仲見満月の研究室

元人文系のなかみ博士が研究業界の問題を考えたり、本や映画のレビューをしたりするブログ

◆告知◆オンライン即売会「書物の変!」 #しょもへん に出ます~紙の本の宴~

弊サークルの仲見研は、オンラインで開催される同人誌やZINEの即売会「書物の変!しょもへん」:

shomo-hen.hbp-npo.org

書物の変! – 紙の本の宴 2020年6月7日(日)オンラインで開催

に出展することに致しました。このイベントは、

オンラインのかたわらで、紙の本の宴が始まる。

祭囃子はない、神輿はない、出店もない。

紙の本だけが存在する場。(モニター越しだけどね)

 

「書物の変」はZINEや同人誌の販売をするWEBショップのリンク集です。

主に出店者さんのイチオシ冊子の書影と短いコメントを載せて表示し、直接ショップへ誘導します。

 (書物の変! – 紙の本の宴 2020年6月7日(日)オンラインで開催

というもので、何やら面白そう。

 

以下に、簡単な情報をまとめておきたいと思います。

 

 

  • 開催場所や日時
  • 仲見研の出展情報
  • おすすめ同人誌のお品書き
  • 頒布物お買い上げに関する注意事項
  • おわりに

開催場所や日時

 

イベント当日、上記の会場URLに行くと、

 といった感じの雰囲気で、出展者のショップへ行くアイコンが表示されるんだとか。

 

 

仲見研の出展情報

naka3-ken.booth.pm

 

 

おすすめ同人誌のお品書き

今回のWeb即売会でおすすめの同人誌をお品書きにまとめました↓

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 ●漫画で知る世界各地の暮らし本 『なかみ博士の気になる学術系ニュース』'20年3月 春号(オンデマ版あり) - 仲見研 - BOOTH

naka3-ken.booth.pm

通称「漫画で知る世界各地の暮らし」特集号です。オンライン漫画で、

  • 19世紀頃の北欧が舞台の漫画版『北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし』
  • 18世紀のチベットが舞台の『テンジュの国』
  • 21世紀のベトナムの都市が舞台の『リトル・ロータス

の日常生活や起こる事件、年中行事などを通じて、各地の様々な家族の物語を読み解く内容。ほぼ、作品に対する私の萌え語りですが、関連地域の学術文献のブックガイドも付けています。詳細な本の紹介記事はこちら↓

naka3-3dsuki.hatenablog.com

『なかみ博士の気になる学術系ニュース』'20年3月 春号の情報まとめ~漫画で知る世界各地の暮らし本~('20.3.18、21時台の更新) - 仲見満月の研究室

 

 ●#中東 特集『なかみ博士の気になる人文・社会系ニュース』2018年2月 冬の増刊号 #BOOTHFestival - BOOTH

naka3-ken.booth.pm

特集は「中東の近現代史を知る」です。複雑な中東の近現代史について、高校で世界史を教えていた経験をもとに、おすすめの漫画参考書、絵本、小説の紹介記事を中心に、現在の中東地域の地図を特集冒頭に置いたり、解説したりして、編集しました。2018年2月の現在の中東地域の地図を特集の頭に入れたので、国の位置が分からなくなった時は、確認できるようになっています。後半では、梨木果歩著『村田エフェンディ滞土録 』とその関連小説を軸に、オスマン朝トルコの皇帝(スルタン)の招きで、文化財の保存や管理の研究者として、渡土した村田とその周辺の人々を通じて、第一次世界大戦に突入していく日本や、ヨーロッパの情勢を読み解きました。詳細な本の紹介記事はこちら↓

note.mu

【’18年2月の新刊】『なかみ博士の気になる人文・社会系ニュース』2018年2月 冬の増刊号|仲見満月の「分室」|note

 

