仲見満月の研究室

元人文系のなかみ博士が研究業界の問題を考えたり、本や映画のレビューをしたりするブログ

【復刊リク応援】児童書で読むケルト戦士の物語~サトクリフ作品の #クー・フーリン と #フィン・マックール~('19.3.29、23時台の追記)【 #FGO 関連】

<サトクリフの神話・伝説の児童書を紹介>

  • 1.はじめに
  • 2.ケルト神話の「物語群」と二人の戦士の物語の違い
  • 3.『ケルト神話 炎の戦士クーフリン』について
    •  3-1.物語の序盤を中心にした内容紹介
    •  3-2.本書に対する感想やコメント
  • 4.『ケルト神話 黄金の騎士フィン・マックール』について
    •  4-1.物語の序盤を中心にした内容紹介
    •  4-2.感想やコメント
  • 5.むすび~著者サトクリフのこと、および復刊に関するお願い~ ('19.3.29、23時台の追記)
  •  
  • 6.ケルト翻訳マンのnote.mu紹介('19.1.23、14時台の追記)

1.はじめに

スマホ向けRPGFate/Grand Order』(FGO)を年末年始に始めました、管理人の仲見満月です。このゲームを始める前から、私が好きなキャラクターの一人に、スカサハがいます。彼女はケルトの女戦士で「影の国の女王」とも言われています。弟子のクー・フーリンと共に、ほかのFateシリーズへの参戦歴や、スカサハと縁のあるスコットランドのスカイ島に関しては、次の「分室」note.muにまとめました↓

note.mu

スカイ島で「1.6億年前の恐竜の足跡、空白の時代知るヒント」(ナショナルジオグラフォック)~「影の国」の女王と「時空を超える」ゆかりの地~|仲見満月の「分室」@ #院試 の相談受付中|note

 

ここ最近、改めてケルトの伝説や神話を知ろうと、井村君江氏の入門書:

ケルトの神話―女神と英雄と妖精と (ちくま文庫)

ケルトの神話―女神と英雄と妖精と (ちくま文庫)

 

を読んでいました。同書は、「ケルトとは何か?」という話、ケルト神話の舞台、物語群の違いから、具体的な神話や伝説の内容を含めて紹介したものです。これ1冊で、日本のゲームや漫画、小説等のメディア作品のケルトを題材にした多くの元ネタは、把握できるでしょう。出土品やケルト戦士のブロンズ像など、文物の写真も掲載され、イメージをつかむにはよさそうだな、と。

 

さて、本ブログでは昨年の秋に、「児童書で読む人文学シリーズ」と題して、

 ・主に古典文学や歴史などの人文系分野のテーマで、地図や登場人物の関係図が入っていて、親切な構成で、とっつきやすい内容

 ・平易な文章でありながら、成人が読むに耐えるもの

を条件に、主に10代までを対象とした本を選び、レビューしました。この企画で紹介した本を振り返るうち、「ケルトの神話や伝説に関する児童書で、できたらFGOに出てくる戦士の物語を取り上げたい!」と考えるようになりました。

 

そんな中、偶然、クー・フーリンに関する本ついて、次のようなツイートを発見!

 

それは、こちらの本です↓

ケルト神話 炎の戦士クーフリン

ケルト神話 炎の戦士クーフリン

 

 

この本の著者ローズマリー・サトクリフは、ヨーロッパの神話や伝説といった「物語」を子ども向けに再話した作品で知られるイギリスの作家。10代の頃、 私はサトクリフの作品に親しんだことがありました。そのなかには易しい文体ながら、成人が読んでも耐えうる日本語に翻訳された本もあったように思います。

 

版元のツイートでは、本書には復刊依頼が来てアンケートを取っていました。ふと「クー・フーリンの本のほか、同じ版元からは、フィアナ騎士団の団長フィン・マックールの本も出ていたはず」と調べたら、次のフィン・マックールの本も絶版していました...

