくものです。あと、レファレンス・サービスは、『刀剣乱舞』に登場するキャラクターの調べ物に適しているかもしれません。地域の信仰と結びつきのある刀剣の歴史とか。

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