 ●#忍者 学特集『なかみ博士の気になる人文・社会系ニュース』'17年11月 秋の増刊号(第2刷 重刷版、オンデマ版あり) - - BOOTH

naka3-ken.booth.pm

日本史関係で熱い!という忍者に関する研究ニュースを特集しています。メディア作品と甲賀忍者の子孫宅で発見された「秘伝」忍術書の話題に、中国や韓国の忍者のような職の人物画が出てくる漫画紹介の記事、三重大学が力を入れている忍者学の研究をめぐるニュースを収録しました。全体的な本の紹介記事はこちら↓

c.bunfree.net

「『なかみ博士の気になる人文・社会系ニュース』2017年11月 秋の増刊号」仲見研(なかみけん)@第二回文学フリマ京都 - 文学フリマWebカタログ+エントリー

 

 

頒布物お買い上げに関する注意事項

書物の変では、BOOTHショップの各本の商品ページを下へスクロールすると、出て来るリンク先にて受注生産式(プリントオンデマンド、POD)による頒布となります(サークル代表者の体調不良で、現在、休養中で心身に負担をかけないため)*1。リンク先のBOOTHショップのTopにあるインフォメーションをお読みの上、ご注文下さい。ご不便をおかけ致しますが、ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

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【 min.t (ミント)まとめ】「『つけびの村 噂が5人を殺したのか』の個人的感想ツイートまとめ」

<お題「#おうち時間」その3>

自宅にいる時間が長くなる間、持っていた本を読み進めています。今週は、その中の1冊のルポルタージュ

f:id:nakami_midsuki:20200529012334j:plain

つけびの村  噂が5人を殺したのか?
 

 を読み、感想をツイート。

 

そして、感想ツイートを「min.t(ミント)」(Togetterの運営するサービスで、Togetterよりまとめが拡散しにくいツイート連動サービス)でまとめました:

min.togetter.com

『つけびの村 噂が5人を殺したのか』の個人的感想ツイートまとめ - min.t (ミント)

 

この本は、2013年7月に山口県周南市の山間部の郷集落で起きた連続殺人放火事件の取材をもとに、まとめられたnoteの連載記事がもとになっています。事件の起きた郷集落を中心に、犯人とされる人物Hの経歴や、帰郷して親の面倒を見るようになったHと彼を取り巻く郷集落の不気味な様を、サブタイトルの「噂が5人を殺したのか」に絡めて、浮き上がらせる内容になっていました。

 

min.tのまとめ内では、実際の事件に関わった作中の人々の名前について、Wikipediaの事件の記事にならって配慮し、苗字の頭文字で呼んでいます。一度、感想ツイートのまとめを著者の高橋ユキさんにご確認いただいたところ、内容的に問題がないということでした。感想ツイートでは、現代の日本社会で、

  • 狭い共同体における「噂」や「悪口」・「いじめ」をめぐる問題や関わり方
  • 精神疾患を発症した人を早期に専門医のところへ連れていく重要性
  • 共同体の歴史と地元神社の祭神への信仰と畏怖、および「古老」が事件のことを解釈する精神的な背景

といったことに関して、触れています。ぜひ、ご覧ください。

 

おしまい。

メモ「日本の戦国時代を読む」~『 #世界の辺境とハードボイルド室町時代 』と星海社新書【 #刀剣乱舞 #FGO 】

<お題「#おうち時間」 その2>

  • 1.引きこもりと日本戦国期の文献読み~はじめに~
  • 2.『世界の辺境とハードボイルド室町時代』を読む~歴史の中の日本人のあり方と歴史学的な気づき~
    •  2-1.内容に関する感想コメント~世界の辺境と室町時代から現代世界へ通じること~
    •  2-2.歴史学関係の気づき~中国史が専門の人や日本史学の入門者におすすめのポイント~
    •  2-3.小結
  • 3.むすびに~『世界の辺境とハードボイルド室町時代』読了後の『刀剣乱舞』ユーザー向け推薦書~星海社新書の日本戦国期タイトル~

