仲見満月の研究室

元人文系のなかみ博士が研究業界の問題を考えたり、本や映画のレビューをしたりするブログ

【メモ】日本と中国における人間の姫君と狐の異類交流譚~`19年 #センター試験 #古文 出題の「玉水物語」、および「封三娘」の情報まとめ~(2020.6.23、13時台にリンク切れ確認)

<日中にある異類交流譚>

  • 1.はじめに
  • 2.人間の姫君と狐の異類交流譚~`19年センター試験の #古文 出題の「玉水物語」と中国の「封三娘」の話~
    •  2-1.「玉水物語」について~読める場所とその内容~
    •  2-2.「封三娘」について~論考を使ったあらすじ解説~
  • 3.最後に

1.はじめに

この週末、2019年のセンター試験を受験された皆様、大変お疲れ様でした。毎年、センター試験の出題内容について、各教科で話題になることがあります。たとえば、昨年の社会科地理Bのことは「【ニュース】「センター試験地理「ムーミン」出題が話題 不正解受験生嘆き 公式ツイッター「反省」」(スポニチAnnex) - なかみ・みづきの灰だらけ資料庫(書庫)」で掘り下げて触れました。

 

今年は何が話題かと調べていたら、英語のリスニング問題では、野菜に翼が生えたようなキャラクターが登場し、早くも「センター試験の英語リスニング第1問のイラストがユニーク過ぎて話題に 「いきなり笑わせに来るな」 - ねとらぼ」で色付きのイラストが挙がっていました。また、「なぜ作った センター試験の謎キャラ、速攻で3D化される「先を越されないようスピード優先で仕上げた」 - ねとらぼ」といったとが報じられ、私は爆笑の渦におります。

 

さて、今年は私の周りでもうひとつ、国語の古文に出題内容が色んな意味で話題になっていました。それは、『御伽草子』に収録されたエピソードの「玉水物語」。どういった内容だったか、産経新聞のオンラインニュースによると、

国語の古文では、室町時代成立の御伽草子「玉水物語」から出題され、受験生の間で話題になった。美しい姫君に恋をした狐が男性ではなく少女に変身し、姫君の側で仕えるという異色の物語。

倫理で「家族」テーマの出題も センター試験 - 産経ニュース、019.1.19 21:54付)

といった、いわゆる異類恋愛・婚姻譚の一種だと窺えます。ちなみに、難易度は「各予備校は「解きやすい」(河合塾)「やや易」(ベネッセ・駿台)などと分析」されています。詳しい問題内容は、以下の朝日新聞デジタルのページで公開されており、本記事と合わせてご覧ください。

www.asahi.com

(「国語 第3問 - 2019年度大学入試センター試験:朝日新聞デジタル」、古文)

 

今回、「玉水物語」のストーリーを調べたところ、似たような話が中国の古典文学作品にもあった覚えがありました。その話とは、清代の怪奇譚集『聊斎志異』に収録の「封三娘」です。両者は、人間の姫君に恋する、または仲良くなりたいと思った狐が人間の娘に化け、傍に仕える、もしくは交友関係を結ぶといった近さをもちます。なお、便宜的に本記事では、こういった物語のジャンルを便宜的に「異類交流譚」と呼ばせてください。ちなみに、両者に関する論考には、文学分野で比較研究があります↓

 ●CiNii 論文 - 安藤 みな子「 御伽草子『玉水物語』考--『聊斎志異』封三娘との比較」『愛知大学国文学』、第44号、2004.12(※学術リポジトリ等による無料公開ではない)

 

「玉水物語」と「封三娘」のことを調べ、ツイートしたところ、Twitterで複数の方にご反応を頂きました。ここ数年、中高の国語科目の古文の要・不要が議論されており、そういったなかで、漢文も含めた古典分野の面白さを伝えようとしていた私には、ちょっと嬉しい出来事でした。せっかくですので、調べた情報を本記事にメモ的にまとめておきます。

 

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(画像:化け狐イラスト - No: 856775/無料イラストなら「イラストAC」

 

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(画像:十二単姿の女性イラスト - No: 1304743/無料イラストなら「イラストAC」

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【'18年2月の話題】「春節なのになぜ帰省しない? 春節恐怖症に陥る中国人のホンネ」(中島恵、 Yahoo!ニュース個人)