ケルト神話 黄金の騎士フィン・マックール

ケルト神話 黄金の騎士フィン・マックール

 

 

というわけで、今回は

  • ケルトの神話や伝説で、とっつきやすいこれらの本を紹介すること
  • 絶版している上記の本の復刊応援をすること

を目的として、クー・フーリンとフィン・マック―ルに関する児童書について、内容に触れつつ、紹介したいと思います。ところどころ、井村君江氏の『ケルトの神話』の助けを借りながら、説明を加えていきたいです。


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新たな本との出会いを「福袋」で~日本各地の図書館の取り組み(毎日新聞)~

<福袋はお好きですか?> 

  •  1.はじめに
  • 2.新たな本との出会いを「福袋」で~日本各地の図書館の取り組み(毎日新聞)~
  • 3.最後に

 1.はじめに

 福袋とは、「前もってその中に種々のものを入れて口を閉じ、中身がわからないようにして各人に選び取らせる袋」で、「余興や商店の正月の売り出しなどに出す」もの*1です。

 

日本では正月になると、衣料品、菓子や玩具、家電をはじめ、様々な商品を扱うお店で福袋が売り出されます。毎年、有名なデパートの初売りの話題では、限定販売の福袋を手にしようと長蛇の列をなす客への様子を、私はニュースで見てきました。福袋といえば基本的には「中に入っている物が分からないものから、くじを引くように選ぶ」ものであり*2、私はそのワクワク感がたまりません。昨年の年明けには近所のスーパーで福袋を買い、今年は出かける先で福袋コーナーを徘徊してしまいました。

 

さて、福袋のイベント性に目をつけているのはお店だけではなく、日本各地の図書館も同じようです。今回は、そんな「本の福袋」に関する毎日新聞のオンラインニュースをご紹介いたします。

 
f:id:nakami_midsuki:20190107121702j:image

(イラスト:干支いのしし6/10(福袋)イラスト - No: 1301487/無料イラストなら「イラストAC」

 

2.新たな本との出会いを「福袋」で~日本各地の図書館の取り組み(毎日新聞)~

2019年の正月に、「本の福袋」を準備して貸し出しする企画をしたのは、次の新潟県新発田市滋賀県草津市、福岡県宇美町のニュース記事に出てくる各自治体の図書館です。

 

mainichi.jp

(「 本の福袋はいかが 新潟・新発田市図書館 」、毎日新聞、最終更新 12月30日 11時30分

 

mainichi.jp

(「「新たな本との出会いを」草津市立図書館が本の福袋を貸し出し 」、同上、最終更新 1月3日 13時06分、)

 

mainichi.jp

(「本の福袋」 新たなジャンルの本と出会いも 福岡」、同上、最終更新 1月6日 19時44分)

*1:デジタル大辞泉』にある解説「福袋(フクブクロ)とは - コトバンク」をご参照ください。

*2:この年始に出かけたショッピングモールでは、衣料品店の店先に服入りのバッグが「福袋」として売られ、横のマネキンがブランド別にバッグの中身の服(カラーはランダムに封入)を着用。最近は、袋の中身を見せた上で販売するところが増えているようです。

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仲見研のブログ群で取り上げてきた本の2018年ランキング・トップ10~今年の話題を振り返る~

<今年は取り上げた本の人気ランキングです>

  • 1.はじめに
  • 2.ブログ群全体の2018年の本の売上合計数のランキング('18.1.1~12.27)
  • 3.ランキング・トップ10の本で今年の振り返り
  • 4.さいごに 

1.はじめに

2018年も残すところ、本日28日を入れてあと4日となりました。年末年始の行事で、2019年1月の半ばまで忙しくなりそうなため、少し早いですけれど、弊ブログ群(仲見満月の研究室仲見満月の「分室」|note.muなかみ・みづきの灰だらけ資料庫(書庫))で取り上げた本の人気ランキングを発表したいと思います。このランキングの基準は、

をもとに作成しています。電子書籍Kindleと紙書籍の重複は同タイトルの本1種とみなし、「よく読まれたもの」を基準に本の売り上げ合計数をもとに人気ランキングを作成しました。本記事では、その本のなかで2018年に取り上げたブログ群の記事を通じて、この1年を振り返ってみたいと思います。

 

なお、昨年(2017.1.1~12.31の期間)のランキングは、売り上げの合計金額をもとに、人気ランキングを作成。集計の基準は異なりますが、。

 

 

2.ブログ群全体の2018年の本の売上合計数のランキング('18.1.1~12.27)

集計自体だと、第9位から第2位は、紙書籍あるいは電子書籍が各々1種類ずつ異なる本が入りました。第1位には紙書籍、第10位に電子書籍で、ともに岡崎正文さんの『文系 大学院生サバイバル』 が集計トップ10にランキング入りしたので、同名タイトルとして第1位に組み入れ。集計で第11位に入った加地伸行さんの『漢文法基礎』を繰り上げ、「2018年のブログ群全体の本の売上合計数のランキング('18.1.1~12.27)」の第10位にカウントしています。

 

それでは、第10位から見ていきましょう。

 

10.漢文法基礎 本当にわかる漢文入門 (講談社学術文庫)

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