仲見満月の研究室

元人文系のなかみ博士が研究業界の問題を考えたり、本や映画のレビューをしたりするブログ

【ニュース】「京都大 公開シンポジウム 大学の管理強化を問う 13日、立て看板規制や吉田寮議論」(毎日新聞)

昨日、本ブログで取り上げた緊急シンポジウム、および各問題についての記事:

naka3-3dsuki.hatenablog.com

これらのことについて、本日2月8日の毎日新聞の東京夕刊で取り上げられていました:

京都大 公開シンポジウム 大学の管理強化を問う 13日、立て看板規制や吉田寮議論-毎日新聞

 

オンライン版を転載させて頂き、要点を改めて、見ていきたいと思います。

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Topics

京都大 公開シンポジウム 大学の管理強化を問う 13日、立て看板規制や吉田寮議論

毎日新聞2018年2月8日 東京夕刊

 公開シンポジウム「立て看・吉田寮問題から京大の学内管理強化を考える」が、13日午後6時半、京都市左京区吉田本町の京都大文学部で開かれる。同大学の研究者や卒業生、学生らによるシンポジウム準備会などの主催。

 

 京都大には、他大で激減しているサークルなどの立て看板が多く残る。構内にある吉田寮は、1913年築の木造で、寮生が自主管理してきた。大学当局との団体交渉で補修などを求めてきた。

 

 大学側は、昨年12月、今まで自由に出せた立て看板の設置場所を限定する規定を公表した。後日、時計台前に立て看板を出した学生2人をけん責処分とした。また同日、従来の吉田寮側との約束と無関係に、「寮生の安全確保」のためとして、寮生は9月末までに退寮するよう告知した。

(京都大 公開シンポジウム 大学の管理強化を問う 13日、立て看板規制や吉田寮議論-毎日新聞)

改めて、シンポジウムのテーマの2つ、立て看板と吉田寮の問題について、情報を加えますと、

  • 他大学ではサークル等の立て看板が、京大ほど残っておらず、立て看板こと「タテカン」は京大のユニークな文化の一つになっていること
  • 吉田寮は1913年築で、今年で105年経ち、寮生の自主管理のもと、大学当局と団体交渉を行い、補修などを求めてきたこと

の2つです。京大敷地内のタテカンをめぐる問題は、京都市の条例に基づき、学外と接する擁壁に立てかけたタテカンについて、市側から昨年11月中旬に指導されたことが契機となったようです。市の行政指導と、実際に私が京大の11月祭に行き、タテカンの実態を見てきた報告や所感については、次の記事にまとめています:

naka3-3dsuki.hatenablog.com

この京都市による行政指導を機にしたのか、京大の当局は学内の時計台前にタテカンを設置した人たちを処分。

 

吉田寮の問題については、冒頭にリンクを貼った拙記事に詳しく書きましたが、上記毎日新聞のオンライン記事にあるとおりです。続きを見ていきましょう。

 

 シンポは、京都大出身の鵜飼哲・一橋大教授(フランス現代思想)と駒込武・京都大教授(植民地教育史)、吉田寮の現役寮生らが、現状とその背景について議論する。

 

 準備会は、ホームページ(https://sites.google.com/view/tatekan-yoshidaryo/home)で山極寿一学長に渡す抗議アピールの賛同署名を集めている。浅田彰・京都造形芸術大大学院学術研究センター所長らが呼びかけ人だ。

 

 準備会は「今の動きは、90年代以降、全国の大学で進む管理強化と執行部への権限集中の延長にある。大学が地域と社会に開かれ、対話を根幹とする自由な学問・研究の場であるための生命線を守りたい」としている。

 

 シンポは無料。問い合わせはシンポジウム準備会(kyoto.u.kanrikyoka@gmail.com)。【鈴木英生】

(京都大 公開シンポジウム 大学の管理強化を問う 13日、立て看板規制や吉田寮議論-毎日新聞)

上記毎日新聞の記事のリンク元である緊急シンポジウムのサイト「おもしろくも変人でもない京大」をのぞくと、「京都大出身の鵜飼哲・一橋大教授(フランス現代思想)と駒込武・京都大教授(植民地教育史)、吉田寮の現役寮生」の方々に加えて、緊急アピールを呼びかけている方には、「浅田彰・京都造形芸術大大学院学術研究センター所長」ほか、他大学の先生方、京大の周辺の住民、喫茶店の店主、保育園の職員と思われる方など、一人一人見ていくと、様々な立場の方が名前を賛同者として連ねていらっしゃいます。

 

毎日新聞のオンライン記事には、「山極寿一学長に渡す抗議アピールの賛同署名を集めている」と書かれています。山極総長は耳を傾けて下さる印象を私は京大内にいる様々な方から聞いて抱いています。ですが、シンポジウム「立て看・吉田寮問題から京大の学内管理強化を考える」とその周辺について思うこと - 仲見満月の研究室の中盤に書いたように、今回、問題となってるタテカンと吉田寮の問題担当者は、対話を拒否している副学長の川添氏。また、副学長はこの他にも8人くらいいると、元京大の在籍者に聞いたことがあります。他の副学長は、山極総長や川添氏とは異なる考えを持っている可能性もあります。

 

ですので、一枚岩でない他の副学長たちに耳を傾けてくれる人を得なければ、総長にアピール署名を直接渡したとしても、交渉はスムーズに進まないのではないでしょうか。大学当局の上層部で会議の話題にできたとしても、総長の一存だけで決められないシステムに、今の京大の執行部や行政指導部はなっていると思われます。

 

このあたりの団体交渉に関する見方は、シンポジウム「立て看・吉田寮問題から京大の学内管理強化を考える」とその周辺について思うことの終盤に書きました。私が考えているやり方については、私自身、非常に難しいと考えており、あくまで理想ではあります。

 

現実的には、賛同者の先生方が動いて、京大の副学長になっている同僚や伝手のある大学教員の方に話してみて、少しでも耳を傾けてくれる人を増やすこと。そこから始めてみては、いかがでしょうか。それすらも、難しいかもしれませんが…。とにかく、緊急アピールをされる方々は、既存の署名運動やシンポジウムを行うだけでなく、もう少し、変わった有効なやり方を見つけて、されたほうがいいかもしれません。

 

何はともあれ、気になる方はシンポジウムに行かれてみては、いかがでしょうか。

 

おしまい。

 

 

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