<さてはて'19年はどうなる?>

  • 1.はじめに
  • 2.「春節なのになぜ帰省しない? 春節恐怖症に陥る中国人のホンネ」(中島恵、 Yahoo!ニュース個人)~2018年の旧正月を振り返る~
    •   2-1.中国の年越し文化について~年夜飯・新年の挨拶状・紅包~
    •  2-2.「結婚しなさい」の言葉が嫌で帰省したくない
    •  2-3.「民族大移動」でグッタリはウンザリなことも
    •  2-4.合計60万円を超えることもあるお土産も負担に  
  • 3.最後に

1.はじめに

今回は、「2018年度が終わるまでに、その年にあったけど、話し損ねたテーマを取り上げよう!」という、思いつきの企画です。本記事では、「中国の旧正月こと"春節"、2018年はどんな感じだったんだろう?」と、次のYahoo!ニュース個人を読みます↓

news.yahoo.co.jp

春節なのになぜ帰省しない? 春節恐怖症に陥る中国人のホンネ(中島恵) - 個人 - Yahoo!ニュース、'18.2.18公開)

 

この中島恵さんのニュース記事を読むと、日本以上に年配の方々の皆婚意識が高く、両親や親族に結婚をするように言われれることに疲れたアラサーの人たち。春節前の移動にともなう混み合いを不安に思って帰省を取りやめる働き盛りの人たちがいて、近年の中国も日本と変わらない悩みを抱える若い世代の存在に気がつきます。

 

今回は、一年前の2018年の春節を背景に、昨今の中国が抱える人々の「悩み」について、考えていきます。読者の皆様には、ご自身が年末年始をお過ごしの地域や、関わっている文化圏のお正月に引きつけ、近い感覚でお読みくださったら、と思います。

 

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キョンシー映画などの作品に関する「ふんわり」した話~それと論考集や #吸血鬼 の関連作品も少し【'18.9.24、00:27に注釈追記】~

<本記事の内容>

  • 1.はしがき
  • 2.キョンシー映画(やドラマ)に関する「ふんわり」した話~一応、論考も挙げてみた~('18.9.24、0027追記)
  • 3.最後に
  • <関連するテーマの記事>

1.はしがき

話題は、昨夜の我がTwitterタイムンラインの提供でお送り致します。執筆管理人が「お勉強」で忙しいため、タイトルどおり「ふんわり」したお話になりますこと、ご寛恕ください。

 

さて、発端は何を隠そう、私がフォローしている方には、海外の映画やドラマがお好きな方々がいらっしゃり、特に最近はゾンビ映画やゾンビの出てくるドラマの話、ひしめきあっております。自分の研究対象の地域が中国であることを思い出しまして、

というツイートをしましたところ、複数の方からコメントを頂きました。 

 

今回は、執筆管理人の仲見とフォロイー&フォロワーの方々が下さったコメントを簡単に取り上げつつ、話をしていきたいと思います。それに来月末は、”万聖節”、つまりハロウィンだしね!

 

 

2.キョンシー映画(やドラマ)に関する「ふんわり」した話~一応、論考も挙げてみた~('18.9.24、0027追記)

上記のツイートをした後、いちばん早くコメントを頂いたのが、吸血鬼の小説を書かれている方*1でした。その方によると、映画では

  • 吸血鬼もの、カンフーものに入れると、何かはみ出すっぽい
  • 現在はゾンビものが人気であり、そちらに入れることがある

そうです。

 

格闘ゲームの「ヴァンパイア」シリーズ(リザレクションはVR)には、「レイレイ」というキョンシーがモチーフのキャラクターが出てきます。また、キョンシーに噛みつかれる・かじられるとか、作品によっては、キョンシーの溶けた水に触れると、触れた生者もキョンシー化する描写は、吸血鬼との類似点といえるでしょう。

 

もともと、キョンシーは、中国の葬儀に関する論考を読んだところ、精神を司るほうの「たましい」が抜け、きちんと遺体が埋葬されなかったら、死者は子孫に悪霊の存在となるとされているとか。詳細は次の本に入っている諸々の論考をお読みください:

 

*1:サークル「バイロン本社」で、吸血鬼の小説ほか、同ジャンルの映画評論をお書きになっています。来月7日の即売会イベント「尼崎文学だらけ」にご出展予定とのこと。ご予定の合う場合、行かれてみてはいかがでしょうか:

尼崎文学だらけの「バイロン本社」

 

また、BOOTH通販もあるそうです:

takoyakiitigo.booth.pm 

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