仲見満月の研究室

元人文系のなかみ博士が研究業界の問題を考えたり、本や映画のレビューをしたりするブログ

探究心で進路を決めた大学生と17歳~「 #沼にハマってきいてみた 」の #カレー 沼の回(特に #インド 方面、'18.11.14放送、 #Eテレ )

<探求心、それもまた愛>

1.Eテレが面白い件について~まえがき~ 

 先月半ばから、しばらく「長文が書けない近況、それとTwitterに関するお知らせ - 仲見満月の研究室」に書いたようなことがあって、難しい本が読めず、ブログを書くの苦しい時期がありました。読書と執筆のリハビリで、ギリシア神話の児童書を読んでその記事を書く傍ら、その時期、自分にとって精神的なストレスの少ないNHKのEテレを見ていました *1

 

平日の午後には、高校時代のお勉強内容のアップデートがてら「NHK高校講座」を視聴し、日常生活の謎に、視聴者の目線でMCの又吉さんが研究者に教えてもらう形の「又吉直樹のヘウレーカ! - NHK」など、時に録画をしては、見ていました。このブログの研究業界の問題に関連して、私は学術研究の成果を一般社会にどう還元し、普及するかに関心が向き始めていたこともあって、こうしたEテレの番組の演出や構成には、たくさんの発見があると思います。ということで、Eテレは面白いです。

 

さて、昨日14日にEテレをつけていたところ、私の好きそうな趣向の番組と出会いました:

www.nhk.or.jp

「沼にハマってきいてみた」とは、現役の研究者にはドンピシャの状況を表すにぴったりな番組名ではありませんか?!この番組では、「大好きでドハマりしてしまった趣味」を「沼」と呼ぶそうです。「沼」には、音楽や食べ物、アイドルやスポーツといったジャンルがあって、そうした「沼」にハマった若者を招き、彼らに「沼」について熱く語ってもらい、それにMCの方々が驚いたり、ツッコミを入れたりして番組は進んでいきます。

 

14日の放送では、日本でのカレー作りに限界を感じて、インド現地にカレー目的で留学しに行った大学生の印度カリー子さん。それから、カレーの食べ歩き遠征のため、カレー店でバイトをする17歳の男子高校生ちひろさんが登場します。この二人、番組内ではカレーを探究すべく、進路を決めてしまったというほどの方々で、見ていて非常に面白く、今回、このブログで取り上げることに決めました。

 

ということで、前置きが長くなりましたが、カレーへの探究心が強く、ある種の「研究者」ともいえる、印度カリー子さんとちひろさん。番組を振り返りながら、お二人の進路決定について考え、何かを研究したいと思っていらっしゃる読者の方に、「こんな研究をする生き方もある」ということをお伝えしたいと思います。

f:id:nakami_midsuki:20181115002320p:plain

(イラスト:インドカレーのイメージ画像

  

 

2.印度カリー子の場合~カレー作りを学び、将来はスパイス研究で大学院へ~

一人目は、大学で物理学を専攻する印度カリー子さん。毎日三食、ほぼカレーを作っている人です。特に好きなのは、インドカレー。自宅の台所をカメラが映すと、そこには一人暮らしには「大きいんじゃないの?」と思うような四人家族用っぽい冷蔵庫に、整頓されたシンクまわり、食器や調味料の入った棚がありました。シンク向かいの木製の棚には、ガラス戸から金属製の調味料入れが見え、その数は私が見たところ、ざっと50を超えてそう。その中身は、ほとんどがスパイス。ほかには、南アジア地域の調理器具があるんだとか。

 

ある日、番組スタッフが材料を買いに行くカリー子さんに同行すると、東京の新大久保はコリアンタウンの反対側、インドやスリランカ、ネパールの食材を扱う商店エリアに向かいました。カレーマニアには聖地!その店のひとつに入り、スパイス棚に番組スタッフを連れて、カリー子さんは目を輝かせて魅力を語ります。そんな女子大生は、あるお店に週に三回通っていたそうですが、インドのほう出身と思わしき店員さんに「自分のことが好きで、このお客さん、お店に来てくれているのかな?」と勘違いされたことがありました。店員さんに「(私たちは)いつ結婚するの?」と尋ねられたそう。カリー子さんは結婚する気がないわけで、そのお店に通いづらくなったそうです。なかなか、大変そうですね。

