重要な論文の執筆中に心身の調子を崩してしまった人へ~博論締切直前に風邪をひいた元博士院生から~
<今回の内容>
1.はじめに
どうも、咳の色々な薬にお世話になっている、ここの執筆管理人です。人文科学系の学部では早いところで今月中が締め切りの卒論、修士課程ではもう少し先の締め切りの修論に取り組んでいる学生の皆さんが、世の中にはいらっしゃると思います。あるいは、やっと条件がそろって締切の決まった博士論文を書いている方。
そういった皆さんのなかには、大切な執筆の時期に限って、体調を崩してしまうこともあると思います。私の場合も、そうでした。更に、私がいた研究室では、自分以外の先輩方の何人かが博士論文を私と同じ締め切りに出すという、緩いボスがいなかったら、ものすごい緊張を強いられた環境で、学位論文を書いていました。
弊ブログでは、今まで院生の論文執筆が中心の研究生活について、
【2017.4.23_1240更新:目次】卒論・修論・博論・投稿論文の執筆者向けライフハックっぽい記事まとめ - 仲見満月の研究室
【2017.4.23_0100更新:目次】研究室とその周辺での寝食と日常生活~食べる・寝る・移動する・買う・貯めるからストレス解消まで~ - 仲見満月の研究室
などの目次にまとめた記事に、重要な論文執筆中に体調を崩してしまったケースを考えて、情報を整理して公開してきました。
今回、私自身が咳のひどい風邪にかかってしまった個人的な経験から、過去、自分が博論締切直前に風邪をひいた時、どうやって研究室や大学院とその周辺の環境で、日常生活を送っていたのか、思い出してみようと思います。ただ、思い出すだけでは読者の方に有益な情報を提供できないので、今まで以上に掘り下げてみました。
なお、最初にお断りしておきます。あくまで、本記記事の内容は、私の周囲や私自身の大学・大学院の環境だから可能であったことがあると思われます。大学・大学院によって施設の管理システム、慣習、暗黙のルール等の環境面か異なっていて、実践が困難なこともあり得るでしょう。また本記事は、医学的に確かな根拠を備えた情報でもありません。その点を十分に認識されたいうえで、医療機関に相談の上、対処されることをお願い致します。
2.「何だか身体や心の調子がおかしい」と感じたら病院へ!
咳が出る、鼻水が止まらない。典型的な風邪の症状が出たら、まずはマスクを装着して、近くの病院へ行きましょう。高尾隆「卒論提出前に大事なこと」まとめ~修論と博論にも重要です~ - 仲見満月の研究室で、紹介した高尾隆さんのtogetterまとめツイートには、
10:最低限は寝よう。インスタントラーメンやお菓子だけで生き延びず、ちゃんとごはんを食べよう。(中略)ごはんを買ってくるときに、この時期はあまりケチらず、野菜ジュースやほうれん草のおひたしなど、健康のためのものを一品足そう。
13:うがい、手洗いをして、風邪を引かないようにしよう。風邪にかかりながら論文を書くのは本当にたいへん。一方、風邪を引こうが入院しようが卒業だけはなんとかできるように、提出1ヶ月前にはどんなひどいものでもいいから第一稿をつくってしまおう。
と書いてあって、色々と事前の予防や注意すべき点、そして症状がひどくて入院しても卒論や修論は書いて、卒業しよう!という重要なことが書かれていました。
身体を含めて、調子を崩した時に病院へ行くのは、博論を書いていた私にとって、同じ狭い院生部屋で博論を書いていた先輩方の体調を健全に保つという意味でも、重要なことでした。ちょうど、インフルエンザが流行を始めていた時期であり、「仲見さん、インフルエンザじゃないよね?」と疑いの言葉をかけられた私は、さっさと大学院近くの内科へ行き、引き始めの風邪という診断を頂きました。
何なら、インフルエンザに感染したか、という検査を受けてもいいでしょう。院を出た後、風邪を引いた私は、またも「お前、インフルエンザは勘弁してくれよ!会社の上司が厳しいんだから!」と勤め人の社会人同居人ズに疑いの目を向けられ、正月明けに今度は近所の耳鼻科へ行き、検査を受けました。鼻の中の粘膜を少し取ったか、何かで分かるらしく、その後、くしゃみと咳が止まらない中、医師から「インフルエンザではありませんね」と説明を受けました。
