"在異郷知我事"ということ~NHK「関口知宏の中国鉄道大紀行」を起点として~
こんにちは!最近、諸々の手続きで、隣の県に行くこともある今月です。早めに先月から幼児を進めておけばよかった。そんな、今月の忙しさです。疲れに疲れる日もありますが、過去の雑記帳から記録を抜き出し、昔の自分が何をしていたか、振り返ることもしていこうと思いました。
そういうわけで、今回は外国で自分のバックグラウンドを知る、というテーマのエントリ記事をお送り致します。短いので、さらっと読めます。
(2013年6月の記録)
記事タイトルは関口知宏さんがNHKの「中国鉄道大紀行」の番組*1書にしたためた「異郷知我」がもとネタ。意味は「異郷に来て、その土地で自分を知る」。中国を何百キロも鉄道を使って旅し、様々な人やモノに触れてきた彼は、翻って日本や自分の事を考え、思いを巡らしていたんでしょう。
私は日常的に大陸中国、台湾、そして韓国からの留学生と一緒に学ぶ機会があります。彼らは、異郷の地である日本で、日本語を通して自分の国の事物 を研究し、関口さんと同じように、自分のたちのことに思いを巡らし、母国にいたときには気づきもしなかった視点を得る。中国の戯曲を日本語に訳していく授業では、 高校時代に母語で学んだ古典の授業では気にも止めなかった登場人物の仕草の意味合いに改めて気づき、奥深さを認識したという留学生もいます。
ときどき、「なんで、外国に留学してまで母国のことを研究しようとするんだろう?」という人がいます(たぶん、日本の大学だったらネイティブ日本人が、大陸中国の大学だったらネイティブ中国人が、台湾の大学だったらネイティブ台湾人が、韓国の大学だったらネイティブ韓国人が、というふうに、どこの国や地域のネイティブでも言う人はいると思う)。
その人たちに解答を用意するなら、異郷へ出ることにより、「今まで自分にとって当たり前だったこと」が当たり前ではなくなり、新たな視点から自分たちのことを見つめることができる。つまり、自明だったことが異文化の地へ留学することで、自明ではなくなる。ここから、新たな研究がスタートするというのが留学生にとって、外国へ学びに出る中で最も大切な目的なんだと思います。
私の周りにも、「江戸期の絵画に対する当代庶民の認識」というような研究テーマを持ち、イギリスの大学へ留学している人がいます。彼女もきっと、英国の地で新たな視点から葛飾北斎や歌川国芳の魅力を探っているのでしょう。自分も、いつか、「異郷に在りて我が事を知る」機会を得たいものですね。
(以下、再び2017年3月13日の追記)
前からTwitterで言っておりますが、私は母国の「日本がスゴイ!」とは、必ずしも思ってはいません。ザーサイの国とキムチの国へ初めて行った時の話 ~東アジアとの関わり始めと人文科学系の効用~ - 仲見満月の研究室で書いたように、10代で中国と韓国に訪問したことがあり、高校で中国語を始めたことがあって、割と人生の早い段階で隣国の言語文化を学んだことが大きいです。「サヨナラニッポン~若者たちが消えてゆく国~ 2012.08.23」~それと私の見た2016年の上海~ - 仲見満月の研究室では、昨年5月に就職活動で、上海に行っていたことも書きました。正直に言うと、中華圏の研究を中心にしていたことがあって、機会があれば、中華圏で働きたいところです。
そういうわけで、日本のことに詳しいとは言えません。だからこそ、細かく調べて読み返すと、面白いことが分かって楽しんだよね、ということが新鮮なんです。加えて、日々の自分たちの行動の元になっている思想、感情の発生する根っこが分かってクリと言う意味において、理屈がわかるのは、コミュニケーションをとる上で鍵となります。
そこが人文社会学系の研究の存在意義になるんじゃないかと、今回の記録を読んでいて、思いました。人間同士の文化や社会を解くことで、日々を生きやすくする、それが文系の学問なんじゃないの?と、いうことでした。
学会の変更手続や会費納入・未納などの状況を表計算アプリで作ってみた
私の周りには、フリーランスのグラフィックデザイナー、建築士、そしてライターのような人たちが、会社員、公務員、学校教員といったサラリーマンと同じくらい、います。読者の中にも、彼らと同じで確定申告の書類に毎年、この時期に苦しんでいる方々もおられるかもしれません。
年度末というと、大学・大学院の関係者は、卒業や修了、先生方だと転職で、いろいろと所属先が変わるというのは、出会いと別れの数だけあります。この所属先変更、それから職位や身分の変化は、学会を通じた研究活動をする上で、面倒な事態を生みます。
学会に登録している個人情報を新しいものに書き換えたり、職位や身分の変更によって会費の額がアップしたり(稀にダウンしたり)に合わせて、手続きをとらないといけないんですね。大学院を出たとき、この手続きを面倒に感じた私は、エクセルを使ってリスト化し、次に何をしたらいいのか、一目で分かるよう、表を作りました。
そういうわけで、今回は年度末の学会の変更手続や会費納入・未納など、状況を表計算アプリで作ってみたよ、っていう話です。次の表が、その一例です。
表1_博士課程修了直後の各学会の必要手続・会費に関する状況リスト(*すべて学会は架空のもの)
番号 |
学会名 |
必要な手続き |
手続きの経過 |
会費の金額 |
会費の支払い方法 |
1 |
東アジア生活史学会 |
学生会員→ 一般会員への手続 |
「会員種類変更届」をファックス送信済み |
2500→ 4000 |
振り込み票 |
2 |
東洋宗教学会 |
所属変更の通知・会費納入 |
変更済み・今年度会費支払済 |
3000 |
銀行引き落とし |
3 |
都市文化学会 |
住所変更・引落中止 |
事務局で受付済み・今年度会費支払済 |
5000 |
振込票による支払い法に変更済み |
|
学会の合計費用 (1~3の合計) |
|
|
12000 |
|
左の最上段の行に、左から「学会名」、「必要な手続き」、「手続きの経過」、「会費の金額」、「会費の支払い方法」の項目を設け、いちばん左の列に各学会に番号をふりました。「必要な手続き」と「手続きの経過」は、学会の事務局に問い合わせたり、変更届を出したりするのに合わせて、更新してゆきます。
例として、1:東アジア生活史学会の「必要な手続き」として、会員の種類変更を届け出る、というものがあります。実は、多くの学会では正規の学部生・院生は、学生会員という扱いで、それ以外の大学・大学院を卒業・修了した、あるいは社会人などの一般会員より、安い会費が設定されていることがあります。大学院を出ると、学生会員ではなくなるため、その会員種類の変更を届け出ないといけません。一般会員になったら、一般会員の会費を確認して納入するという、タスクが発生します。
(稀に、再び大学院に入学する人がいて、一般会員から学生会員に会員種類が変わる人がいるらしいです)
だいたい、職業研究者は複数の学会に所属しているようで、多くて3~4くらい。私のように、境界領域をしていると、表1の倍の数の学会に入っている人もいます。表1の作成にはエクセルを使い、学会費の合計値を出しました。他にも、Googleのスプレッドシートを使っても、同じように学会費の計算ができると思います。
設ける項目は、研究者の個人個人によって変わってくるでしょう。私のは一例ということで、あくまでご参考までに、ブログで紹介してみました。