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仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

日本語教師を目指す人への本紹介①~米原万里『言葉を育てる 米原万里対談集』で考える様々なこと~

数日ぶりですね。シルバーウィークは皆さま、いかがおすごしだったでしょうか?私は読書の傍ら、ネットサーフィンを試みました。が、滞在先のネット接続がうまくいかず、電波を探して建物内を徘徊。その様子は、家族ほか、滞在客からしたら、危ない人に見えたかもしれません…。

 

さて、7年前、言語教育学の分野で、日本語教師を志望していた後輩が何人か、身近にいました。今回は、その後輩たちが大学院を目指すのにすすめた本の紹介記録が出て来たので、当時の記録、そして振り返ってみたときのレビューを公開致します。

 

簡単に書いており、かつ古い記録ではありますが、言語教育学に興味を持っている方には面白いと思います。

 

(以下、2009年11月10日の記録)

 

学部生の後輩に何人か日本語分野の大学院or日本語教師を目指している人たちがいるので、役立ちそうな本をレビューします。

 

米原万理『言葉を育てる 米原万理対談集』(ちくま文庫)筑摩書房.2008年

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 本当は、感想を書きたいんですが、院試書類の提出直前の後輩もいるので、ネタに使えそうなところを目次からピックアップ↓

 

〈目次〉

vs.小林陽一

「歴史のなかで言葉を育てる」

 

vs.林真理子「通訳ともの書きの大いなる違い」

vs.児玉清 「本の数だけ違った人生がある」

 

vs.神津十月「在プラハソビエト学校が私の原点です」の

「共通語としてのロシア語」

 

vs.田丸公美子

「通訳それは痛快な仕事」/「許せる通訳? 許せないワタシ?」/

「許せる通訳? 許せないワタシ?〔ウェブ版〕」/「毒舌とフェロモン」

/「イタリアの男と日本の男、ここが違う!?」

 

特に、在プラハソビエト学校時代に米原万理が受けたロシア語教育と日本での日本語教育法の違いを書いた箇所を見つけること。

 

大学院を受験する人は、本の内容と自身の留学体験を交え、志望理由書をブラッシュアップすると、書き易くなると思います。

        

取り急ぎ、一冊レビューしました。

 

 

(以下、2016年9月21日の追記)

 

 上にも書いていますように、米原万里は今でいう「帰国子女」出身。後に、ロシア語通訳者として活躍し、そこからエッセイストや情報番組のコメンテーター、ノンフィクション作家として活動しました。この方、日本で言うと中学生になってから帰国したためか、記述式解答の多い日本の学校の試験になじめず、自由な校風の高校に進学したそうです。その高校卒業後、舞踏の学校に入学してみたり、中退後は東京外国語大学ロシア語学科に入学して民族舞踊のサークルに熱を入れてみたり、当時としては割と型にはまらない大学生活を送っていたようです。そして、

 ・1975年3月に同大学同学部卒業、同年4月、汐文社に入社。

 ・1976年3月、同社を退社。

 ・同年4月、東京大学大学院人文科学研究科露語露文学専攻修士課程に進学。

 ・1978年3月、同修士課程修了。

以上、米原万里 - Wikipediaの情報でした。

で、後に自身が記した諸エッセイによると、彼女は1978年に大学院を修了したものの、1970年代の不況にぶつかり、就職が難航。縁を頼って、細々とロシア語通訳業を始め、80~90年代にはソ連ペレストロイカや冷戦終結といった国際情勢の大きな変化にともない、ロシア語通訳者の需要が増したことで、活躍の場を広げていきます。

 

改めて経歴を見ると、この方は文系大学院の出身者でした。詳しく、取り上げたいところですが、著書があまりにも膨大すぎて、難しいです…。そういうわけで、気になる方はオンライン書店で、本人のエッセイ集や没後の文芸誌の米原万里特集号を探して読まれてみてください。面白いです。

 

さて、本書は、通訳者時代に蓄積した経験を軸に、エッセイストとして多くの連載を抱えていた米原万里が、日本文学者、小説家、写真家・ノンフィクションライター、イタリア語通訳者といった各業界の人々と繰り広げた対談集です。

 

個人的に、好きだったのは、

 vs.星野博美

  「人脈だけ旅行鞄に入れて」

です。タイトルのことをするのは、漢民族系の移民の人々が世界中にはりめぐらしたネットワーク。それが、中国とか台湾とか香港とか、そういった「中国」の人々が海外で移民をして働く時、衣食住を保障するセーフティーネットになっているという指摘があり、頷いてしまいました。

 

ほかに、ローティーンの人が読んだら面白いと感じたのは、

 vs.辻元清美

  「成熟社会のための処方箋」

でしょう。辻本議員が学生時代に始めた「ピースボート」の取り組みについて、どういった経緯で設立したのか、当時のエピソードが語られていて、思わず「ほぉ~」と呟いてしまいました。

(*なお、ピースボートについては、乗船者として「参与観察」(?)し、「社会学」の立場から書かれた修士論文がもとになっている次の新書で、「分析」がなされています:古市 憲寿 著/ 本田 由紀 反論・解説『希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想』光文社新書、2010年

 

各業界で活動する人たちとの対談集である本書は、個人個人の生き方、ビジョンや希望を知ることができ、また、なかなか読者が覗けない世界を提供してくれるという意味で、読んで損はないと思います。米原万里との対談者には、文系といえる職業の人たちが中心となっているので、「文系って何だろう?」と考えるヒントにもなりそうです。

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