成立過程が歴代王朝の正史・明清の国家的編纂事業に似た「中国版Wikipedia」"Chinese Encyclopedia"計画(engadget日本版より)
<長い中国の歴史と"Chinese Encyclopedia"計画の繋がりについて>
- 1.はじめに
- 2.「中国政府、中国版Wikipedia構築のため2万人を雇用へ。」について
- 2-1.ニュース記事の内容
- 2-2."Chinese Encyclopedia"計画と歴正史の成立過程および明清の国家的編纂事業の類似点
- 2-2-1.中国史の王朝交代における正史編纂の意義と"Chinese Encyclopedia"の関係
- 2-2-2.明清の国家的編纂事業と"Chinese Encyclopedia"計画の関係
- 3.まとめ
- 4. 余談:その後『清史』編纂はどうなった?
1.はじめに
2017年の”黄金周”の後半初日3日、私は二度の中国訪問体験を中心にして、次の記事を書きました:
書く過程で、中国の近況を調べていたところ、中華人民共和国政府が「2万人もの人員を投入」して、中国政府公式のオンライン百科事典を構築させるらしい、というjapanese.engadget.comのニュース記事に遭遇。ざっと読んで、ツイートしました:
仲見満月 👻経歴「真っ白」博士 @naka3_3dsuki
成立過程が歴代王朝の正史を彷彿とさせます:
中国政府、中国版Wikipedia構築のため2万人を雇用へ。2018年公開に向け30万以上の項目を掲載 - Engadget 日本版
ツイートしたところ、思った以上に反応がありました。現在、中国史自体は私の専門ではありませんが、自宅の本をあさって再読したところ、ちょっとニュース記事について書けそうな感じ。今回の中国政府の"Chinese Encyclopedia"は、中国歴代王朝の正史の成立過程、それから明の『永楽大典』や清の『四庫全書』等の国家的編纂事業と人の使い方・編纂と同時期に情報統制が行われたこと(特に清朝)が似ているように思い、ちょっと頑張って書いてみることにしました。
(イメージ画像:漢文)
続きを読む2000年代後半以降の二度の中国訪問時の体験談と職業研究者を目指す人に向けた留学・就労メモ+補足で本紹介
<今回の目次>
- 1.5月の祝日と東アジアの国々
- 2.「タダでも中国には行きません 深刻な学生の中国離れ 一方通行の学生交流、このままでは情報格差が広がるばかり」(JBpressより)
- 2-1.ニュース記事の内容
- 2-2.2000年代後半以降の二度の中国訪問から考えたニュースに対するメモ
- その1.トイレ等の衛生面のこと
- その2.街中の交通ルールや地下鉄の乗車マナー等について
- その3.インターネット事情
- その4.2-2のまとめ
- 3.職業研究者を目指す人に向けた中国での留学・就労メモ
- 3-1.中国の大学在籍時、一本は査読論文を日本語以外で出すこと
- 3-2.中国にいる間、その分野の有力者と人間関係をつくっておくこと
- 4.まとめ
- 5.補足:中国とその周辺を知るための気になる本の紹介
- 5-1.2010年代以降をメインに中国とその周辺を知る
- 5-2.改革開放期から2000年代までの中国と在外チャイニーズについて知る
1.5月の祝日と東アジアの国々
ゴールデンウィーク、皆さま、いかがお過ごしでしょうか?同じ時期、5月の頭は中国ではもメーデーから一週間ほどの間、連休になるそうです。 "黄金周"と呼ばれます。
ついでに言うと、大陸中国では端午の節句は旧暦で祝いますから、昨年、上海を訪れた時、街中のカレンダーでは、6月の頭のあたりが端午の節句らしき祝日になっていました。今月のTop記事の画像は、上海のデパートで、ウルトラマンシリーズ50周年を記念した展示であり、端午の節句まで展示されるようです。
一方、韓国は新暦の5月頭にこどもの日があるらしく、中国や日本ほどの連休はないようです。それでも、院生時代、5月の頭に韓国に調査で行ったときは、 こどもの日は祝日だったように記憶しております。詳細は、次の拙記事をお読みください:
こうした居住地域と、近隣の諸国との祝日の違いは、実際に訪問するか、滞在して長期間、住まない限り、なかなか肌感覚として感知することはできないでしょう。特に、私の研究のような、生活の中の文化や主観の違いは、現地に行かなければ分からないことが沢山あるでしょう。外国に滞在することは、時に母国より近隣諸国のほうが、ある面で自分に合っている・合っていない、キャリアにおいて利益をもたらす・不利益を出す。といった、新たな生き方のヒントを見つけるきっかけになるでしょう。
前置きが長くなりました。今回、キャッチした次のニュース記事を読み、日本人の院生や院卒者が職業研究者を目指すキャリアにおいて、中国で活動する際のポイントを考えました。
(イメージ画像:タブレットPCの中の上海)
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