(それでも、風邪の症状はなかなか、楽になりませんでしたが…)
メンタルヘルスの調子を崩してしまった場合のお話です。私の時は、投稿論文を書いていた博士課程の途中の秋、ストレスが胃腸にきてしまいました。この時も、研究室に博論を出す予定の先輩がいらして、「何?仲見さん、ノロウィルスとか、感染性の腸炎じゃないよね?」と疑われる心配がありました。この時は、3日おきに文献セットをスーツケースに入れて、研究室と下宿を往復する生活でしたので、それをやめ、内科でストレスで胃腸が反応している診断を受けて、大人しく、下宿に引きこもってました。
デリケートな話をすると、女性の院生の場合、研究のストレスで、まるひと月、月経が来なくなる人、90日周期に月経が変化してしまう人等、いると聞いたことがありました。その他、上記の私の引きこもりが重度のものとなり、家から出たくなくなったり、研究室へ行こうとしても、身体が鉛のように重くて、研究室に行けなくなったり、そういう変化が出てくる人がいます。そういった場合は、メンタルヘルスの調子が崩れてきているサインですので、専門のクリニックの受診を早めにしましょう。
もし、うつ病だった場合、次の記事:
うつ病による視力低下 視力が1.0から0.4まで低下したときの僕の精神状態 - メンヘラ.jp
にあるように、視力が低下したり、読んだ文章の内容が頭に入って来なくなったりして、論文を書いているどころではない状態になってきます。
隣の研究室のU先輩の場合、休学を半年おく前、本人曰く、メンタル面がズタズタだった期間の記憶がおぼろげな上、「研究に必要だった論文が日本語なのに、読めなかった」そうです。復学後、読めなかった日本語の先行研究の論文が読めるようになったことから、「あの時、読めなかったのはメンタル的なことから、脳が認知の問題を抱えていたのでは?」と本人が仰ってました。
3.食生活について~研究室や学食の利用ほか~
料理嫌いな私ですが、 寒いこともあって、これ以上、体調を崩したくなかったのと、極力、研究室にこもって執筆をしていたかった時もありました。そういうわけで、
博論を書いていた時は、研究室にシリコンスチーマーを持ち込み、茹でられた野菜まんまの冷凍食品を蒸し、お粥に混ぜていました。なぜ、お粥かというと、寒暖差の激しい秋、大学院近くの宿舎に泊まり込みでいて、喉や鼻の調子が悪かったせいです。
ということをしていました。風邪を引いた時、私は喉や鼻に来たり、ストレスで胃腸を悪くしたりすることが多かったです。
そういうわけで、喉にひっかからないけど、お腹にたまりやすい(実際はたまらないかもしれない)ように、海苔や溶き卵入りの雑炊(「ちょっと雑炊」とか)、お粥に、ゆかりご飯や若菜ごはんの振りかけをお好みで入れて、食べていました。
はごろも わかめ混ぜご飯 若菜 30g (5802)×4個
丸美屋 しその香 業務用 250g
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ヒガシマル醤油 ちょっとぞうすい(さけ) 3袋入
ヒガシマル醤油 ちょっとぞうすい(かに) 2袋入
あとは、キャンパスの近所のスーパーで、冷凍カボチャやブロッコリー、お総菜の焼き魚を買ってきて、それらをおかずとして組み合わせていました。当時、私のいた院生部屋には、上等な電子レンジがあり、私がおやつに食べようとしていた冷凍カボチャを平皿に並べていたら、指導教員が先輩の論文添削しながら「これ、冷たいね」と言われ、「先生、それまだ解凍前のものです!」という、やり取りをしたことがありました。解凍後、先輩と指導教員の先生も入れて、蒸しカボチャをおやつに食べました(食費は私持ち)。
このあたりの院生の研究室生活の詳細は、過去の記事に詳しいです:
で、研究室に電子レンジやら、湯沸しポット等の家電がない場合は、学食や購買部。そしてそこに設置された調理器具が頼みの綱となります。