 

材料を買ってからは、自宅でカリー子さん、さっそくカレーを作っていきます。どんな手順かというと、

まず、油をひいたフライパンでスパイスを炒めて、そこへスライスしたたまねぎを投入。あめ色になったところで、ヨーグルトとスパイスで味付けしたマトンを投入して、炒める。仕上げにバター、スパイス、香りづけの「カレーリーフ」を入れる

 (カレー沼まとめ - NHK 沼にハマってきいてみた

という具合。ちなみに、このカレーリーフは作っている人が部屋で栽培したもの。鉢植えやプランターの野菜作りでは、枯らしまくって悲しい思いをしていた私は、カリー子さんが探究する料理の材料をちゃんと育てているところに、尊敬の念を感じざるを得ません。

 

カレーが完成すると、食べ方も本場の「手食」のやり方で食べます。詳細は、「カレー沼まとめ - NHK 沼にハマってきいてみた」(2018.11.14(水)、18:55、Eテレ 放送)に記載されていますので、そちらをご覧いただくとして、日本でインドカレーを作るのに限界を感じたカリー子さんは、大学在学中、カレーの作り方を学びに、インドへ留学したこともあるんだとか。番組の最初、ホームステイ先でそのお家の方がカレーを作る様子の映像が流れ、手で食べる方法も学んでこられたのかな?と私は思いました。なお、番組収録後、またインドにカレーを食べに行くそうで、カリー子さんはフットワークが軽い感じ。

 

カレー作りを始めたきっかけは、姉に作ってあげたいと思ったこと。そこから、どんどんと「沼」にハマっていき、現在のカリー子さんになったそうです。将来はどうするのかというと、スパイスの研究をしに東京大学の農学系のところに大学院進学を決め、猛勉強をした様子を番組で語っていました。そのハキハキした口調に、私は「好きな物を持てて、それで大学院進学を決められるって、いいなぁ」と感じて、思い切りのよさに笑いを吹き出してしまいました。

 

そんなカリー子さんは、ちひろさんによると、カレーマニアの業界では有名人ということです。どのくらい有名なのか、まったく存じ上げなかった私が調べたところ、既に今回の放送の一年前には「印度カリー子とは?20歳女子大生が語るインドカレー愛がすごい!独占インタビュー【0↣1Story】 | フリーランスの仕業」(2017.11.05付)でインタビューされたほか、複数のWebメディアで紹介されいました。「フリーランスの仕業」によると、陸上部で大会に出たり、数学でオリンピックに出たりしたけど、いまいち熱中できず、唯一、カレーだけが好きで続けられたんだとか。

 

そんなカリー子さん、ご自身のサイトでカレーのレシピを公開されたり、プロデュースしたカレー商品を販売されたりしてます:

indocurry.thebase.in

外部には「印度カリー子のスパイスショップ - Yahoo!ショッピング」を開設。Webメディアでは、料理研究家として教室を開く様子もうかがえ、ブログのレシピやスパイスの製造を依頼しているところのレポート記事も、しっかりしています。もはや「好きなカレー探究で、自身が生活していけるくらい、仕事として成り立ってそう」なレベル。

 

印度カリー子さんの大学院でのスパイス研究、ちょっと楽しみです。

 

 

3.ちひろの場合~17歳の日々はカレー中心に回ってる~

二人目は福岡県在住、17歳のちひろさんが主人公です。年間150回もカレーを食べ歩き、休みがあれば、東京や大阪に遠征してしまうほど、カレー好き。東京遠征の時は、3泊4日で17ものお店を回ったんだとか。ちひろさんがある日、福岡県内のカレー店に行くというので、番組スタッフが同行すると、その食べ方の拘り方が見えて、私もびっくりしました。例えば、

  • カレーの味を見極めるため、空腹では来店しない(空腹だと、なんでもおいしく感じるから)
  • 黙って、もくもくと味わう
  • 質問があれば、お店で作っている方にする