1.引きこもりと日本戦国期の文献読み~はじめに~

感染症の社会情勢への影響もあって、家にいる時間が前にもまして長引いていた2020年の前半。私は積読本の中から日本戦国期の文庫や新書を引っ張り出し、読んでいました。きっかけは、スマホ向けRPGFate/Grand Order』(FGO)で2019年の夏にあった「ぐだぐだファイナル本能寺」のイベント。

 

この回では、日本戦国時代がもとになっているものの、「各地の戦国大名が全部、信長」である作られた「世界」=ある種の特異点が舞台です。今回は、その特異点に飛ばされた主人公が、契約していた歴史上の英雄を戦闘員「サーヴァント」として使役し、共に「天下統一を目指す!」という戦略シミュレーション的な要素を持つイベントでした。

 

2020年の5月には早くも復刻されており、イベントのストーリーを進めていくと、ゲットできるキャラクターが長尾景虎でした。この人物、現実世界では上杉謙信として有名な戦国武将です。私はこのイベントで長尾景虎が好きになり、そこから日本の戦国時代の本を買い、読むようになりました。

 

日本の戦国時代に興味を持つうち、とうとう、ゲーム『刀剣乱舞 ONLINE』に手を出してしまいました。こちらのゲームには、歴史改編を目的とする敵の野望を阻止するため、時の政府がプレイヤーに対して、刀剣の付喪神に当たる「刀剣男士」を使役させて敵と戦い、歴史改編を阻止するというストーリーがあります。『刀剣乱舞』をプレイしてから、そろそろ、私は半年くらいになるでしょうか。

 

今の推し刀のキャラクターは、次郎太刀と脇差の骨喰藤四郎です。最近はイベント「慶長熊本」で連れ回すうち、弱いこともあって、なかなか、前へ進めませんでした。少し、話が脱線しましたが、私はこういったゲームではキャラクターのプロフィールを読み、現実世界の人物や刀剣にまつわるエピソードを調べては、彼らの生きた(いた)時代をイメージすることを楽しんでいます。

 

もともと、私が研究対象にしていたのは中国前近代の生活文化史・歴史人類学的な分野で、その時代に生きていた人たちの暮らしや精神性を知りたいと思い、調べていました。最近、日本の戦国時代のことを調べていると、やはり、戦乱の中を生きる人々の食生活やメンタリティが気になり出します。そのあたりを知るのに、とっつきやすくて、大学で歴史学を齧った私の欲求を満たしてくれる本を探すうち、こちらの本にたどり着きました↓

 私が買った文庫版は、帯付きでこんな感じ↓

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本書は、アフリカのソマリアをはじめとする辺境地域を取材し、伝えるノンフィクション作家の高野秀行さんと、室町時代の人々の暮らしをフィールドにしている歴史学者の清水克行さんが、己の専門の知見や体験談をもって「ガチでぶつかった奇跡の対談本」です。家に引きこもっている今年の2~4月に、笑ったり、泣いたりしながら、最後のボーナストラック対談、解説まで全体で450ページ近くある本文を読みました。

 

本作で、高野さんは清水さんのよく知らないソマリアソマリランドのことを、清水さんは高野さんのあまり知らない日本の室町時代のことを中心に語り、理解を深めていくのが内容的なコンセプト。のはずが、突き詰めると「(対談者たちにとって)世界の辺境地域のソマリアソマリランドと、過去の世界である日本の室町時代は案外、似ているところがある」と2人が認める展開になっていました。

 

本書は、対談者がお互いに自分の専門でない事柄について、語り合い、質問をし合って理解を深めていくタイプの本であり、話の展開によっては、どちらか一方が講師で、もう一人が生徒になる感じでした。日本の戦国期をよく知らない私が読んでも、スーッと入っていました。率直にいうと、面白かったです。

 

また前置きが長くなりましたが、今回は本書こと『世界の辺境とハードボイルド室町時代』の私から見たポイントを前半でコメントします。後半では、本書の読後に手に取っると理解が深まりそうな星海社新書の日本戦国期の本の紹介ができたらと思います。

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