学食があるなら、丼物や定職が胃腸にとって重い場合、うどん類、そば類、きし麺と、野菜の惣菜小鉢の組み合わせが、弱った身体をささえてくれそうです。電子レンジがあれば、スーパーで買ってきた冷凍野菜を解凍しておかずにする。あとは、昆布の佃煮や浅漬けのお総菜が、麺類にも、お粥や雑炊にも、おかずとして無難かと。梅干しも、コンビニで小分けで売ってるので、おかずにおすすめです。単価は高いけどね。
それで、落ち着いたら、マスクをし直して、机に向かい、執筆再開です。
どうしても食欲が落ちて、液体に近い固形物をある程度、食べられない場合。それでも何か身体に入れて、服薬しないといけないなら、ヨーグルトやゼリーを執筆の休憩時間に食べて、薬を飲む、と。
Twitter上で見かけた話では、空腹でも食べたいと脳が考えない状態は、そのツイート主の方が受信した医師の説明では、「食欲がある」と言えない状態なんだそうです。そういうわけで、上記では、「食欲が落ちた」という書き方をさせて頂きました。
3.自分の健康状態や体質を他者と比較せず、マイペースに執筆する
そして、調子を崩したら、服薬をしながら、あるいは治療をしながらの執筆になります。院生時代にいた研究室では、私の博論執筆と同じ時期、風邪にかかっても、病院のに行った後、驚異的なスピードで執筆しながら体調が回復し、また規則正しい生活リズムを送って、健康になった研究者の人がおられました。
たまに、私から見れば「超人」な人たちはいます。彼らの一部、Y先輩のような人たちには、高校までの部活や、スポーツクラブ等で身体の基礎がしっかりしていて、その後も、健康的な生活が基盤にある人たちの場合が多いです。あるいは、個人的にある体質の差が大きいと思われます。
そのあたり、人によっては先天的な差としか、言えない人が身近にいました。
また、韓国の男性なんかは、兵役の後に博士号を取得しに来ていた人がいて、しっかりした健康な身体で、それを資本に博論を書いて、就職していきました。台湾にも兵役はありますが、そこから来た男子留学生も体力はあるほうなんでしょうか?それとも、単なる個人差なんでしょうか?
とりあえず、「超人的な人たち」に羨望の眼差しは向けても、密かに張り合ったり、ジェラシーにかられたりしても、ストレスためるだけで、身体に精神的にも、よくないと思います。卒論、修論、博論はマイペースに書けたら、書けるだけ、やってみてはいかがでしょうか?
4.最後に
以上、五月雨式に「重要な論文を書いている時期に、調子を崩しちゃったら、どうしよう?」という方に向けて、今まで書いてきたエントリ記事に追記しつつ、いろいろと思い出したことも加えて、掘り下げた記事を書いてみました。いかがだったでしょうか。
ここでは、最後に、体調やメンタルの調子を調えようとしている時、障壁になる存在について、もうちょっと例を出してみましょう。
例えば私みたいに、アレルギー体質やら、メンタルクリニックにかかってるやらで、大量の薬袋を抱えて、研究室で飲んでいたとしましょう。先輩や後輩、同期の院生といった研究室のメンバーに、
「え?そんなに薬出されて、飲んでいるの?大丈夫?」とか、
「それ、何の症状に効く薬なんだよ」とか、
大仰な反応されることがあるかもしれません。あるいは、ショックを受けたような表情を、あからさまに出す人もいるかもしれません。
でも、処方されて飲んでいる人は、気にする必要はありません。何か言われても、今は学位論文を他の人と同じパフォーマンスを出す目的で、飲んで精神と身体の調子を整えるほうが、重要です。処方された人が、在籍している教育課程を卒業・修了し、学位を取得するため、学位論文を期限までに書き上げるほうが、とりあえずは、研究室のメンバーに自分の状態を詳しく、伝える必要はないと思います。
(インフルエンザにはかかってないとか、ノロウィルスによる胃腸の不調ではないとか等、そのくらいは、TPOによっては説明が必要でしょうけれど)
我々の心と体は、青銅でも、鋼鉄でできているわけではなく、意外と脆いものなのです。しかも、その精度と耐久は、個人差が大きいのです。
といったことを、本記事のまとめとして、筆を置きます。
おしまい。