仲見満月の研究室

元人文学系、現・文理総合学系の「真っ白」博士が大学院とその周辺問題を考える

主に歴史書を読む場合の漢文訓読の参考書は何がよいのか~続々と #古文 や #漢文 をもう一度 ~

<聞いてみたいことを質問してみる回>

1.はじめに 

先月末に、私のTwitterアカウント周りで話題になっていた漢文参考書の話は、何だかんだかんだで、今週も続いていたようです。7月3日には、「トンデモない参考書のどこがトンデモナイのか」、という解説が漢文まわりの方々のツイートで指摘され、Togetterに纏められいたよ:

togetter.com

 

問題の漢文参考書はこれですね:

 

有名なのは、古文のほうですが、漢文もあったんですね。ここの執筆管理人は、初めて漢文編を知りました。さて、Togetterまとめに挙がっていた否定形の説明を読んでみました。まず、セクションの冒頭に「否定する内容は否定語の後にあるぞ」ってありまして、例文ごとの説明も説明で、「ふわっ」としているというか、主語や述語といった文法的な単語が出てこないというのは、法則で覚える人にはきつくないでしょうか。それ以前に、多くの人がツッコミを入れている例文は、著者の自作らしい。例文に入っている単語には、「本当に中国前近代には存在したのか、これ?」といったものがありました。その他の「いいのか、これ?」という問題点については、上記まとめをご覧ください。

 

『漢文ゴロゴ』のアマゾン・カスタマーレビューの平均が★4って、どうなんだろうか?と、確かに疑問に思わずにはいられません。それじゃあ、漢文の参考書には、どんなものがいいんだろう?というお話について、今回は様々な方に聞いてみたいと思い、本記事を書きました。今回は、質問を投げる回でございます。

 

 

2. 日本語で論文を書く留学生を含めて、漢文参考書を考える

記事タイトルに入れたように、「主に歴史書を読む場合の漢文の句法書・文法書は何がよいのか」が、今回のテーマです。ここでは、高校生向けの漢文訓読の参考書を対象に、学部、院生になってからも、「正史」や他の漢文史料を読むのに使えそうなものを、考えてみましょう。

 

最初に申し上げていきますが、漢文の句法・文法に関する私の考えは、高校までで習う基礎ができているのがよい、ということです。きちんと句法をマスターして、読みたいなら、高校国語の教科書で、基礎固めが優先すべきことかな、と考えています。また、国語の教科書に出てくる故事成語や「正史」の話には、限界があるでしょう。大学の学部以上の講読授業では、固有名詞やその別称が高校国語では想像がつかないレベルのもは頻出します。そういった問題については、

「正史」入門者向け『十八史略』や 明治書院「 #新釈漢文大系 」他で漢文に慣れる~続・ #古文 や #漢文 をもう一度~ - 仲見満月の研究室

で、文献ごとの文章グセに慣れて行ってください。

 

というわけで、高校生向けの漢文参考書を紹介していきます。カバー範囲は、日本語で論文を書く留学生も以下の理由で含めています。

 

上記Togetterまとめのコメントには、「大学入試を突破できればよいのでは?」、「テクニックが最低限、分かればよいのが参考書でしょ」といったものがありました。まず、言っておきますと、高校生向けの漢文参考書のユーザーには日本語学習者の留学生もいます。彼らには、日本にいる研究者に師事する目的で来日し、出身地の前近代の漢文史料について、日本語の漢文訓得法で現代日本語に翻訳して、日本の学術雑誌に日本語で査読論文を載せている人も含まれています。

 

具体的には、こちらの記事に出て来る方々のような人たちで、例えば『朝鮮王朝実録』を訓得する人がいます:

naka3-3dsuki.hatenablog.com

身近にいた韓国人留学生の場合、その人の日本人の指導教員の方は、前近代朝鮮半島の漢文史料を現代の朝鮮・韓国語に翻訳してから日本語訳するより、日本の漢文訓読の書き下し文を経てから現代日本語に訳すほうが楽だったようです。そこで、韓国人留学生は、次の日本の高校生向け漢文参考書を読んで、日本の漢文訓読方法で『朝鮮王朝実録』の一部を訳していました:

 

 

私が相談された時も、独特の語彙はさておき、日本の漢文訓読方法を使ってくれていたので、アドバイスをしやすかったです。『修訂版 必携 明説漢文』を見せてもらったところ、大まかな句形とその変化した句形の説明があり、たしか、主語や述語、名詞や動詞といった文法用語を使った簡潔な説明で、きちんと分かりやすい書き方がされていたと思います。例文は「正史」から取って来たものがあり、また漢文を読むのに必要な特殊用語、中国史に必要な重要情報の入った地図の掲載があり、必要なものは最低限、そろっているものであったと記憶しています。使っていたのは韓国人留学生ですが、私が借りて読んだところでは、中国前近代史で卒論を書きたい学部生が復習をするのにも、ある程度、基礎的な句形は載っていると考え、ここにピックアップしました。