といったことを、ちひろさんは、されているようです。実際、取材先のカレー店で、ちひろさんが質問をする様子に、MCの一人が店員さんが謎な客がやってきたと思ってそうだとツッコミ入れるシーンがありました。

 

ちひろさんのカレー好きは、中学生の時の日記から既に見えます。映像では、ある日の日記欄は2/3が「カレー」の文字で埋まっていました。「カレーを食べた~い!」と心で叫んでいたでのはないか、とご本人が答えます。スタジオでは、カレー愛の止まらない!食べ歩きをしている息子に対し、ご両親はどう思っているのかというと、「カレーのことなら、仕方がない」ということ。

 

極めつけは、カレーのために夜間の定時制高校に行くことを決め、ご両親も認めたというところでしょうか。進路決定の決め手は、

  • カレー屋さんは夜間にやっているところより、日中の営業のほうが多い
  • 日中にカレー屋をめぐりたい

の二点です。バイト先はいうまでもなく、カレー屋さん。そこの店長は最初「生意気なのが来たな」くらいだったそうです。ちひろさんは、カレー屋で修業をし、稼いだお金をまたカレー屋をめぐって食べるのに費やす。

 

まさに、ちひろさんはの生活は「カレー中心に回ってる」と言ってよいでしょう。ついでに、彼の経済活動もカレーで回っていますね。

 

 

4.最後に

番組では、「芸能界きってのカレー好きだというTKO・木下隆行さんが、おいしい「ご当地レトルトカレー」を紹介」する方に話は向かいますが、本記事の主旨は別のところにあるので、割愛します。

 

その主旨とは、カレーへの探究心が甚だしく、それでスパイス研究を目的とした大学院への進路を決めたカリー子さん、カレーの食べ歩きと作る修行のために定時制高校に通うちひろさんの生き方を紹介することでした。カレーが好きで好きで、食べることも、作ることも極めようとする姿は、まさに「研究者」といってよいでしょう。彼らは興味・探究の対象を料理や食事にしていることで、自ら好きなことを仕事とすることができ、それで食べたり、また研究を継続したりするのは、番組を見ている私も心が満たされるようです。

 

就職するのではなく、好きなことのために進路を選ぶというのは、大学の学部生の場合、一般的には、かなりの勇気が必要でしょう。それは今回の場合、定時制高校を選択して通うことにした、ちひろさんも、同様だと思われます。印度カリー子さんの場合、それまでの人生でなかったほどに熱狂したのがカレーであり、大学在学中の時点で、作り方を伝授すること、スパイスやルーの商品開発がお金になるレベルになっていること。これが、スパイス研究で院進学をする大きな自信になったと、私は推測しました。ちひろさんの場合も、食べ歩くだけでないく、自分で作って技術を磨くことが、将来的には自立する道のひとつに十分なり得る好きっぷりであり、ご両親がそれを認めたことが大きいとも思われます。

 

もし、今回の記事をご覧にいなった方で、「何かを研究したいと思っているけれど、将来の生活が不安だ」という読者がおられたら、自分が好きなこと。すなわち、探究できる対象とその関連産業を武器に、どう収入を得られるか?経済的な面で、どう生活と活動を回していくか?そのあたりを調べて、書き出してみると、よいかもしれません。

 

今回の「沼」は食べ物がテーマでした。カレーをはじめ、料理をコンテンツとしてみると、調理動画の大手「クラシル」運営会社に対するWeb記事では、「流行に左右されるファッションと違い、食のコンテンツなら古びない」ことが指摘されています *2。つまり、食はいつの時代も人間の関心事であり、お金になる可能性がある物なのです。興味の対象が複数かる方は、こういったポイントで進む道を選ぶのもありではないか?と。歴史上の偉人達たちが食べていた料理の再現レシピも複数、出版されていますし。例えばこれ:

 

ここらへんが、本記事のまとめでした。だからといって、料理が好きでない人もいらっしゃると思いますので、あくまで、ご参考のひとつまで。調理に関心の少ない私は、どちらかというと、カレーが生まれた南アジア方面の気候や文化、歴史が気になります。機会があれば、次のような本も読みたいです。

 

 

おしまい。

 

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