仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

【2017.8.17_2150追記:ニュース】「東大、若手研究者300人 「任期なし教員」に転換 」(日刊工業新聞 電子版)について

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<今回のにゃいよう>

1.はじめに

私自身、上のネコさんみたいに、「マジですか?」と思うニュースがありました:

www.nikkan.co.jp

 

 

2.「東大、若手研究者300人 「任期なし教員」に転換 」(日刊工業新聞 電子版)お内容

nさっそく、コメントを入れながら、読んでいきましょう。

 

東大、若手研究者300人 「任期なし教員」に転換

(2017/8/15 05:00)

 東京大学は2021年度までに、任期付き雇用の若手研究者300人を任期なし雇用の教員に転換する。外部資金獲得による間接経費などを使い、国の運営費交付金に頼らない雇用とする。16年度の東大の40歳未満の任期なし教員数は383人。若手の雇用安定を財源多様化で実現することで、大学の研究開発力を一層強化する。

 若手研究者には「任期なしの教員」「任期付きの教員」「任期付きの研究員」がある。このうち「任期付き」の2種類で優秀な若手が、任期なし雇用の教員に転換する。

東大、若手研究者300人 「任期なし教員」に転換 | 科学技術・大学 ニュース | 日刊工業新聞 電子版)

「任期付きの若手研究者300人を任期なし雇用の教員に転換する」と言う時点で、思い切った方向に、とうとう、東京大学も踏み出すのか、と驚きました。ネット上の声では、首都大等は既に取り組んでいたことだそうです。

 

ただし、財源が「外部資金獲得による間接経費などを使い、国の運営費交付金に頼らない雇用とする」というもので、いくら国立のトップ大学とはいえ、うまくことが運ぶのかは、疑問符がやみません。

 

そして、もう一つのツッコミなのが、「16年度の東大の40歳未満の任期なし教員数は383人。若手の雇用安定を財源多様化で実現する」という箇所について、です。確かに先日更新した記事:

naka3-3dsuki.hatenablog.com

文科省ポスドクに関する全国調査では、一応、若手と言っていいと私が考えているポスドクの平均年齢は、36.3歳。上の助手・助教、更に准教授でも最近は「特任」とか「特定」が付いても、また助手・助教だと役職に何も「特任」とかつかなくても、任期付きのところもあります。彼らは、30代半ばにポスドクから昇進しても、任期付きのポストで40歳目前になる。そういった人たちが、400人近く東大にいたという事実。

 

職員数(平成27年5月1日現在) | 東京大学によると、東大の大学教員(助教・助手から教授まで)の合計は4026人であり、年度は異なるのと、乱暴な計算をすると、任期付きの若手研究者の数字383人で割ると、大学教員の全体数の0.9パーセントに当たるのが任期付きの若手研究者の数になります。実際のポスドクが含まれると思われる「技術系職員」の数は、上記の平成27(2015)年のデータで、577人で、大学教員の全体数の14パーセントをに当たります。東大は様々な意味で、日本の大学の現状を表している大学であるように認識している私としては、「日本の大学のトップが、その大学教員の総数の約1割に当たる数で、任期付きの若手研究者を雇用している事実は、もっと割合の高い大学法人はたくさんあるはず」だと感じました。

 

続きを読んでいきましょう。 

 任期なし雇用への転換の財源として、理系を中心とした部局は外部資金獲得に伴う間接経費収入や運営費を活用する。本部は産学連携に関わる収入、規制緩和による土地・資金運用などで確保する。

東大、若手研究者300人 「任期なし教員」に転換 | 科学技術・大学 ニュース | 日刊工業新聞 電子版)

弊ブログは、一応、主に文系の院生や研究者、院卒者向けのブログを設定はしております。そういった視点から、「任期なし雇用への転換の財源として、理系を中心とした部局は外部資金獲得に伴う間接経費収入や運営費を活用する」って、文系を中心とした部局は何か考えていないの?それとも、経済学系を含むところは、「本部は産学連携に関わる収入、規制緩和による土地・資金運用などで確保する」ということになるんでしょうか。

 

例えば、私に身近な東洋学に関する部局では、東京大学安冨歩先生の所属されている、東京大学東洋文化研究所には特任助教の方がいらっしゃいますが、今回の「任期なし雇用への転換」の対象にはなっているのでしょうか。不安です。

 

ニュース記事に戻りましょう。

 東大は16年度に任期なし雇用への転換を部局財源で行う場合に年間300万円を3年間、本部が支援する制度を始めた。さらに独自の「東京大学卓越研究員制度」で部局が「任期なしかそれに準ずる扱いにする」と決めた中から対象者を選定。本部が1人当たり同300万円を2年間、支援する。この結果、17年度の任期なし雇用は前年度比約90人増えた。

東大、若手研究者300人 「任期なし教員」に転換 | 科学技術・大学 ニュース | 日刊工業新聞 電子版)

読んでいると、「独自の「東京大学卓越研究員制度」で部局が「任期なしかそれに準ずる扱いにする」と決めた中から対象者を選定。本部が1人当たり同300万円を2年間、支援する」とあることから、やはり競争があって、段階的に任期なし雇用の人を増やして以降としているようです。本部が頑張るようですが、その後、任期なし雇用の人の昇進と昇給はありうるのでしょうか?

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 頑張っても、据え置きだとモチベーションが下がりそうです。

 

ここで少し、「国立大学の任期なし雇用の教員」について、説明が出ています。

 国立大学の任期なし雇用の教員は通常、運営費交付金で人数が決まる。交付金削減で定年退職教員の後を補充しにくく、任期なし教員が減る傾向にある。

 同時に競争的資金のプロジェクトが増え、任期付き雇用が研究型大学で増加。東大の教員のうち任期付き雇用が占める割合は06年度が4割強だったが、12年度は6割超だった。 任期付き雇用は競争意識を持たせる利点がある。一方でイノベーションの創出やノーベル賞級の研究につながる基礎的研究は生まれにくい面もあった。

東大、若手研究者300人 「任期なし教員」に転換 | 科学技術・大学 ニュース | 日刊工業新聞 電子版)

 「交付金削減で定年退職教員の後を補充しにくく、任期なし教員が減る傾向にある」って、実質的にポストを減らさざるをえないということではないですか!!

 

 

3.最後に

実質的にポストを減らさざるをえないということ・そこのあたりの人件費について、外部資金獲得や、「規制緩和による土地・資金運用などで確保」するとあります。【ニュース】「大学、資金を共同運用 基金設立、私募投信に5法人参加へ」(日本経済新聞)で書いたように、

投資と言うのはギャンブルであると言われますが、今回のニュースを読み、大学の資金運用をする金融機関、それから各大学上層部の方々は、賭けにこけてしまった時、どのようなダメージが部下の教職員、それから学生たちの大学生活に具体的に表れるのか。具体的な計算までしてから、くれぐれも慎重に行けるところは進んで頂くべきだと、考えました。

【ニュース】「大学、資金を共同運用 基金設立、私募投信に5法人参加へ」(日本経済新聞) - 仲見満月の研究室

という点に念頭を置いて、指定国立大学法人になってしまった東京大学には、くれぐれも、気をつけながら、進んでいって頂きたいと思います。

 

 

4.続報:「東京大学で起こった、非常勤職員の「雇い止め争議」その内幕」(現代ビジネス)

第3項の最後で心配していたことが、本日のTwitterの波を流れてきました。任期付き研究者と非常勤講師の扱いの差は、大きかったようです。詳細については、以下の記事をお読みください。

gendai.ismedia.jp

 

 

 

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