 

『修訂版 必携 明説漢文』と同程度、基礎的な情報がそろっている高校生向け漢文参考書は、こちら:

 

一目でわかる漢文ハンドブック (東進ブックス)

 

: 教科書に出てくる漢文の句法は、こちらで確認しつつ、身につける。私はこれ、使ってました。私の記憶では、基本的な30くらいの句形と、漢文頻出の用語集が新書サイズにまとまっていて、大変、使い勝手がよい1冊でした。特に、持ち運びに適したコンパクトさ、くるみ表紙のそこそこの丈夫さ・柔らかさは、抜きんでているのではないでしょうか。値段についても、安いほうの新書と同じくらいです。

 

合わせて力をつけたいなら、ハンドブックと同じ著者の参考書・問題集を推します:

 

: 旧センター試験レベルなら、こちらで十分かな?と思います。練習問題つきで、応用の句形も掲載し、カバーする句形の範囲は広いです。私はパワーアップ前のものを使ってました。パワーアップ版をアマゾンのページで中身を見たところ、返り点に「甲乙点・甲乙丙丁点・天地人点」が出ていて、驚きました。高校時代の漢文の先生に、超レアな返り点で滅多に使わないと教えられ、院生の授業でも出てこなかったと記憶しています。復習しながら、練習問題で読めるようになりたい方向けではないかと。

 

最後にピックアップするのは、ある中国学者の方に、お薦めされた講談社学術文庫の本です。主にお尋ねしたいのは、この本について:

 

諸子百家をはじめ、思想の文献を読もうとして、購入しました。元Z会の漢文科目の担当者で二畳庵主人こと、加地先生による入門書です。Z会の添削者をされていた時の話から、様々な古典文献に関するよもやま的な話が挿入されており、読み物としては面白い本でした。

 

漢文の参考書としては、院の漢文講読の授業で読んでいたのが「正史」だったこともあって、先の高校国語の参考書を使って復習や予習するのが使い勝手がよく、本来の用途ではほぼ使っていません。更に、修論と博論を書く際には、口語文の文献を中心に読むこととなり、授業でも古典の口語文の勉強をし始めたことで、ほぼ加地先生の本を使わずに、大学院を出ました。

 

ちなみに、別の講読授業に出ていた漢文を研究で読んでいた同期は、本書を使っていました。合う人には有用だったのではないかと考えていますが、実際に考書として私自身は使ったことがありません。もし、読者の方に漢文訓読の目的で加地先生の本を使っていらっしゃる方がおられたら、お教え頂けないでしょうか?

 

 

3.推しの参考書があれば教えてください!~最後に~

以上、自分や周りの人が持っていた漢文訓読の参考書をピックアプして、紹介しました。お読みになった漢文クラスタの方には、「仲見は本当に「正史」を訓得して、論文を書いていたんだろうか?」と疑問に感じていらっしゃる人もいるかもしれません。一応、卒業論文では、『史記』から『新唐書』に出てくる特定の道具についての記事、訓得して書いて卒業できました。学部の途中からは、上級者向け漢文講読の授業で、担当者の先生に様々な「正史」の日本語の訳注書を教えて頂き、そちらを合わせて使っていました。詳しいことは、最後の本記事と関連の深い記事をご覧ください。

 

さて、読者の方にお聞きしたいことは、「主に歴史書を読む場合の漢文訓読の参考書は何がよいのか?」ということです。私は自分が使っていた高校生向けの漢文訓読の参考書について、果たして、どの程度のレベルやジャンルの古典文献に通用するのか、分かりません。そこで、今回の記事を書きました。差支えありませんでしたら、特に漢文クラスタの皆さま、大学の学部授業や大学院以上の研究で使っていらっしゃる訓読の参考書があれば、教えてください。次の質問箱から、こっそり匿名でお便りを頂けましたら、助かります:

peing.net

 

おしまい。

 

 

4.本記事と関係の深いブログ記事

前回の「正史」入門者向けの漢文に慣れる目的の参考書まとめ↓

naka3-3dsuki.hatenablog.com

国史学・古典文学(主に小説)の文献屋さん向け本の紹介↓

naka3-3dsuki.hatenablog.com 

 #古文 や #漢文 をもう一度シリーズ

「正史」入門者向け『十八史略』や 明治書院「 #新釈漢文大系 」他で漢文に慣れる~続・ #古文 や #漢文 をもう一度~ - 仲見満月の研究室

naka3-3dsuki.hatenablog.com

 

 

 

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